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【完結済/手直しするの止めました】神殺しの皇女  作者: 埼山一
第九章 クニを盗ル(二)
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第86節 暗い世界で一人 烏瓜を見た者

 何を探しているのか分からない。

 分からないけど、何かを、どこかを探し続けている。

 ここは暗くて怖い。

 それでもわたしは闇の中を彷徨い続ける。




 また失敗した。

 またできなかった。

 こうして思い返してみれば、いつもわたしは肝心なところでしくじってばかりいた。

 人助けのつもりが、森の出口を探して迷って――

 ムジナが決死の覚悟で手負いにしたオオトリを逃がして――

 環濠の底から引き揚げられて、そのまま牢に繋がれて――

 タケハヤから故郷のことを聞き出す、そんな簡単なことすら満足にできはしなかった――

 うまくいったと思っても、振り返ってみればそこには常に誰かの厚意や助けがあった。


(わたし一人では何もできない。)


 いつまでたっても何かに頼らなくては生きてゆけない。


(カズラ……。そう、まるでタマズサみたい。)


 わたしは、あの山で見かけるひょろひょろと何かに巻き付いて、夜の間だけひっそりと咲く花を自分に重ねて、その不甲斐なさを嘲り笑ってやった。


 わたしはきっとタマズサなんだ。

 寄る辺がなければ、地を這い、成すがままに踏みつけられるタマズサ。

 月がなければ花を咲かせることもできないタマズサ。

 何かに取り付かなければ立つこともままならないタマズサ。

 自分だけでは咲けないタマズサ。

 自分だけでは立てないタマズサ。

 月のヒカリも支えも失ったタマズサは何に頼って咲けばいいのだろう。

 分かっている。

 答えはない。

 あるはずがない。

 分かっている。

 すべて失われたのだから。

 ただ寝そべって朽ちるのを待つだけのタマズサ。


 それが本当のわたしだった。


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