起動
浮かび上がってきた意識は思ったより水面が遠い事を認識する。
そしてそもそも自分が息ができていないことに気づき、慌てて浮上速度を上げようともがく。
しかし、どれだけ足掻けど加速はせず、むしろ水面は遠ざかり、何かに吸い込まれていく。
そして…
ドスンっとやけに大きな音を出してどこからか放り出された俺はやけに朦朧とする意識の中で脳波読み取り式(笑)のデバイスといつもならうるさいはずの時計を探す。
しかし周囲にあるのは目の前の謎の液体の入ったカプセルだけ。
いつのまにか自分は人造人間か、はたまた左手だけ大きな化け物になったのだろうか…
そんなことを考えながら自分の左手を見ると…
そこにはやけに小さく、やけに細くて可愛らしい白い手があった。
そしてその先につながるほっそりとしていて、大人から蹴られるか、はたまた猛烈なツッコミをかましてくださったあのトラックに轢かれればひとたまりもない……
そういえば俺は轢かれたんだったけか…?
そんなあり得ない現実に直面し、そして
二度寝を決行しようとした。
普通に考えればトラックに轢かれて死んで気づいたら幼女?なんてことは夢である。
これが夢なら現実の体はまだまだぐっすりのはずである。
ここで二度寝すれば全てが元通りに…
「イデッ」
しかしボロボロになったとはいえ、硬いコンクリの床は枕のように優しく頭を迎えてはくれなかった。
そしてここで認め、諦め、理解する。
これはいわゆる…異世界転生というやつではなかろうか…?
思いつきで作られたシリーズです。完結するかしないかはモチベ次第です。