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フェアリーテールストーリー。妖精物語。 序章。始まり。

妖精物語。 始まりはいつも雨。


 雨が少し降っていた。彼女は裏の小さな公園に出かけた。青い栗の実が落ちていたので、それを拾った。そして、それを、土のある公園の中央に埋めた。そして、桃の木が植えてある庭のある自宅に戻った。彼女は読書の好きな普通の少女だった。たいてい、一人の時は、読書をするか、空想や考え事をするかだった。

 それは彼女が、十六歳になったばかりのころのことだった。


妖精物語。 ある本との出会い。

 

 僕は、図書館と、近所の国立博物館、そして、果物屋で働いていた。要するに掛け持ちで働いていた。一番好きだったのは静かな、博物館での仕事だった。そうして、仕事が休み時には、古本屋巡りをして、そこで自分の趣味に合う本を見つけて読む。それが大抵のルーティンだった。僕は、幼いころから、本の中の世界が好きで、一週間は八日間ある、空想をしたり、地球と宇宙間には、天国があったり、森の中には妖精の国があるということも信じているような子供だった。母一人子一人で育った僕は、質素な普段の生活の中にも、様々な楽しみを見つける青年になっていた。

 その本に出合ったのは、僕が、いつもの様に休みの日に、古本屋街に出かけた時だった。その日は、古本市が開催されていた。街の通り一杯に並べられた本は、何人もの商人によって、売りに出されている。僕は興味のありそうな本には、鼻が利くタイプである。順番に本屋を見て回った。僕は、ある古い書籍を探していた。ある本の初版本を長年探していたのだ。それは海外の出版物で、レプリカは何度も見たことがあった。その本のレプリカは、妖精が、杖を持ち、もう一人の妖精に杖を渡しているという、絵が表紙のに描いてあった。

 フェアリーテールストーリーという本だった。その本の初版本だけは、表紙が違う、という、噂を僕はどこかで知ったのだった。徹底的に探していた。けれど、その本は、なかなか見つからない。僕はがっかりしてしまった。結局その本は見つからず、僕は帰ることにした。帰り道、水を飲みながら、僕は、公園に寄った。

 雨が少し降っていた。少しそこで、休むつもりだった。公園には誰もいなかった。僕一人だった。周りにも誰もいなかった。公園のベンチで休んでいると、何か、ぼんやりとした、光のようなものが見えた。そこに僕は興味が湧き、近寄って行った。公園の中央だった。土の上に本が落ちている。僕ははっとした。その本には、英語で、フェアリーテルストーリーと書いてある。表紙の絵はない。文字だけ、厚みはかなりある。間違いない。妖精物語の初版本だ。僕は、それを手に取って中身を見てみた。中身は日本語だった。僕は、その本が欲しかった、周りに人はいない。僕はその本を、こっそり盗んだ。そして、わきに挟んで、家に一目散に帰った。


妖精物語 素敵なプレゼント。


 彼女は、新しい本が読みたかった。でも、今日はお小遣いがもらえる日ではなかった。だから、違うことでもして、気を紛らわすしかなかった。でも、彼女は若いから、すぐに気分転換も出来た。この前土の中に埋めた特別大きな青い栗の実がどうなっているか見に行こう。そう決めた。その公園は家の裏だったからすぐに着いた。公園はいつも通り無かった、だから、すぐに、栗の実を植えたあたりに行ってみた。

土は盛り上がったままだった。土をほじくり返してみるつもりはなかった。すると後ろから、

「ねえ、君、探し物。」

と声がした。彼女ははっとして振り返るとそこには、彼女からすると少し年上の青年が立っていた。

「いえ。」

彼女はそう答えた。

彼はこう続けた。

「君、本は好き」

「はい。」

彼女は手短かに答えた。

すると彼は、

「この本、君にあげるよ。」

といって、彼女に差し出した。

「え、いいんですか。」

彼女は、その本を手に取った。

「じゃ。」

彼は、そういうと、すぐに走っていなくなった。

「ちょっと。」

彼女は声をかけたがその時には彼女からは見えない所に彼は行ってしまった。

 彼女は、困ったなと思った。こういう風にして本を人からもらうなんて考えてもみなかった。しかし、ここで本を捨てる気にもならなかった。そしてわきに抱えて本を持って家に帰った。不思議と本の方に目はいかなかった。それは、家が公園の裏で近すぎたからかもしれない。

 家に帰って自分の部屋にそっと入り、彼女はベッドに腰を下ろした。ふっと、ため息をついて、本の表紙を見た。汚れた古い本の表紙には、色あせた金色の筆記体で、こう書いてある。フェアリーテールストーリー。かなり厚い本であることに今さら気づいた。その文字の下に金色の杖のマークがある。そこにそっと触れてみた。そして、表紙をめくってみた。日本語でこう書かれている。妖精物語。ページを開くと、花柄の縁取りがページを四角形に縁取りされて、妖精物語。と書いてある。

 彼女は、不思議とこの本が読みたいと思った。先ほどは突然のハプニングに本を読みたいという気分とはかけ離れていたのに、一周して、こうして自分の部屋に戻ってくると、本が読みたいという気持ちに戻っていたのである。しかし、出かける前の彼女の本が読みたいという気持ちとは違っていた。少なくとも彼女はそう感じていた。そして、妖精物語を読み始めた。


妖精物語。 序章。


この本は妖精のバイブルつまり、妖精の聖典と呼ばれるものです。ゆえに、妖精物語という、名前がついています。これは、素敵な妖精になりたいあなた自身が、実行しなければならない約束と、秘密にしなければならない約束などが書かれている本です。これから、素敵な妖精になるあなたは、様々なテストを受け、本当の妖精になっていきます。妖精として気を付けなければならないのは、妖精としてのマナー、態度、所作、そして、パワーの使い方など、多種多様です。あなたはそのどれにも気を使い、そして、テストをクリアしなければなりません。表紙の金色の杖は、あなたに、パワーをもたらします。パワーが足りないと思ったら、その金色の杖にそっと触れてみてください。あなたに、妖精としての資質が備わっていれば、きっと、パワーを使いこなせるようになりますよ。そう、信じられないようなパワーが。


妖精物語。 第一章。妖精としての心得。


 妖精は、生き物の中では、貴族の一種です。上品に振舞わなければなりません。もし、自分の仲間である、テントウムシと、ある鳥が喧嘩をしていたら、どうしますか。あなたは見て見ぬ振りができないはずです。でも、テントウムシも、その鳥も助けなければならない。そういう時には、あなたは、その鳥に自分を差し出してテントウムシを助けなければなりません。

 そして、あなたはすぐに生まれ変わるのです。パワーを使って。

 パワーを使えば、あなたは、何事もなかったように、そこに妖精として一人でいるでしょう。

 しかし、テントウムシと、その鳥は、もう二度と喧嘩はしません。仲良くあなたを尊敬して迎え入れてくれるはずです。

 次に、妖精は、人を嫌います。ある妖精は、人の匂いが嫌いだと言います。そして、私も、その匂いが嫌いです。人の匂いがつくのが嫌いというのが正しいようです。あなたは、きっと、まだ自分が妖精と人かどうか、区別がつかないでしょう。しかし、この本に読み出しているあなたは、自分が妖精だと自覚しなければなりません。妖精は人とは違いますね。あなたは妖精です。まだ、駆け出しの妖精といったところです。人を嫌って下さい。

 どのように、人を嫌うかという質問ですか。人から隠れるのです。そっと、身を隠すだけです。決して、人のうわさなどしてはいけませんよ。

 次に大切なのは、妖精は、二種類あるということです。一つは私たちのような高貴なエルフ。グッドエルフと呼んでいます。そして、もう一つは、私たちの妖精の世界とは違うところに住む、恐いエルフ、そう、ダークエルフです。あなたは、決して、ダークエルフたちと、つるんではいけません。ダークエルフたちは、利口で私たちよりも、賢いのですが、時に人間とつるんで悪さをします。そして、毒が好きなのが彼女たちの特徴です。悪い蜜を飲んだり、時には、私たちグッドエルフにさえ、毒を飲ましてダークエルフに変えてしまいます。毒を飲んだら、まず、目が覚めることはなく一生を、ダークエルフとして、生きなければなりません。そのことを、心に大切に、しまっておくのですよ。

 ここで、一度、講義は終了します。あなたは、約束の妖精として、この後の時間を過ごすのですよ。


妖精物語。 感謝の言葉を言いたくて。


 彼女は、すぐに、彼にこの本のお礼が言いたかった。読みかけの本がよみたかったが、それより先にこの本のお礼が言いたかったから、裏の公園に来て、彼がいないか、確かめに来ていた。でも、彼はいなった。どうやら、彼は来そうになかった。だから、彼女はその本の続きを読むことにして家に帰った。行きの道も帰りの道も誰にも会わなかった。家に帰って、母親にただいまを言って、自分の部屋戻った。そして、続きを読むことにした。


妖精物語。 最初のテスト。


 これから最初のテストを行います。あなたは、私の一番弟子です。大丈夫ですよ。必ず、このテストに合格できると信じています。では、テストを行う前にルールを説明します。あなたが、これから受けるテストは、妖精の基本動作を覚えるためのテストです。決して、下を見ないでくださいね。下を見ると穴に落ちて、ダークエルフに誘われてしまうか、一生を使っても、出られることのない、オークとゴブリンの穴に、落ちてしまいますからね。そう、下を見ないで。決して下を見ないこと。


妖精物語。 最初の闘い。


 「あなたの足もとは、今、不安定でしょ。」

 私は、足の感触だけで、足元を確かめた。

 「そう、ここは蜂の巣の中。私は、女王蜂。あなたを、この巣の中から、振り落としてあげるわ。」

 私は、そうはさせないと思ったけれど、どうしようとも思った。小さなハニカム構造の足元が、足元に一つあることが分かったけれど。そこ以外は何かつかみきれなかった。下を見ないようにしていたからだ。

 私は、彼女との約束を守るために下は見れない。けれど、働きバチたちが、私の方に向かってくる。

「私の兵隊たちの、力が、わかるかい。そして私の力が。」

 恐い、体に緊張感が走る。どうしていいかがわからない。下を見てはいけない。私は、彼女が言った約束を、もう一度、思い出してみた。そして、表紙の金色の杖を、指先で、触れようとした。

「何をしているんだい。お前。」

 彼女が私を制止しようとしているのが分かった。下を、見てはいけない。約束を守りながら、私は、本の表紙の金の杖に触れた。

 そうすると、あたりに、光が差し込み、ここは、女王蜂の巣の中だと、はっきり私に自覚させた。女王蜂の顔が見える。美しい妖精の顔をしている。しかし、私は、直感的に、ダークエルフなんだと悟った。

 私は彼女を倒さなければならない。でもどうやって。彼女は、ずいぶん遠くの方にいた。下を見てはいけない。彼女は怖かった、足元が、小さすぎることが分かっていたから、けれど、働きバチたちは、私を、威嚇してくる。どうしよう。でも、私は、少し冷静に対処することにした。そうパワーだ。表紙の、金の杖を触りながら少しだけ上を向くことに決めた。だって、正面を向いていると、働きバチが私を攻撃してくるから。そっと、表紙に手をまわし、金の杖を触れながら、私は、上の方の女王蜂の方を睨みつけた。するとブンという音とともに、自分は浮き上がった。え、私に羽が生えている。そうだ。私は妖精だ。飛べる。考える間もなく、女王蜂の目の前に、私は飛んでいた。

「へえ、やるじゃないか。あんたも、少しは、飛べるんだね。その羽で。私だって飛べるんだよこの羽で。」

 フワリと女王蜂も飛び上がり、羽をぶんぶん鳴らしている。明らかに私を威嚇しているのがわかった。私は少し怖かったけれど、冷静に、下を見ないことだけは守っていた。

「あんた、飛べるようになったんだね。じゃあ、ご褒美に、一個だけ、言うこと聞いてやるよ。その代わりに、次はあんたが、言うこと聞く番だからね。」

 女王蜂は言った。

 だから、私はこう言ったんだ。

「下を見なさい。」

って、だから、女王蜂は私に負けて、下に落ちていったんだ。


妖精物語。 ふっと一息。


 彼女はここまで読み終えると、一度、息を整えて本を閉じた。気づくともう夜だった。あっという間の時間が過ぎてしまった。少し今日は疲れたけど、明日は、もう少し、成長しているかなと、彼女は今日あった出来事を思い出していた。妖精物語、彼女はこの本が気に入っていた。

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