表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

私と同性同名の悪役令嬢

次話更新です。

ローズウッド侯爵屋敷侯爵令嬢シャルロット・ローズウッドの自室~side

シャルロット~side


私は生まれ変わったら、お姫様みたいな感じの生活とかしてみたいな?

って、思っていて、そういったジャンルの書籍とかゲームとか集めてそんな生活に夢見ていた

次期がありまして…… まぁ、その願いは女神様の【じゃあ、お試し的なノリで一度そんな人生歩んでみますか?】って丸で軽い感覚で海外旅行への無計画プラン立てて酷い目にあちゃった様な状況に

今気が付きました。


(ええ、まさか、私も出来心で思い付きで貴女を転生させたのがバレて

天界追放なんて思いませんでした)


といつもの念話で話しかけてくる横にいる額に一本角が生えた狐のような白い魔獣が一匹、私の横で泣いている。

ええ、本当に揶揄ではなく尻尾でのの字を書きながら泣いています。


「で、女神様? この世界って、私が知っている【乙女ゲー】に酷似した異世界なんですよね」


(はい。間違いありません。ついでに貴女が【偶然】助けちゃった女の子も【転生者】で【ヒロイン】ちゃんです)


「モフモフくすぐり地獄する前にお聞きしますが、あの魔物襲撃で彼女が【聖女の未知数の力を無意識に使って魔物を無力化させるイベント】って私が襲われる展開ですよね?」


(仰られる通りでございます。いや、まさか貴女が悪役令嬢と同姓同名の貴族の家系に【偶然】生れて

本家の方が没落と言うか格下に下がって今や立場が逆転してますからね)


ええ、元女神様の仰られる通りです。なんでも私がこの世界に生れる前に本家のドレイク・ローズウッド元大公が汚職や貴族特権の行き過ぎた乱用で前国王陛下のご不興を買いそのせいで、首の皮一枚で御家取り潰しは私の父や既に故人ですが祖父母の進言で免れましたが、それを逆恨みして、当てつけ同然に自分の生まれた娘に私と同じ名前を付けその娘もまたやりたい放題していると聞いて

流石に父も「幾ら出来の悪い兄でも今後一切そちらとは関わりません!」とローズウッド伯爵家に絶縁を宣言しようとして周りから止められた逸話があるくらい、ローズウッド伯爵家には話題が付きません。


で、その件はともかく流石に私も【シャルロット】の名前を成人したら変えようとかではなく

前世の所謂アレなローズウッド伯爵【シャルロット】と容姿が瓜二つなのも特に気にしてませんが

流石に他人とはいえ風評被害で両親に要らぬ心労をかけたくないので、ここは思い切って


「イメチェンしましょうか? うーん。そうですね。外見は……まだ幼いから髪型ですね

編んでしまうか少し切りましょうか? あと、そうですね。当主となるなら、それなりに貫禄を……

うーん、将来騎士団に入って男装で油断できないタイプと思わせる必要がありますね」


兎に角、この世界が私が知る乙女ゲーの流れの歴史をなぞるなら、悪役令嬢シャルロッテは幼少期から

半分は自爆芸じみた原因で不幸に残り半分はヒロインやこの先で出会う第五王子のアルベルトとの絡みイベントで酷い目に遭う。


(でも、貴女はそれを良しとしないでしょうね。まぁ、成長してから貴女の手並みを拝見しましょう)


「はいはい、でも元女神様その言い回しだと悪役ですよ?」


私がちょっと嫌味長に彼女の念話にノリ突っ込みを入れると


(くくく、お代官様ほどじゃぁありませんよ)


って、言い返してくる元追放女神(笑)

本島にこの人女神なのだろうか? と時々疑いたくなるくらい小悪魔的な要素を持っている


「シャルロット。直ぐに用意しなさい。今日はお父様の領地のご視察ですよ」


「はい。お母さま」


銀髪の見た目が冷たい感じの女性が私に語り掛けてくる。

このローズウッド侯爵家当主フォルト一世の第二夫人つまり、この世界の私の実母でスザンナローズウッド侯爵夫人である。ちなみにこの国は一夫多妻制をとっているので第一夫人は今回は本屋敷で留守を預かっている。


(確か、今日はお母様の領地のミスリル鉱山のご視察がある。つまり聖女となるリデェアちゃん絡みの

イベントになぞらえた【落盤事故が起きる日】でもある。よし、リデェアちゃんと何か出来ないか相談してみよう)


私はそう思いながら、支度を済ませお父様たちと馬車に乗り込んだ。


※※※※※※

ローズウッド侯爵北のミスリル鉱山~side

火の紋章術士~side


炭鉱の麓の町はミスリルが大量に採石されそれを研究的で買い付ける魔術師やマジックアイテムを商いにする魔法道具商人でにぎわっている。

特に魔術を含む鉱石細工にはかなりの高値で取引をされ、その莫大な富をローズウッド侯爵が6割の収益として残りの4割は通商連合が占めていた。

他の商人は独自でここから産出されるミスリルをそれなりの価格で買い取るか商人ギルドに所属して

ローズウッド侯爵領で商いをする許可を取っている為、非合法な取引は行わない。

非合法つまりミスリルの密輸等はこの領内では取り締まりが厳しくそう易々と反社会的組織の進出を許さない徹底した取り締まりが昼夜問わず行われていた。


(ま、それで、俺なんかの低級紋章術士はそこそこ許されている賭博なんかで小遣い稼ぎをしているんだが)


紋章術士……一昔前は【魔法使い】と言われ様々な魔術を使役して国や組織に使える者たちをそう言っていた。しかし、近年紋章魔術の発展で一大産業革命が始まるとそれまで自由に貴族や組織に属して

自由に魔術を研究していた魔術師たちは各国で取り決められた【魔術師による非合法で公に出来ない研究】が行えなくなり、それと引き換えに新たに創設された国家資格【紋章術士】の取得に躍起になった。

かくいう俺も突然出来たこのバカげた制度のせいで魔術師としての道を断たれてしまった。

紋章魔術とは魔術と錬金術の融合で紋章道具を介して初めて発動出来る代物で

取得にはかなりの知識と経験が必要とされ、俺みたいな落ちぶれは自分の属性に特化した物を扱って

何と食い扶ちをつないでいる。


「さて、何時までも愚痴っていても仕方がない・・・

とっ、此処だ。【取引の場所】は」


大通りの良くありふれたごく普通の酒場。出される飯も酒も店の外見も有り触れていて

特に印象に残らない。路地裏や大きいな店だとかえって気を引いてしまうが、さり気ない【密談にはうってつけ】の場所と言える。

店の雰囲気も印象に残らないような内装で客も高すぎず安過ぎずの値段の料理と酒目的の連中ばかりだ。


「いらっしゃい。一人かい?」


「あ、いや、連れが待ち合わせに来ているんだ」


そう言って、店の中を見渡すとフード付きローブを被り更に顔に仮面をつけたほっそりとした奴が奥の席に座ってこちらを見ていた。


「お待ちしておりましたよ」


「ああ、わりぃな。現場監督の指示が領主様のご視察前に余計に気合が入いちっまってこんな時間まで掛かっちまった」


と言ってそいつの席の真っ正面に座る。そして給仕に適当に注文をすると

相手もさらっと本題に入る。


「で、仕事の内容は?」


手っ取り早く要件を聞いて飯にありつこうと言う雰囲気が相手に伝わったのか?


「くくく、そう、事を急かせるのは良く有りませんよ? まあ、良いでしょう」


仮面の男は、そう慌てるな。と言いたげに俺に向かって言うと本題を切り出した。


「では、本題に入りましょうか、貴方にお願いしたいのは、新型の焔の紋章爆薬のテストです」


「テスト?」


「ええ、テストです。まあ、貴方からすればまだ試作の紋章爆薬のテストで実績が貰えて、それに見合う報酬のおまけがつく、これ程いい条件の【仕事】が目の前に有るわけです」


そう言って仮面の男は金の入った袋サッとこちらに差しだして来る。袋はずっしりと重い。


(なるほど、これだけの金額なら、2.3ヶ月は羽目を外さなければ、旨い店に毎日通えるな?)


しかし、仮面の男はさらにこう条件を提示する。


「これは前金です。ええ、貴方が訝しく感じるのもよく判ります。こちらの情報網では、貴方は魔術師協会の評価は低かった。そして、今ある仕事と言えば新技術で出てきた紋章火薬の作動係。

おっと、そう睨まないでください。そんなに悪い話ではないですよ? ええ、そうですね。今回貴方にお頼みする依頼は【とある実験】と言っておきましょう。おや、興味をも持たれましたか。

実際、この話はとある権力者と魔術師協会とのゴタゴタが原因で、何とか連中に恥を搔かせたい

その方のご依頼でして、協会の魔術探知を掻い潜って、特にミスリル産出量の多いここの鉱山が実験の白羽の矢が刺さりまして、ついでに【協会に恨みを持っている者】に【協力をしていただいて】正式に事が済めばこの実験が上手くいけば、その者の【仕官】を考えてもよいと……」


成程、確かにこの話は【俺にとっては旨すぎる話】だが、丁度ミスリル鉱石の報酬と今目の前の【依頼】の報酬の前金の金額の多さにあまり深く詮索せずに食らいつくことにした。


「いいぜ。その話引き受けた。で、その紋章基板はサンプルなんだろ? 手順を詳しく教えてくれ」


「賢明な判断です。では手順をお話致しましょう。紋章基板の受け取りの手順は……」


連中の計画はこうだ。事前にこつらが用意した紋章基板を俺がセキュリティチックの時、警備担当者に

許可書を手渡して、いつも通り【6番坑道】に向かう途中で本来の場所から遠い【第9坑道】にこいつを

セットして紋章を起動、その後成否の有無を調べる事もせずその場を立ち去る。

威力自体は旨く偽装してあるので、万が一事が起きても中に潜入しているこいつらの仲間が上手く立ち回るので俺が怪しまれると事はない。

男が手順を説明し終え、その前金を頂くと俺はさっさと食事を済ませ店を後にした。

貰った金は今は使わずそこそこの安宿に部屋を取ってさっさと明日の仕事をすることにした。


※※※

翌日~side

ローズウッド侯爵北のミスリル鉱山入り口付近~side


その日も鉱山はいつも通りだった。多くの工夫が手荷物検査と鉱山内での身分確認などのセキュリティチックを受け仕事を終えた者とこれから作業に取り掛かる者の交代に鉱山から算出されたミスリル鉱石の不当な持ち出しがないか? と言った不正がないかを調べられている。

今日も何事もなく終わると思われたその時、凄まじい爆音が鉱山を襲い幾つかの通路が崩壊し

逃げ遅れた者と命からがら坑内から脱出した者達との間で情報が錯綜していた。

直ぐに鉱山の責任監督は坑内の至る所に設置されている伝声管を使い中の様子を知るために

情報を集めていた。


「坑道内各区画、状況を教えろ!!」


<こちら、一番坑道被害はほぼありません。ですがさっきの爆発で何人かが天井から降ってきた小石で怪我をしたのと安全のため全員退去させています。自分は他の者が脱出するのを確認してから最期に脱出します>


「わかった。くれぐれも【英雄】になろうとするな。被害はこちらでも把握しつつある以上」


<了解>


監督の冷静な指示で普段使っている食堂は臨時の野戦病院として負傷者が担ぎ込まれ、被害の報告も逐次伝令を出して領主の館に随時送り出していた。

今の所安全が確認されたのは比較的階層が浅い1番・2番・3番・4番・5番【工夫の安全優先で坑道を放棄したため人員以外の被害確認取れず】6番・7番【エレベーター一部使用可能な状況だった為負傷者優先で退避中】とだけ今は分かった。


昼頃になると使われていない旧坑道も利用しての救助作業が可能かを検討中に

8番坑道からとんでもない情報が上がってきた。


<こちら8番、ヤバい以前放棄した9番坑道にあった、不気味な像を堀出して封印したのを覚えているか?>


「ああ、だが今はそんなこたぁ……」


<黙って聞きやがれ! そっから魔物が出てきたんだ!何人か食われて、9番の入り口に通じているところは瓦礫で塞いだが、焼け石に水だ! 所で、監督、今日の紋章火薬の使用でおかしなことがなかったか? こっちの焔紋章の紋章士の野郎が正規品の物だと言って【新型紋章石】を持ち込んできてこのザマだ!>


「!! 本当か!何かの間違いじゃねぇよな?」


<だったら、いいがあいつが休憩の時に9番にいくのを見た奴がいて、不審に思っていたが、作業時間が来たんで俺のトコに報告しに来たトタンいきなり爆発が起きたんだ!>


「……判った。今は、その件も報告に上げておく魔物が出た報告と一緒にな」


<助かる。とりあえず灯りの紋章石の灯りを頼りにしながら生き残った奴らと外に出る>


「判った。魔物に十分に注意して脱出してくれ、今は各坑道の安全を確認してからじゃないと

救助は送れない」


<判った。じゃあ、逃げるからな、伝声管の張っていない坑道を行くから暫くこちらもそちらも連絡ができない以上だ>


彼はそう言って連絡終えた。


「謎の紋章火薬に大昔の怪物か……とんでもないことにならなきゃあいいが……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ