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【完結済/手直しするの止めました】神殺しの皇女  作者: 埼山一
第九章 クニを盗ル(二)
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第87節 暗い世界で一人 やめた者

 わたしが探しているもの――

 そもそもそれは見つけることができるものだったのか。

 どれだけ探しても見つからないそれは、それでもわたしに見つけてほしいと願っているのか。

 答えはない。あるわけない。


(だってわたしが探しているものなんて、もうどこにも存在していないのだから。)


 それに気付いた時、不意にわたしは彷徨うのをやめた。




(くーちゃん……。)


 ヒカリ――

 わたしは闇の中で見えなくなったヒカリをずっとずっと探し続けていた。

 必死に手を伸ばしてもがいていた。

 それがどんなにささやかでも、それがどんなに儚くても、ヒカリさえあればわたしは上を向いて生きてゆくことができた。

 誰でもいい。

 何でもいい。

 わたしを求め、わたしを照らしてくれる、そういうものが必要だった。

 代わりになるものなんてあるわけがないと頭では理解しつつも、探さずにはいられなかった。

 それでも、そうして足掻き続けた果てにわたしを包みこんでくれたのは、冷たくて温い闇しかなかった。

 広がっているのはあの森の中と同じ、恐怖と失望ばかりがあちこちで手招きしている昏い昏い世界。

 わたしはもう誰からも求められない存在になった。

 わたしはもう誰からも見離された存在になった。

 だから今はもう泣いてもいい。

 何故なら、くーちゃんはいない。

 だから今はもう叫んでもいい。

 何故なら、おひい様はいない。

 わたしを照らしてくれるものも支えてくれるものも、もうないのだから。


(あ……あ、ああぁ……ぁ……。)


 虚空を仰いで泣いてみる。

 それでも涙は出なかった。


(わあーっ!)


 彼方に向かって叫んでみる。

 それでも声は出なかった。

 わたしはどこまでもつまらないわたしであろうとしていた。


(ふふ……。でもいいの、わたしはタマズサだから。)


 タマズサは泣かない。

 タマズサは叫ばない。

 タマズサはただそこにある、そういうもの。

 そして誰の気に留まることもなく朽ちてゆく、そういうもの。

 だからわたしも泣くことはないし叫ぶこともない。

 ここは暗闇というよりは虚無の世界。

 辛いけど、悲しいけど、ただそれだけの世界。


(ふ、ふ……ふフフ……。)


 わたしはわたしが何者で、何がしたかったのか――それすらもだんだんと分からなくなっていた。

 もう何もかもを諦めて、ありのままの自分とこの暗闇の世界を受け入れる。

 そんな気持ちに傾いていた。


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