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下層にて

作者: 恵那氏

上層に昇るにはどうすればいいのか、そればかり考えている。止まれ。




最も考えたところで実行なんぞしたことは無い。私自身が特別な人間であるのだからそんなことせずとも周りが私に合わしてくれるはずなのだ。止まれ。


それなのに私は未だそこに居ないような気がするのだ。照明は私の事を考えずにいるのだろうか。




ああ、嘆かわしきこの世界。




目立たせるべきこの私を差し置いて他に光を当てるとは何事なのか、主役は私だ。私なのだ。なのになんで誰も見ない、汚泥で濁りしその眼は空虚な曇天何が映る?




陽光をあがめて私を見つめよ讃えよでなければ生きる価値無し。止まれ。




遂ぞ上に昇ることも無く周りは審美眼の無い盲目の烏合。真の私を見出す記事は刷られない。何が可笑しい嘲笑と蝶番の外れたドアが軋んで協奏する。




その不快さに何も感じずにいたい。




夜目の効かぬ鳥どもめ、ここでも見通しているのは私だけ。囀り逃げるしか脳のないレールの外れた鈍に賛美の暇を与えてやろう。それくらいなら鈍にだって出来るだろう。




鼠を見てるのか鳥たちは?私にも出来ないことはあったようだ。彼らの曇天を晴らす事は難しい様で網膜に日除けをつけているかの様。可笑しいさ。




この場に価値はなく




されど昇ることも出来ず




たまに見かける人間も、私に気付かぬあれは機械。




調子外れに歌う鳥と理解の出来ぬ機械と。何故住処を同じにしなくてはならないのだ。なんなら機械は雨に濡れぬ様にと住処は屋根がある。ああ見る目のない世界。止まれ。




この下層より更に深く。深く。深く。




認めるものが出るまでは、止まれない。止まらせてくれ。痛みと赤黒い汚泥の中で美しい闇を見た気がした。


走れ、その闇に!


鳥や機械はいなくてもそこには私がいるのだろう?



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