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第11話 嚙み合わない思い出と7人の小人

 家の前に誰かがいる。うちの学校の制服を着ている女子が俯き加減で立っていた。


 ーーなんだ?

 ーー俺に用なの?

 ーー誰?

 ーーうわ…河西さんだ…


 なんとなく河西さんは避けたい。だけど、もうどうこう出来る距離じゃない。家の前まで来て戻るなんてしたら強烈にへんだ。どうしよう…無視を決め込んで家に入っちゃおうか…


「俺になんか用?」

「見たんでしょ!」


 ガっと顔を上げた河西さんがそう言った。それは切羽詰まったような感じで、思わずこっちが怯んでしまった。


「みっ、見た……ってナニを?」

「死んだ子の顔」

「なっ、なに…」


 なんなんだコイツ? 死体マニアか? 確かネクロフイリアって言うはず。わざわざ待ち伏せしてまで死体の破損状況みたいなものを知りたいのか? じょうだんじゃねぇぞ。こっちは何とか忘れたいってのに、マジ気味悪いヤツ。よけいに近寄りたくなくなった。

 俺が黙ってると焦れたのかーー


「死んだの誰?」

「誰って……校長先生も言ってたろ、名前」

「実際に見た春山君から聞きたいの」

「別に…いいけど……E組の……名前なんてったっけ? 吹奏楽部の……部長の……」

「それって、春山君の知らない子ってこと?」

「ああ、俺とは違う小学校だったみたいだから、名前聞いたけど……忘れた」

「わかった」


 そう言った途端、さっさと行ってしまった。

 なんなんだよアイツ。俺から名前聞いてどうすんだ? 腹立つ。うわ、戻って来た。


「春山君、小さい頃、アタシとしょっちゅう遊んでたよね!」


 ついに来たよ。まるで覚えてないんですけど。それ言っちゃったらマズいのかな? 


「いや……俺……なんだか…あんまり……」

「っで何度かお医者さんごっこやったよね!」


 なに? 今なんて言った? おいしゃさんごっこって…


「俺が?」

「そう!」

「河西さんと?」

「そう!」


 コイツへんだ。俺は思わず後ずさった。


「春山君も覚えてるよね!」

「その~……河西さんと……お医者さんごっこ……の……こと?」

「そう!」


 そう、そう、そうって、こいつヤバイよ。当然だとでも言うように迫ってくるけど、これは絶対に違う。俺が忘れてるんじゃない。それに、こんなこと中3の女子が顔色も変えないで真顔で言うか? コイツ……どういう女?


「っで約束したよね!」

「約束?」

「そう! 約束!」

「俺と?」

「そう! お医者さんごっこの時にした約束」


 狂ってるとしか思えないから適当にやり過ごそうと思ったけど、ダメだ。ハッキリさせなきゃ。


「うん覚えてる。小学校に上がる前、俺、近所の女の子といっつも遊んでて、その子とお医者さんごっこしたの覚えてる。だけど、それって河西さんじゃない」

「そんな……そんなのウソだ……そんなの……違う! 絶対に違う! 私とやった! お医者さんごっこ春山君とやった! 私ちゃんと覚えてんだから!」


 なんだコイツ? そんなに重要か? 


「だったら言ってみてよ、春山君がお医者さんごっこした子の名前。言えるわけないでしょ、大うそなんだから」

「お前、いいかげんにしろよ! 俺がガキの頃に誰と遊んで、誰とエッチな遊びしたかなんてどーーだっていいだろ。そんなもんなんでお前に言わなきゃなんねぇんだよ、っざけんな!」

「逃げるんだ、アハハハハハ……ウソつき! 卑怯だ!」


 おいおいおいおい、お医者さんごっこしたのが誰って事だけで卑怯者呼ばわりされなきゃならんのか? あったまきた。


「お前みたいなヘンな女はヘッチャラなんだろうけど、普通の女ならお医者さんごっこしたのって、それがガキの頃だったとしても相当に恥ずかしいだろ。名前なんて言える訳ない。今だって学年は違うけど同じ中学なんだから……」

「同じ中学って……まさか……違うよね…………石橋…伸江……じゃ……」

「何でお前……」


 なんで知ってるんだって言おうとしたが、河西さんの様子が見る見るおかしくなり始めた。どこを見てるか分からない目をして、唇が震え始め、顔の血の気がなくなった。


「おい……おいって! どうした!」


 するとグッと俺に近寄って来た。そしてーー


「生きてるの?……今も……生きてるっていうの?」




 学校の会議室での警察による聴き取りが始まった。だがそこには1年C組の生徒全員がいない。それと道元先生と保健の先生、それにジャージ先生もいなかった。


「とても喋れる状態ではないらしくて、聴き取りは改めてという……」


 そう言ったのは下屋敷刑事だった。今ここにいない関係者はドクターストップが掛かったらしいが、下屋敷刑事はそれが面白くないのだろう、明らかに顔に出ている。だけど俺はどうなんだ? さっき病院の人ーーきっと精神科医と思われる男の医者が来て、俺の目を覗き込むようにしながら幾つか質問をした。そして今俺はここにいる。コイツは大丈夫だ、と思われたのか? それって感情の無い異質なヤツって思われたようで釈然としない。


 あの時ーー落ちてきた女子が救急車に乗せられた後、俺は白衣を血に染めた保健の先生が表情の無い顔で突っ立ているのを見ていた。すると俺の名前を呼ぶ声が聞こえるような気がした。随分と遠くから。そして手を握られた感触。見ると誰かが俺の左手を両手で握っていた。佐藤さんだった。目を大きく見開き、瞬きもせずに俺を見ていた。

 後から佐藤さんに教えてもらったのだが、俺はその時、佐藤さんに言ったそうだ。


「俺……震えてる…のかな?」

「……震えてないよ」

「なんか……身体に…力が入ってないような……へんな感じする…」

「私にどうして欲しい?」

「……抱きしめて…うんと強く」


 佐藤さんは周りに多くの生徒がいる廊下で俺を抱きしめてくれたそうだ。今も隣で俺の手をギッチリ握っている。


 今会議室にいるのは、警察では下屋敷刑事と後は3人。学校関係者は校長先生と俺と佐藤さん、それと校長先生に知らせに行った隣の教室の先生、それと何故だか3年E組の担任ーー陣内先生がいた。


 重苦しい雰囲気の中、下屋敷刑事が再び口を開いた。


「落ちたのは3年E組の女生徒、宮古愛さん。吹奏楽部の部長だそうですね」


 俺や佐藤さんとは別の小学校出身なのだろう。ミヤコアイと聞いても全くピンとこなかったし、大して興味がない吹奏楽部と言われてもなおさらだった。


「宮古愛さんは搬送先の病院で死亡が確認されました。殆ど即死だったようです。学校の屋上は高さ12mくらいありますからね~。おまけにアスファルトで舗装されたところに落ちてますから」


 あいかわらず粘っこい喋り方をするヤツで、妙にイラつく。


「12mもの高さから落ちたら、地上に当たった衝撃で、それは恐ろしい音がするのをご存じですか?」


 いったい何を言いたいんだ? 俺の方見て言ってるけど、俺に聞いてるのか? その音のこと。


「ドン…っていう音、それとグシャ…って言う音、その2つの音が合わさったような、なんとも形容しがたい、それでいて響き渡る音なんですよね。1年C組の生徒全員が、その音……あまり聞いた事が無い、それでいて凄まじい音を聞いてしまったんです。この音を聞いたら耳にこびり付くって言いますからね~……人が叩き潰れる音が。音っていうのは思いもしない方向に跳ね返りますからね~。幸いにも隣のクラスでは一人も聞いていないそうで……良かったですね~安藤先生」

「ぇっ、ええ……本当にそうで、ウチのクラスは誰もそんな気味の悪い音なんか聞こえなくって本当に良かった」


 こいつら自分が何を言ってるのか分かって喋ってんのか?


「1年C組で最初に悲鳴を上げた3人の女子は、ぼんやり窓の外を眺めてたんでしょうね~。そこを人が上から落ちてきたもんだから、見てしまったようです。……え? そうです、落ちてくる途中の姿をです。人だとハッキリ認識したそうで、それで悲鳴を上げた。中でも辺見友里恵という女生徒は、落ちてきた人と目が合ったと言ってます。そう……落ちてくる途中の宮古愛さんと目が合った、そう呟くように言った辺見友里惠さんは、どこを見てるか解らない虚ろな目をしていたそうです」


 廊下が騒がしくなってきた。


「自殺? そんなのあり得ない! 宮古は吹奏楽部の部長で、8月にある北海道コンクールに向け燃えに燃えてましたから、絶対に全国に行くんだって……自殺なんて絶対に無い! イジメ?! バカな! 宮古はイジメられるタイプじゃない! 担任はなんて言ってんですか?」


 そんな怒鳴り声が近づいてきて、会議室がノックも無しに乱暴に開けられた。さっきのデカイ声の主がーーきっと吹奏楽部の顧問だろうーー教頭先生と二人で現れた。で、いきなりーー


「遺書でも見つかったっていうんですか?」

「いえいえいえ、それはまだ。あなたは吹奏楽部の顧問ですね?」


 そう言って名刺を渡したのは下屋敷刑事だ。


 吹奏楽部の顧問先生は興奮しているのか、名乗りもせずにーー


「もう分かってると思いますが、昼休みに屋上で練習している部員は多いんです。なんせ未だに放課後の部活動は中止のまんまですから、部員は音楽室と屋上、それとグラウンドに別れてそれぞれ自主的に練習してるんです!」

「ほう……落ちてきた時は既に5時間目の授業は始まってましたよね。遠藤幸一先生、先生は部員に対して、授業なんかサボってもいいから練習を優先しろと、そう指導していたんですか?」

「いや……そんな…ことは……」


 下屋敷刑事、吹奏楽部の顧問の名前、フルネームで知ってやがった。なんかすんげーいやらしい。


 その後、俺と佐藤さん、それと校長先生に知らせに行った安藤先生は、あの時、自分が見た事、そしてとった行動をそれぞれが説明した。そして最後に下屋敷刑事がーー


「大まかな話は分かりました。今後、事故と自殺、それと事件の可能性も含めて捜査しますので、関係者の方はご協力をお願いしますね。あ……そうだ……春山君。あなたとは今日2度目ですね。それも昼休みにご協力頂いたのに、それから数時間後に再びなんて、なんなんでしょうね~………ところでそちらの女生徒さんは…確か佐藤静香さん…でしたね。今日の昼休みに私は春山君に色々とお話を伺っていたんですよ。その後なんですね、あなたと春山君が二人で校庭に居たのは。何をしていたんですか? 5時間目の授業に食い込んでまで」


 コイツ何なんだ? そんなの今回の事となんの関係もないだろ。ふざけんなよ。


「俺が…」

「告白したんです! 私……春山君のことが好きって。だから付き合って欲しいって……言って…」


 立ち上がってそう言った佐藤さんは真っ赤な顔で、まだ俺の手をギッチリ握ったままだ。


「ほうほうほう、いいですね~、青春ですね~。ただし、健全なお付き合いにしてくださいよ~、不純な異性交遊なんてのはいけませんからね~、廊下で抱き合うというのも、ちょっといただけませんよね~校長先生」


 立ち上がっていた佐藤さんが俺の隣にドスンっと座り、そして俺の太ももをつねってきた。きっと俺が何かを言うと思ったのだろう。うん、確かに、ふざけんな! って怒鳴りそうだった。見ると佐藤さんは湯気が出るくらい顔が真っ赤だった。



 その日、体育館で全校集会が開かれた。まただよ、めんどくせ〜

 クラス毎に男女別で背の順番で並ぶ。俺は178㎝と中学生ではかなり背が高い方だが後ろから2番目で、同級生の中には180を超えてるヤツが数人いる。俺もなんとか180は欲しいと頑張ってるんだがーー毎日リンゴを食って牛乳飲んで、しょっちゅう保健室で測って、とそれぐらいしかやってないが、2年生の途中から不思議と1ミリも伸びない。止まったか? チキショウ…

 斜め前の方に後ろ姿の佐藤さんが見えた。うん、後ろ姿もカワイイ。どうだ、俺の彼女なんだぜ、ひっひっひ…

 佐藤さんは160あるか無いかぐらいかな? 後ろから5~6番の位置だ。


「ちょっと悪い……通してくれ」


 佐藤さんの隣に行った。そこに居た黒木ってヤツには強引に下がってもらった。そして佐藤さんにビッタリくっついて手を握った。


「っひ! ……あ~ビックリした~、もう~……いいの? 春山君背高いからここにいたら凄く目立っちゃうよ……それに……こんなにくっついたら男子の列から飛び出しちゃってるし……」

「うん、いいんだ。ところでさ~~……さっきあの刑事が言ってたこと……廊下で抱き合ってるとか……なんのことだか解った?」


 俺に急に手を握られて驚いた顔をした佐藤さんが、それより更に驚いた顔。そして周りに聞かれないように、背伸びをして俺の耳元に口を寄せーー


「覚えてないの?」

「ナニが?」

「もう~~……私に言ったの、春山君が……俺震えてるかって、だから震えてないよって答えたら、なんだか身体に力が入っていないようでおかしいって。だからね……その時にね…私……どうして欲しい? って聞いたら……うんと強く抱きしめてくれって……だからね……うん……ギューーって…」

「マジで?」

「うん、マジ」

「周りに誰もいなかったの?」

「いや……いた。いっぱい……」

「そっか……でもそれだけ?」

「え……それだけって……」

「チューとか…」

「そっ、そんなの……」


 口を尖らせた佐藤さんからバシっと叩かれた。

 そんな時に後ろから誰かがガバッっと来た。佐藤さんにもだった。それは近藤先生が後ろから俺と佐藤さんの首に腕を回し、二人の間に顔を突っ込んで来たのだ。


「仲がよろしいことで……いいな~~先生も彼氏欲しいな~~。でも今はダメでしょ、春山君みたいにデカイのがここにいたら邪魔でしょ。ほら後に行って。あっ、それと春山君と佐藤さん、二人とも頑張ったね。うん、あれだけの事故に遭遇してよく動けたと思う。それって凄いことだよ。もし先生だったらって考えたら……動ける自信…ちょっとないかも。うん、それとね、佐藤さん、廊下で春山君の身体ギュってしてあげたんだってね。うんうん、それって私は……それでいいと思った、うん」


 近藤先生に連行されて行った俺は、結局は元の場所に戻った。斜め前には河西さんがいて、どうしても視界に入り、嫌だ。

 近藤先生が離れ際にーー


「春山君……ほんとうに何ともない? 大丈夫?」


 俺がアレを見てしまったことを言ってるのだろう。自分でもよく解らなかった。さっきみたいに佐藤さんにくっついていれば何も思い出さない。だけど今みたいに何も集中するものが無いと目に浮かぶ。首や手足がおかしな具合にねじ曲がった女。どす黒い血だまりの中。ダメだ、考えるな、考えたら……そいつが顔を上げる。

 校長先生が演壇で何かを喋っていた。話に集中しよう。……ダメだ、全然頭に入ってこない。喋り終えたのか校長先生が演壇を降りていた。

 後ろにいる榎本君が話し掛けてきた。


「部活まだダメなんだとよ、いつになったら出来るんだ? それに屋上出入り禁止だってよ。お前、屋上なんか行った事あったか? 吹奏楽部の連中は昼休みに使ってたのは知ってたけど、俺なんか一度も行ったことないからどうなってんの知らんけど、柵みたいなもの無かったのかな?」

「そう言えば、俺も行ったこと無いわ、屋上」


 女子の誰かが壇上に上がったのが見えた。


 ーー誰だろう?


 俺の斜め前にいる河西さんの身体がビクっとなった。なんだ? 立ったまま居眠りでもしてたのか?


「ウソだ……なんで……なんで……」


 そう呟く河西さんの声がハッキリと聞こえた。ウソって何だ? そして河西さんはよろめくように後ずさりを始めた。一歩、また一歩と。

 後ろの女子が迷惑そうに顔をしかめ、下がって来る河西さんを避けようと俺の方に寄って来た。なにやってんだよ…


「3年E組の宮古愛さんは吹奏楽部の部長でした。責任感があり、みんなを引っ張っていく指導力があり、そして慕われていた宮古愛さん。そんな彼女が今日お亡くなりになりました。哀悼の意を表します。……みなで黙とうを捧げ、ご冥福を祈りましょう。………黙とう」


 生徒会長の神取美香だ。

 後ろに下がり続けた河西さんは、近藤先生に何かを言っているようだ。そして体育館から出て行った。


 臨時の全校集会が終わった。教室に戻る途中で佐藤さんを捕まえた。


「一緒に帰ろう。家まで送るから。朝も迎えに行く……いい?」

「うん」


 なんだろう? 気分が妙にハイになっているのに自分でも気が付いた。いつもなら佐藤さんに対してもっと煮え切らないはず。告白したと言っても今日の今日だ。さっきだって佐藤さんに、チューは? って言ってた俺。なんだろう? こんなに俺って女慣れしてたか? 理由は分からないけど、とにかく佐藤さんから目を離したくなかった。


 教室に着くと佐藤さんが村上さんと田川さんに何かを言っている。その後、佐藤さんを残し2人が俺の方にやって来た。


「春山君、朝も静香の家に迎えに行ってくれるんだよね? それって絶対?」

「ああ、行く。でもなんでそんなに念おす?」

「うん……きっと直ぐに解ると思う」

「でも春山君だったら凄く背も高いし、大丈夫だと思うな」

「だよね」


 村上さんと田川さんは二人で何かを納得しようとしているみたいだった。

 4人で生徒用玄関を出たところーー


「おーーーい! そこの3年!」


 そんな声が聞こえ振り返ると、妙に小っちゃいヤツが4人こっちに歩いてくる。

 学ランを着ているから中学生か? それにしてはチビだ。それも4人そろってのチビ。俺たちに用があるのか? 振り返ったりしてるとーー


「あんただ、あんた! あんたに用があるんだって! そこの3年っ!」


 先頭を歩く学ランの前を全部はだけたヤツがそう言いながら近づいてきた。なんだコイツ? 学ランの中に着ているTシャツーー縦に何か文字が書かれているTシャツだ。どんな趣味だよ。


「誰アレ? 知り合い?」


 俺はあんなチビ助なんて知り合いにいない。



「2年の神取浩……春山君知らないの?」

「うん、知らんけど、生徒会長の弟?」

「いや違う、神取美香とは従弟。要は神取家の分家」

「ふ~ん……そうなんだ。でもなんで2年のクセにあんな態度デカイんだ?」


 田川さんと村上さんにとっての俺は、あまりにも何も知らなくて驚くべき人だったようで、次の言葉が出て来ないみたいだ。そんな二人の陰に隠れるようにしている佐藤さん。あ~、さっき二人が言ってた事ってコレか。


「あんた静香のナニ? 静香は俺の女になるって決めてんだから、どっか行けよ」


 近くで見ると思った以上にチビだ。


「あとの3人はどうした?」


 俺の悪いクセが出た。腹が立つと、相手を必要以上に挑発してしまうのだ。


「はぁあああ? なに言ってんだ3年。あと3人ってなによ? イミフなこと言ってんじゃねぇよ、ボケ」

「隠すなよ、お前ら7人の小人なんだろ?」

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