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ようこそ、ファンダムへ【1】

明けましておめでとうございます。

 その日の晩御飯後、片付けとお風呂を済ませた私は兄さんから渡されたVRMMO機器とソフトコードの入った袋を持って自室に入って袋をベッドの上に置いた。


 ──私の部屋は酷く殺風景で必需品のベッド、勉強用の机とパソコン、クローゼットくらいしか物がない。クローゼットもサイズは大きいのに片手で数えられるほどしか服がなく、他の女子から見たら驚かれるだろう。何故か私は物事への関心がほとんど無いのだ、昔のこともほとんど忘れてるし、兄さん姉さんがよく見ているテレビも私は天気予報以外は見ることがない。しかし私は大手会社の社長の妹なので外への体裁というのもある。なので私は外では他人を気遣って手伝ったりして2人に迷惑をかけないようにしている。──


 そんな部屋のベッドに置いた袋からプレイ用のバイザーみたいな機械とそれをパソコンからネットワーク回線に繋げるためのコードを取り出してパソコンに繋げる。その後バイザーを起動すると女性の声で色々とアナウンスが聞こえる、身体データの登録は特に何もしなくて大丈夫みたいで勝手に取られて勝手に登録される。どうやらアバターは感覚のズレとか異性の体好きに弄る等問題の防止のためにそれほど現実の身体から弄れないらしい。そもそも私のアバターは前のβテストの時から弄るつもりは無いのだが。


 そんなこんなしてるうちにネットワーク用のアカウント作成も終え、ネットのゲームストアを探して、ソフトコードを入力すると目的のゲームが見つかる。あとはこれを入れるだけらしいが、時間がかかるだろうとダウンロードのボタンだけ押してバイザーを外そうとしたら、ダウンロードがすぐに終わった。原因は恐らくあの人だろう、ありがたいのだがあとで兄さんに言っておこう。


「……よし、行くか……」


 と、一言だけ口にしてゲームを始める。すると周りが黒で青の線がマス目状に引かれているいかにもな所に私はいた。懐かしいなぁと思いながらじっとしていると目の前に誰かがやってきた。


「こんばんは、天波園歌様。」


 と、声をかけてきた彼女は白の貫頭衣を着た綺麗な金髪ロングヘアーで、頭上にはあからさまに輪っかが、背中には羽根の生えている、俗に言う天使とかの類と同じ格好をしていた。


「私はファンダムの女神ミハエルと言います。ここは新たな旅人が身体を馴染ませるための場所です。まずは園歌様の写し身となるアバターを用意するところからなのですが……、スキル含めて創造主様から渡されたデータそのものでよろしいのでしょうか…?」


 どうやらここでアバターを作るらしい、創造主から渡されたデータというのは恐らくβテスト時のものだろう。


「それで大丈夫です、お願いします。」


 そう伝えるとミハエルさんは頷いたあと、右手を光らせて私の方に向ける。すると、光に包まれて数秒して私のアバター、「ノルン」としての姿になっていた。


 私のアバターの「ノルン」は明るめの緑色のワンピースを着た妖精族の少女だ。背は150後半くらいで胸は……並程度に少し盛った…。


「アバターの投影も出来たようなので、なにか質問がなければここで少し身体を動かしてもらって、大丈夫と思ったら向こうの扉を開けてください。」


「それじゃあ質問を3つ、スキルの発動はβテスト時と同じなのか、自発的に森から出ても大丈夫なのか、森に入って来れる人数をこちら側が決めれるのか。」


「では順番に答えさせて頂きますね。スキル発動の感覚はβテストの時と同じ感覚で構いませんが魔法行使の際、園歌様改めノルン様の種族特性上、イメージがほぼそのまま反映されますのでそこを気をつけてください。」


 ……つまり種火から辺り一面火の海まで可能ってことか、流石に気をつけないと。


「次に森から出ることに関してですが、大丈夫どころか好きに出てもらって構いません。住民と仲良くなるのも1つの絆ですから。あと森に入れる人数を決めれるかってことですが、あくまでフィールドの1つなので決められません。クエスト条件等で間接的に決めることは出来ますが基本的には無理だと覚えておいてください。」


 流石にフィールドの人数制限は無理か……人多いのは苦手なんだけど仕方ないか、と思いつつ私は片手剣を持って素振りを数回、持ったまま走るのを数分したところで浮かんだ質問を1つ投げる。


「追加で質問しますけど……このゲーム内での私を監視してる人とかいますか?」


「個々人の監視はしてませんが全体は私と創造主様がしています。…悪質な行為をする旅人もいますから。」


「分かりました、ありがとうございますミハエルさん。」


そう言って剣を元に戻すと私は扉を開けて通り抜けた。女神ミハエルが心配していると知らずに……。



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