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第19話 おかしなデジャブと予言

 自分が処女であり、それを証明するために処女膜検査なるものまで受けるとテレビカメラの前で言い放った神取美香。こいつ本当に中3か? 普通の神経の持ち主なら20歳過ぎの女の人だって言えるとは思えない。だいたいその検査ってどうやるんだ? 誰もが手軽に出来ちゃったりするの? 姉ちゃんに聞いたらぶっ叩かれそうな気がする。

 一緒に観ている女子3人もよほど驚いたらしく、誰も口を開こうとはせず、テレビを黙って観ている。

 アップで映されていた神取美香。カメラが引いて、隣に座る中年女性が見えてきた。誰だろう?


「この人……神取美香の母親だ」


 その母親、娘の仰天発言に驚くどころか、何度も頷いていてどうやら検査を受けさせるつもりのようだ。何故このような発言に繋がったのかが解らないが、親子揃ってどうかしてないか?

 カメラは更に引き、神取美香を含む4人が映し出された。


「ええええええ! 岡田……」


 3年A組の副担任の岡田まで同席していた。いや逮捕されたから今はどうなんだろう? まだ副担任っていうか、未だ教師やってるのか?


 テレビに映っているのは、向って左から母親、次に神取美香、そして岡田。その岡田の隣に中年の男がいた。背広の襟に丸くて金色のバッチが見えた。会社員がつけてる企業のバッチより大きいような気がする。あれって弁護士バッチだ。


 その弁護士が喋り始めた。


「繰り返しますが、警察は岡田清教諭を児童買春容疑で逮捕拘留しました。しかし、警察の言う売春をした児童というのは、あろうことか今ここにいる佐舞久留中学校生徒会長の神取美香さんなのです。そしてその売春行為に使用したとされるホテルの一室には、美香さんの母親である神取陽子さんが喘息の発作で横たわっていたのです。そして岡田教諭と美香さんは従兄妹ですので、陽子さんは岡田教諭の叔母にあたります。普段から親族として助け合っている間柄なのです。そんな美香さんから母親である陽子さんが喘息の発作で苦しんでいると聞かされた岡田教諭が薬の入った吸入器を持って駆けつけ……」


 弁護士は唾を飛ばしながら力説していた。そのおかげで大まかな状況は理解できたが、図書室で権藤さんが言っていた事が思い出された。

 確か、組合長の妾だった女が孕んだあげくに息子の嫁になって、それが神取美香の母親だから……今テレビに出てるオバサンだよな。岡田も戸籍上は組合長の孫なんだけど、その組合長が娘を孕ませたまんまで岡田家に嫁がせたから岡田は組合長の孫なんだけど息子。そいつら全部の女が神取美香って、そんな話だったような……すっげー入り組んだ関係で、権藤さんの言い方も解り難くて、相関図でもなければいまだにストンとこない。今度もういっぺん権藤さんに聞いてみよう。この話してる時の権藤さんって不思議と赤くなったり斜め上見たりしないんだよな。


 いつのまにかテレビはスタジオを映していた。


「これって全国放送なの?! 北海道のローカル放送だと思ってた」


 確かに今テレビに映っている男の人は、ローカル番組のアナウンサーではなく全国区のアナウンサーだ。これってきっとさっきの弁護士の考えだろうな。だいたい佐舞久留町に弁護士事務所だの法律事務所なんてものはない。神取一族が中央の弁護士引っ張ってきたんだろうけど、道警にケンカ売るつもりか? 俺がそれを言うと田川さんが、


「うちのお母さんの高校の同級生に、女なんだけど雑誌の記者やってる人いるんだよね。この前その人ウチに来たの。後からお母さんから聞いたんだけど……」


 田川さんの話はこうだった。

 以前から佐舞久留町で神取一族が好き勝手をしているとの噂があり、幾つもの雑誌社が取材を進めていたそうだ。そしてその噂には結構な件数の婦女暴行疑惑もあったが、被害者が名乗り出ない事と、所轄の警察が神取一族に丸め込まれている事などから表沙汰にならなかったそうだ。元々がS町農協の組合長だった神取敏郎が4町合併を強引に進め、自分が佐舞久留町農協の新組合長に納まったのだが、対向していたのがS町に次いで大きい町だったY町農協の栄前田重一郎組合長。栄前田重一郎は自分より年齢が上だった神取敏郎に新組合長ポストを譲ったが、次期組合長は自分だと合併当初から言っていたらしい。

 現在、組合長の神取敏郎が70代。っでその息子の神取剛が40代、そして栄前田重一郎が50代。年齢、実力ともに次期組合長は栄前田重一郎を押す声が大きいというが、それもこれも神取剛の素行があまりにも酷いのが原因らしく、神取一族に丸め込まれていた所轄でも、今では神取離れが起きているらしい。


「だからさ~、神取一族が自分たちから離れようとしてる所轄を叩こうって本気なんじゃないの。結局は巻き返し狙ってるんでしょ」

「栄前田重一郎って、もしかしたら風紀委員の……」

「そう、風紀委員長の栄前田椿の父親」

「そうなんだ……知らなかった」


 テレビは次の番組に変わっていた。すると田川さんが、


「さっきの会見、全部デタラメだと思う。売春じゃないだろうけど……岡田と神取美香って絶対ヤってる」

「ええええ、だって母親だっていたじゃん」

「母親公認っていうか……母親も岡田とヤってるでしょ。神取一族の噂……聞いたことない?」


 それからの田川さんの話は、前に図書室で権藤さんから聞かされた話とほぼ同じ内容だった。それを聞いた村上さんは、あまりの衝撃に仰け反ったりひっくり返ったりしていたが、佐藤さんはその噂を聞いた事がある様子だったが、どうも半信半疑のような顔つきだ。だが権藤さんから聞かされて俺が最も驚いた件ーー神取美香の実の父親、それと岡田の実の父親については田川さんの話には入っていなかった。


「神取美香って……いったい何人の男とヤってんの。それも全部が血族って……ウゲェェェ……なんか吐きそう」

「静香と春山君は知ってたんでしょ、この話」

「でも……さっきテレビで……検査受けるって……」

「だから静香はお人よしだっていうの。処女膜なんていくらでも手術で再生できるじゃん。ね~春山君」


 なんでそれを俺に振る? 


「いや……そうなの? そんなの知らんし……」

「へ~~意外と春山君ってウブっぽくてかわいいかも」


 やばい、自分が赤面したのが分った。それより隣にいる佐藤さんがさっきからずっとこっちを見ないけど、どうしたんだろう?


「ところでさ~、生徒会長の神取美香と風紀委員長の栄前田椿って険悪なのかな?」

「どうだろう……でも性格は真逆だわ。1年の妹に聞いたんだけどさ~」


 そう言えば田川さんに妹っていたよな。1年生なんだ。


「風紀委員の顧問の鍋島先生って1年E組の担任なんだけど、なんで風紀委員なんて引き受けたんだろう? 栄前田椿がさ~鍋島先生に食って掛かっちゃって凄かったっていうんだよね」

「なんて?」



 ーーうちの生徒って男子も女子も口を開けばセックス、セックス、セックスって、セックスの話ばっか。聞いててマジいらつく。それしか頭にない人間って下等動物だとしか思えない。先生はどう思うんですか、セックスしてるんですか、好きなんですかセックスーー


「なにそれ……セックスに恨みでもある訳? っで先生なんて答えたのさ?」

「真っ赤になってゴニュゴニュゴニュって聞き取れなかったみたい」


 女子ってすげーな。情報通っていうのか、こうやって仲の良い女子同士で情報交換やってんだろうな。男子ってどうなんだろう。やってたとしても俺には無理だな。どうにもダメなんだよな。噂話に花を咲かせるってのが。


「そろそろ俺、帰るわ」

「え……」


 一瞬だけ佐藤さんがこっち見たけど、様子がなんかおかしい。


「私そこまで送ってくから、真奈美と千佳、部屋で待ってて」

「うん、わかった。じゃーーーねーー春山君」

「また遊ぼうねーー」


 自転車を押して歩く俺の隣にいる佐藤さん。自分から送ってくって言ったわりには何も喋ろうとしないし、なんだか元気がない。どうしよう、空気が重い。俺も話し上手じゃないし。


「ここら辺でいいよ」

「……まって……私……」


 そう言った途端しゃがみ込んでしまった。両手で顔を覆って。


「どっ、どうしたの? ……泣いてるの?」


 どっか痛いのかな? そんな訳ない。俺か? 俺がきっと傷つけた。どうしよう……女の子泣かしちゃったのって生れて初めてかもしれない。なんだか胸が苦しくなってきた。もっと傍に寄って……自転車が邪魔だ、乗ってこなけりゃ良かった。向こうに公園が見える。あそこでちゃんと話を聞いてあげなきゃ。


「立てる?」


 ダメだ、立とうしない。背中が震えてる。

 自転車を投げ捨て、しゃがみ込んでいる佐藤さんを抱き上げて走った。とにかく早く話を聞いてあげなきゃって思ったら走ってた。

 佐藤さんは顔を手で覆ったまま小さな声で何かを言っているようだけど聞き取れない。この前姉ちゃんに電話で言われたことが思い出された。


「あんた付き合ってんの? この前言ってた美人の子と。………ふ~ん、そうなんだ。あんたってさ~自分じゃ気づいてないと思うけど、結構にぶいとこあるよ。思春期の女の子って傷つきやすいし脆いんだからね。あんたの無神経なとこがその子傷つけなきゃいいけど……気をつけなさい」


 公園に着いた。

 腕の中にいる佐藤さんはしゃくり上げていた。顔すら見せてくれない。

 見渡すと街灯が点いていて、まわりが暗いのに気がついた。

 ベンチの前に来た。そうっと降ろした。だけど隣に座ることが出来ない。下を向いたまま顔を覆う佐藤さんに触れる事も出来ない。

 俺が傷つけた。そんな俺が彼女に出来ることって……

 きっともっと傷つける。


「俺……勝手に公園なんかに連れてきちゃって……家まで送ってくよ……俺…‥離れて歩くから」


 佐藤さんが顔を上げた。でも暗くてどんな表情なのか分からなかった。それでもそんな佐藤さんから俺は目を逸らした。


「やだ……そんなの………」

「え…でも……」

「まだ帰えりたくない………」


 また何も言わなくなった。

 どうしたら良いのか、どんなことを言えば良いのか、何も分からなくなった。辺りはもう真っ暗だった。街灯が少ない公園。向こうの道路を走る車のヘッドライトもここまで届かない。唯一の街灯が佐藤さんの後ろにあって俺を照らしてて、目の前に座る佐藤はシルエットしか分からない。きっと佐藤さんからは俺が見える。俺はどんな顔をしてるのだろう。佐藤さんは何処を見てるの? 俺? もっと違う何か?


「春山君………お願い………私のこと嫌いにならないで」


 急に口を開いた佐藤さんがそう言った。

 突然すぎて何を言ってるのか分からず、そんなこと……と返した俺だったけど次の言葉が出なかった。


「私……春山君が凄く好きなの………長いあいだずっと付き合ってる気がする…………なんでそう感じるのかわかんないけど………色んなとこ2人で行って………何度も……キスして……もっといろんなこと……しちゃったような………気がする……へんだよね。だって付き合ってからそんなに経ってないのに……でもそう感じるの……こういうのってデジャブっていうの? 調べたら、私が感じてるのってデジャブとは違うみたい……これってなんなの? どうしてなの? でも……凄く好きなの……ずっと一緒にいたいの、離れたら……苦しくなる。だから春山君に嫌われたら……私……」


 吐き出すみたいに一気にそう言った佐藤さんは俺を見上げているようだ。

 佐藤さんの声は泣き声だった。俺に嫌われたと思ってるの? でもどうして? 俺、嫌ってなんかない。好きなのに。やっぱり言葉が出なかった。


「離れて歩くなんて……‥言わないで………お願い」


 佐藤さんのシルエットが下を向いてしまった。ダメだ、俺は上手く喋れない。


「そんなつもりじゃ……もう泣かないで、俺……離れて歩いたりしない」


 ベンチに座る佐藤さんの前に立つ俺はそんなことしか言えなかった。隣に座ることも出来ない。


 誰もいない、そして、誰も来ない夜の公園。風が冷たいのに気がついた。佐藤さんが寒くないか気になった。でもそれを言うと、自分が寒くて早く帰りたいからだって誤解されそうで言えなかった。


「私……自分でもよく分かんないんだけど………なんであんな事言ったのか………きっと……色んなこと……大人の人が使う言葉だって平気で言えるんだってとこ……春山君に見せたかったのかもしれない。でも………言ってすぐ分かった。春山君に嫌われたって。だって春山君って他の男子みたいにニヤニヤしながらヘンなこと喋ってるの見たこと無いし、さっきだって真奈美に……あの検査聞かれたら、そんなの知らんって、全然興味ないっていうか、ちょっとムッとした言い方だったし、あんなこと言う女子って春山君が嫌いなの分かってた。今更こんなこと言っても遅いんだけど、私……違うの……あんなこと言っちゃったけど、アレは違うの………」


 もしかしたらオナニーって言葉を口にしたことを言ってるのか? 確かにあの時はビックリした。でも村上さんや田川さんもちょっと驚いたような顔してた。でもそんなこと気にして泣いてたの? それって本当? ホっとした。だって新井さんなんかしょっちゅう言ってるし、姉ちゃんも、あんたオナニーばっかやってたらバカになるんだからね、なんて言いやがる。なる訳ねぇだろ、クッソ~、思い出したらハラ立ってきた。そんなのに比べたら佐藤さんは可愛過ぎるし、それよりさっき言ってたデジャブのことが気になって、それ考えてた。


「春山君……やっぱ……嫌いなんだ」

「え? 嫌いって?」

「だって、そこで怖い顔して……隣に座ってくれない……」


 俺は着ていた皮ジャケットを佐藤さんに羽織らせ、隣に座った。すると、にじり寄って来て腕を絡ませてきた。きっと全部言ってスッキリしたのだろう。姉ちゃんが言った思春期の女の子って言葉が思い出された。


「春山君のこと教えて」


 そんなこと聞かれても、いったい何を言ったらいいんだろう。


「春山君って、誰かと喋てるのあまり見た事ないような気がするの。凄く仲の良い友達って誰? それに家じゃなにやってるの? 趣味とかは?」


 親友って誰だろう? 髙橋君とは小学校低学年の頃から家に行き来したりして遊んでいた。でも俺は剣道に夢中になっちゃって、暇さえあれば家の裏で素振りしてた。夜中でも。中学になって、今度はバスケに夢中になって、家の前の道路でずっとドリブルしてた。夜中もやってたら近所迷惑になるから止めろって言われて、河川敷まで行ってやってた。信長の野望や三国志がすごく好きで何度も朝までやってたし、本にハマったこともあって、姉ちゃんの部屋にあった本も全部読んじゃって、しまいには聖書まで読んだ。


「なんか…凄い。熱中しちゃうんだね。でも男子も女子もけっこう固まるっていうか、グループみたいなのあるよね。春山君って……そういうのあんまり……」

「うん、興味ない」

「あ……そうなんだ……でもそれって凄いかも。だってさ~~みんなハブられるの嫌だから、絶対に誰かと一緒にいるようにしてると思う」


 そうなんだ。俺、一人でも全然気にならないけど、みんなそんなこと気にしてるんだ。ちょっとビックリ。でも俺だってバスケやってる時はバスケの奴らと普通に喋るし、クラスでだって話し掛けられたらちゃんと喋る。だけど、そうかも。周りの奴らって男子も女子もいっつも何人かで喋ってるな。でも俺って、給食食った後なんて机に突っ伏して昼寝してるし、休み時間だって窓からボーーっと外眺めてること多いかも。家でもやることなかったら、本読んでること今でもあるし……


「もしかして、俺ってボッチ?」

「え? ちっ、違うよ! 春山君そんなんじゃないから……だってモテるし。ね~ね~、私がいっつもくっついてたら迷惑?」



 佐藤さんを家まで送り届けたら9時を過ぎていた。きっと家の人に怒られると思ったけど、村上さんが春山君と一緒にいると言ってくれてたらしく、笑顔のオバサンが出迎えてくれた。


「いっつも送り迎えしてくれて、ありがとうね春山君」


 佐藤さんに言わせると、俺は信用されているらしい。これはヘンなことなど絶対出来ない。

 それと田川さんは先に一人で帰ったらしいが、村上さんは佐藤さんのオバサンが帰ってくるまで居てくれたらしく、そういった仲みたいだ。


 俺が家に着いたのは10時頃なのだが、どうせ河川敷でドリブルでもやっていたんだろうと思われてるらしく、晩ご飯冷めちゃったけど食べるんでしょ、としか言われなかった。


 ところで思春期ってなんだろう? 妙に気になる。姉ちゃんの部屋に行って分厚い国語辞典で調べてみた。


 児童期から青年期への移動期間。もしくは青年期の前半。第二次性徴が現れ、異性への関心が高まる。11、12歳頃から16、17歳頃を言う。人間が性的に成熟し、子供から大人に変化する時期のことであり、第二次性徴が現れ、生殖能力を持つようになるとともに、身体が急速に成長する。だって。なんだか当たり前すぎて何とも思わなかった。

 あれ? 電話だ、時計を見ると夜中の12時を過ぎていた、そうせ新井さんだろうな。だが見たことのない番号が表示されていた。


「あの〜春山君? ………ああ良かった。こんな時間だから違ってたらどうしようって……。あっ、私……分かんない? ちょっとショック。村上千佳! ………そう! 静香の友達の村上さんですぅ! ……え? あ〜、新井さんから教えてもらったんだよね、春山君の携帯番号。最初は教えてくれなかったんだけど、事情話したら教えてくれた。………うん、その事情を今から説明するけど、私から電話あったって静香には絶対言わないで! 絶対だからね! 春山君……今日はゴメンね。なんだか私と真奈美が雰囲気壊しちゃったみたい。静香が送って行って全然戻って来ないから、揉めてるって直ぐに分かった。揉めた原因って……アレでしょ? 静香が言っちゃった……ちょっと恥ずかしい言葉。最初に言っておくけど静香ってあんなこと平気で言う子じゃないから……私も。あれは真奈美が悪いの。真奈美だってあんな言葉使ったこと無いのに、春山君いたからだと思う。真奈美ってちょっとそういうとこあって……男の人がいる前だと変に大人ぶるっていうか……それに真奈美って春山君のこと前から好きだったみたい。でもコクったりするつもりは無かったはず。だって………それって真奈美だけじゃないと思うけど………なんていうのかな~ハッキリ言っちゃうけど、春山君って怖いよ。今は静香の彼氏になって、そうでもないってのが分かったけど、喋ってるのあんまり見たこと無かったし、だから話しかけ難い人No.1だった。女子の大半がそうだったと思う。だからそんな人にコクれるわけないじゃん。でも静香の彼氏になっちゃって、真奈美にしたらちょっと面白くないみたいで、けっこう静香に対してキツイんだよね、最近の真奈美。っで見てたら分かるんだけど、静香って春山君のことすっごく好きだよ。もう春山君命って感じで、それが真奈美にしたら余計にイラついて、あの言葉だって静香の方見て言ってて、なんか静香に、あんたなんかより私の方がずっと大人なのって言ってるみたいで、凄く嫌だった。でも静香、春山君の前でちょっと頑張っちゃったんだと思う。でも言って直ぐに後悔してたの顔に出て、可哀想だった。春山君、静香のこと好きなんだよね!…………だよね、春山君からコクったんだもんね。静香って凄くいい子だから、絶対泣かせないでよ」


 村上さんは自分が伝えたいことを言い終えると、最後に、この電話のこと誰にも言わないでよ、と念を押すと、バイバイと言いながら電話を切った。


 もうそろそろ寝ようかと思ったら、また電話だ。今度も見たことのない番号が表示されていた。



「私……分かる? ………あははははは、やっぱり分かるんだ。今、なんで俺の携帯番号知ってるんだ、誰から聞いたんだって考えてるでしょ。誰からも聞いてないよ。きっと変えてないだろうって思って掛けてみたの。ふふふ……何言ってるのか分かんないでしょ。あっ、切らないで! すぐ済むから。あなたが佐藤静香と何やたっていいから。キスしたってセックスしたっていいよ。佐藤静香もあなたとしたがってるもんね、セックス。まだ中学生のくせに。……でも、ちゃんとゴムは使ってね。あなたはね~2016年4月21日木曜日大安……もうすぐ5月だっていうのに雪が降る日に結婚するの、私と。ふふふ……私のこと頭がおかしな女だって思ってるでしょ。いいこと教えてあげる。今年のプロ野球、セリーグは断トツで阪神が優勝するよ。………そう、去年も一昨年も超弱々だったあの阪神が2位に16ゲーム差つけて優勝するの。でもね、残念なことに日本シリーズじゃ7戦まで行くんだけどダイエーに負けちゃう。っで、それからはやっぱり優勝出来ないチームに戻っちゃうの、阪神。そうなの、今年は阪神フアンにとっては奇跡の年になるんだよ。この街に関係するものはおかしくなってるみたいだけど、そうじないものは変わらない。あなたはこの街から出る。だから元に戻る。ふふふ……この街にいる間は佐藤静香と好きなだけセックスしたらいい。あの子は誘ったら即OKするよ、せいぜい楽しんで」

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