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姫、異世界に立つ?1

 あなうらめしや、あなこいしや

 恨む、恨むぞ

 わらわはこの世の全てを恨む

 信じていた臣下には裏切られ、愛しいあの方と引きはがされ、罪を押し付けられ

 口惜しい、口惜しや

 我が呪念はこの土地全てを不浄の土地へと変え、わらわは数百年荒れ狂う呪霊となって彷徨った

 それが妖怪退治屋に斬り伏せられて、復讐鬼となったわらわの念は払われた

 払われて成仏した

 はずだったのじゃ!

 なのにどこじゃここは!

 ここは明らかに日本ではない。そして地球でもない!

 わらわ知っておるぞ。何せこの数百年、恨む相手も死に絶えてただ知識をむさぼる霊となり果てておったからな

 異世界、というのじゃろう? ほれそこな動物は明らかに地球のものではない。角の生えた兎やら翼の生えた猫などおるものか!

 わらわ知っておる。こういった世界には魔法というものがあってじゃな、それを扱う人間やら人間じゃないやつらやらが溢れかえっておるのじゃ

 そしてげえむで得た知識もあるぞ。すてえたすとれべる、すきるなどなど

 わらわの知識はもっぱらそっち方面に聡いのじゃ!

 これは興奮してきたのじゃ

 ふっふっふ、もはや恨みなどとうに消え失せておる

 ならば! この世界にてわらわは幸せに暮らすのじゃ

 婿を迎え、子供はそうさのぉ、三人くらいは欲しいのぉ

 もちろん一姫二太郎、最初におなご、つぎにおのこじゃ!

 最後の一人はどちらでもよい、そして元気に自由に育てるのじゃ!

 むふふ、楽しくなってきたわい

 わらわはげえむの知識からすてえたすとやらを見てみることにした

「すてえたすなのじゃ!」

 こういう時は声高らかに叫ぶといいと漫画に描いてあったのじゃ

 するとどうじゃ! わらわの目の前にあのぶらっくすくりいんが現れたではないか!

 ふむふむ、やはりわらわの推測は正しかったというわけじゃな

 そして分かる、分かるぞ、わらわの新たな生は示しておる

 そう! わらわはごおすと! 人を呪って力を得るもんすたあじゃ!

 へ? もんす、たあ?

 それは前世と同じく退魔師やら退治屋やら霊媒師やらに払われるあれではないか?

 そしてわらわの姿・・・

 何も変わっておらん! これわらわじゃないか! そのまんまわらわじゃないか!

 え? 何? これ私そのまま異世界に来たってこと? えマ?

 混乱して素が出てしまったのじゃ

 じゃがわらわは諦めぬ。確かもんすたあには進化という秘術があったな

 くっくっく、そうじゃ、れべるを上げればいずれ人間に近い何かに成れるはずじゃ

 わらわはいろいろ知っておるのじゃ


 一日目

 まずはあれじゃな、この体で人前に出るのは危ない

 なにせすてえたすが俗にいうゴミじゃ

 恐らく魔法一撃で南無成仏じゃろうて

 む、一応わらわも魔法が使えるようじゃな。すてえたすに書いておる

 なになに? 呪魔法れべる1とな

 相手を縛り付けて苦しませる

 何じゃこれだけか・・・。役に立たん! 前世のころの方がよっぽど強かったぞ

 じゃがまあこんなもんじゃろう、異世界に来たばかりなのじゃからな

 わらわは理解もあるのじゃ

 早速その辺りにいた角兎にこの呪魔法れべる1をかけてみた

「キュキュッ!」

 ふむぅ、可愛らしいからわらわの良心が咎めるのじゃが、わらわが生きるための糧にするのじゃ、許せ角兎

 しばらく苦しんでもがいたのち角兎は息絶えた

 その際何やら角兎の体から生気を吸い取った気がするのじゃが、ふむぅ、すてえたすが微妙によくなってる?気がするのじゃ

 それになんだか満たされた感がある

 これがごおすとの特性なのじゃろうか?

「ま、物は試しじゃな」

 気を取り直し、その日は可愛い角兎を殺戮して回ったのじゃ

 ちと言葉が悪いのぉ

 あれじゃ、食事して回ったのじゃ!


 二日目

 この辺りの角兎を食べつくしてしまったのじゃ

 じゃが見よわらわのすてえたす!

 れべるが3になったのじゃよ

 しかも呪魔法のれべるが2に上がっておる

 これは行幸行幸

 角兎が苦しむことなくぽっくり逝くので罪悪感も少なくなった

 罪悪感か・・・。わらわに再びそんなものが芽生えるとはのぉ

 これも異世界に来たための変化じゃろうか?

 二日目は角兎から蛇にたあげっとを変えて狩り始めた

 蛇は邪蛇と呼ばれるもんすたあらしいのじゃが、見た目ただの蛇と変わらんのぉ

 まぁ今度はこの蛇を積極的に狩って行こうかの

 どうやらこの蛇どもは角兎よりも経験値?が高いらしいしの

 わらわ知っておるぞ、経験値を溜めればれべるが上がるのじゃ

 そうか、あの何かを吸収したかのような気配はこの経験値を得ておるのじゃな

 わらわまた一つ賢くなったのじゃ


 三日目

 見よわらわのすてえたすを

 れべる8なのじゃ

 じゃがやはりというべきか、れべるも上がりにくくなっておるのぉ

 わらわの豆知識に、れべるは上がれば上がるほど次のれべるに必要な経験値が多くなるとある

 じゃがこれは仕方のないことじゃ

 成長には経験が必要、生前のわらわ、まだ呪霊になる前のわらわも様々な経験を積んで姫としてがんばったものじゃ

 そうじゃ、わらわ何を隠そう生きておったころは姫だったのじゃ

 ああ思い出すとやはり恨めしい・・・

 じゃが今はもうあのわらわを虐げた世界ではないのじゃ

 気持ちを切り替える。これ大事!なのじゃ

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