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コレクション1

 気分で書くので週1ではありません。月1では確実にいけると思います。

 一章毎に別作を更新するのでその時はかなり時間をいただきます。

 誤字あるかもです。


以上の点をご了承ください

 少年は《それ》にナニカを翳そうとした。が、誰かに手を掴まれる。


「何やってるの?」


 時は、一日前に遡る。




 学生特区 古びた平屋内


 「影人(かげと)。お前、今日から《遺跡》行っていいぞ」


 父親――影納(かげな) 元春――からそれを聞いて、影納 影人は変な声を出す。


「親父、緩すぎるぞ?かなり大事な事なんだから、もう少し真面目に伝えてくれ」


 げんなりしながら影人が言う。


「どうせ伝えるんだったら、同じだろう」


 はぁ、と影人はため息をついた。


「その通りだけどなぁ………風情ってもんが欲しいんだよ!!」


 《遺跡》。それは、古代遺物、《影納コレクション》が眠る場所。そして、影納一族の初代――影納 (つくる)――の遺した大規模な魔術だ。《遺跡》は世界中に点在し、踏破されるまで恒久的に存在するもの、時間により出現して消えるもの、場所を選ばず出現して消え、また違う場所に出現するものが有る。そんな浪漫の詰まった場所に、「行っていいぞ」で行くことを許可するなぞ風情もなにもあったものではない。影人はブチギレた。


「行かないのか?消えるかもよ?」


「後でたっぷりと文句を言わせてもらう!!」


 そう叫んで、影人は外に飛び出して行った。





 某所《遺跡》前


 影人は、《遺跡》の前で感動していた。ついに《遺跡》に挑戦できるのだ。今まで楽しみにしていたのだ。死の危険が伴うとは解っているが、ワクワクしてしまう。

 影人は《遺跡》に持っていた《影納コレクション》をかざした。その場から影人が消える。しかし、それでも周りの人々は驚かない。そもそも《遺跡》は、《影納コレクション》を知らない人間には見えない。だから、《瞬間移動(テレポート)》のような《能力》を使ったのだと思われるだけだ。その程度の事では、どんな人も驚かない。

 《遺跡》内に入った影人は、まず周囲を確認した。


 壁。


 壁。


 看板。


 壁。


(何故に看板………)


 あまりにも《遺跡》に似合わないそれに苦笑しつつ、影人はそれの内容を読んだ。


『手形に手をかざしてから3分後に天井が落ちまーす。頑張ってネ ハート』


 …………。


「ハートじゃねえええええええええっ!!」


 影人はキレた。


 ひとしきり絶叫した後、影人は深呼吸をして気分を落ち着けた。そして、看板の奥にある手形に手をかざした。


 カッ。


 すると、急に目の前が光り、影人は別の場所に転移された。

 影人が目を開けると、そこは廊下のような場所だった。手首に違和感を感じ、そこを見ると、カウントダウンのような数字が。


(2:52か)


 どうやら残り時間のようだ。それを確認した影人は、次に周りを確認した。壁には穴や傷痕があり、罠がある事を主張している。天井には、大量の刃物がある。あれが落ちてきたら死ぬな、そう考えながら影人は足を踏み出した。なにも罠が反応しない事を確認すると、影人は駆け出す。落とし穴は壁を使ったり、普通に飛び越えたり。スイッチ式の罠はそもそも踏まない。予期せぬ罠も冷静に対処する。そうして、影人はあっという間に廊下の奥についてしまった。しかし、影人はそこで足を止めた。


(落とし穴だ…………。何か見落としたか?)


 影人の頭が高速で回転する。そして数秒後、影人は今来た道を逆走し始めた。ゆっくり、ゆっくり、と。

 影人の腕のタイマーが0:10となる。残り、十秒だ。流石にこれには影人も焦り始める。それでも影人はゆっくりと歩いていく。そして、何かを見つけたかのように走り出した。


 残り5秒。


 誤って踏んだ、矢が飛び出す罠を回避する。


 残り4秒。


 大きな落とし穴を壁を使い飛び越す。


 残り3秒。


 横から飛び出たギロチンをリンボーダンスのように避ける。


 残り2秒。


 どこからか剣を取り出す。


 残り1秒。


 立ち止まり、そして、天井が落ちた。




 《遺跡》内 天井裏


 キリキリと音を立てて、天井が上がっていく。その上を影人は歩いていた。どうやら、この《遺跡》の攻略法は『吊り天井に空いた穴を見つけ、3分待ってそれに入る』だったらしい。

 ガコン。

 吊り天井が元の位置に戻った。すると、何かが染み出すように扉が現れる。それを見て、影人は思わず「すげぇ」ともらしてしまう。流石は、全ての《魔術師》が術式を解明しようと躍起になっている、最高峰の結界魔術だ。

 影人が扉の前につくと、きぃぃぃぃ、と立て付けが不安になる音を立てて扉が開いた。


(罠、なーし。仕掛け、なーし。行って、よし)


 罠は無いだろうと解っている。それでも、影人は慎重に罠を確認してから扉の中に足を踏み入れた。やはり、罠は無い。それでも、予想外の事に対応できるよう慎重に進んでいく。


パッ。


 薄暗いかった室内が、急に明るくなる。そして、どこからか声が聞こえてきた。


『初めてここにきたのがこんな小僧だとは、な』


 影人は周りを見回す。音を発するような物はない。あるのは、柱と松明とガーゴイルの石像だけだ。影人が首をかしげると、また声が響いた。


『こっちだ、小僧』


 殺気を感じて、反射的に振り返って―――、


 ガキンっ。


 影人がどこからか取り出した剣と、《ガーゴイル》の爪がぶつかる。


『寸止めするつもりだったが、反応しおった!!ハハハッ。敵に不足無し!!』


 《ガーゴイル》が笑いながら下がり、部屋の隅を指差す。


『宝が欲しいなら、我を倒せ。帰るなら、そこからだ』


 それを聞いて、影人はニヤリと笑った。


「そういうの、解りやすくて好きだ」


 そう言って、影人は自分の影から大量の苦無と手裏剣を取り出した。

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