コレクション9
本当に久しぶりの更新な気がします。
間違ってこの作品の続きを期待してくれている読者の方のため、今日も執筆頑張ります!!
少女逃げ出して、たっぷり数十秒後。影人の頭が再起動する。
「ま、まあ………助けたにはなれたみたいだし?いいか?」
それよりも、と言って、影人は椅子に座る。
「魔術師が、市長達を働かせる、か。あり得る話しには、ちょっと思えねぇよなぁ。うっし、話しに行ってみっか」
そして、学校をサボる気満々の発言をするのだった。
皆見学園 高等部 校門前
校門から出た影人は、ここにいるはずの無い人物を見かけ、固まった。千霧 緋色。長い黒髪を待つ、美しい女生徒だ。その彼女に、影人は躊躇いもなく話しかけた。
「緋色先輩?何故ここに?貴女の学校はここじゃないですよね………」
呆れ気味の影人の言葉に、緋色は笑って返す。
「会いたくなっちゃって☆」
「嘘ですね」
普通の男子高校生が言われたら泣いて喜ぶような言葉を、影人はバッサリと切って返し、続ける。
「また、親子喧嘩ですか?」
「もー、いつも父さんと喧嘩して君のトコロに来てるって思ってるでしょ。今日は、ただ話しにきただけ」
そう言って、緋色はふわりと――そうとしか形容出来ない動きで――影人の隣に移動した。そして、影人の首筋をツー……と撫ぜる。
「でも、血、吸っていいなら貰ううよ?」
「い、いやぁ~~、ちょっと最近金欠っていうか家ごと財産が殆ど消し飛んだワケデシテ。…………血を吸うのは勘弁して欲しいかなぁ~~、なんて」
そのゾクゾクする感触に恐怖を感じつつ、影人は返す。そう。千霧緋色は、吸血鬼だ。いや、正確には違う。鬼族吸血種――所謂、吸血鬼――の父親と、人属人間種の母親を持つ、ハーフヴァンパイア。それが、千霧緋色という少女だ。
「大丈夫。知ってるから。流石にまだ飲まないよ」
先程までの妖しい雰囲気を霧散させ、緋色が笑う。影人がホッとため息をつくと、緋色がで、と続けた。その言葉で、また影人が固まる。
「君に伝えたかった事があるんだ。予言だよ」
得も言われぬ不吉な予感がし、影人は首を振った。それと言うのも、緋色が持ってくる『予言』は、魔術的に行ったものらしくとても、的中率が高いのだ。しかも、その大半が不幸を引き起こすものであり……………。まぁつまり、
「何も言わないで下さいその予言のせいで不幸が起きたら嫌なんで基本毎回回避しようとした結果不幸が起きてるじゃないですかもうそろそろ予言には懲りました助けて下さいすいませんすいませんすいませんすいません」
今までのトラウマで、こうなってしまう訳だ。
ブンブン首を振る影人を見て、緋色がため息をつく。
「影人クン?今回は不幸な予言じゃないよ?」
「ほぇ?」
影人が出した変な声に笑いそうになるのを我慢しながら、緋色は続ける。
「明日、君は一生大事にしたいと思う人に出会うでしょう。これが、予言」
で、本題は、と、緋色は柏手を打った。
「えぇ?それが本題じゃないんすか………」
影人は少しげんなりしながら言う。緋色の顔を見て、確実に厄介事が舞い込んだと確信したのだ。
「当たり前でしょ?私は、影人君に会いたくなったらここに来るよ?そうそう。で、本題だけどね……………」
彼女は、星のように目を輝かせながら言った。
「ニセモノのカレシとしてウチ来て?」
(ええ………………)
「ええ………………(困惑)」
「思った事が口に出てるよ、影人君……………」
おっと、といった感じで口を塞ぎ、その後、影人は言う。
「そりゃ出ますよ。え?ところでじょ、冗談じゃ?」
「無い」
「拒否権は?」
「無い」
「文句言っても?」
「ダメ」
一縷の希望→渋面→苦虫を噛み潰した…………いや、毒薬を飲まされたような顔、と百面相をし、影人はyesを言った。だって、拒否権ないし。ダメージ少なくしたいし………………。
「ひーろせんぱぁい。ひどいですよぉ。絶対にボロクソなるじゃないですかぁ」
若干、いや完全に涙声で影人は講義する。それを何処吹く風と受け流し、緋色は校門近くの屋根の上へと逃げていった。
「覚えてろよ悪女の緋色先輩ぃー!!」
どうせ緋色には勝てない。それを理解しつつ、影人は吠えた。男には、負けると解っていても立ち向かうべき時があるのだ………………。
某所 影納宅
影人は起き上がり、少し伸びをした。
「よしっ、行こうか―――」
その後、そのへんに生えている食べられる雑草を食べて、影人は電車に乗る。目指すは、O県。魔術師が市長を働かせているという、とても不思議な県だ。
影人は、誰にともなく挨拶をする。
「いってきます」
電車が、出発した―――。
先輩は付き合いたくない系美人(振り回されるから)