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【完結済/手直しするの止めました】神殺しの皇女  作者: 埼山一
第九章 クニを盗ル(二)
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第84節 暗い世界で一人 支えを求め揺蕩う者

 わたしは、こんなにも嫌っていた暗闇の中でも、彷徨い続けることをやめていなかった。

 やめたくてもやめ方が分からない。

 わたしが何を考え、どう思おうと、わたしは彷徨うことをやめようとしない。




――どうか、生きてくださいましね――


 土牢の中で聞いたあの言葉。

 知らず知らずのうちにわたしの心を支えてくれていたあの声。

 はじめはくーちゃんの声だと思っていた。

 くーちゃんがわたしを励ましてくれた。

 くーちゃんが傍にいてくれる。

 くーちゃんの声だと思えばこそ、わたしの支えになっていた。

 だけど違った。

 今なら分かる。

 あれはおひい様の声。

 おひい様が牢に繋がれたわたしを憐れんでかけてくれた声。

 優しい(ひと)

 強い女。

 わたしが想い描いた理想のおひい様そのものだった。

 あの女のことは好きだ。

 あの女のことは尊敬している。

 たとえあれが彼女の声だったとしても、わたしを支えてくれたことに変わりはない。


(でも……。)


 でも、そのおひい様もわたしの味方にはなってくれなかった。

 あの時、トラひげの暴威が自分に向くのを怖れたのか、あの女は目を合わせてはくれなかった。

 手を差し伸べてはくれなかった。

 それが分かってしまった時、わたしの支えは失われた。

 独りで立つ力を得ることも叶わないまま、支えだけが取り払われた。

 わたしはもう立つこともできない。


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