第52節 無援の刑罰
「いやあああああ……!」
あれから何日かが経って、終わったと思っていた棒叩きが再開されるとわたしは痛みと恐怖に耐えきれずに泣き叫んでいた。
「ふたーつ!」
「やあああああ……!」
なんで?どうして?こんなことになっているの?棒叩きは終わったはずでしょ!?
「みーっつ!」
「やああああ……!」
打たれるたびに閉じかけ、乾きかけの傷が開いて血を噴き出している。
「よーっつ!」
「ああああ……!」
(助けて!おひい様!そんなところで見てないで!)
トラひげの傍らに俯き控えるおひい様はわたしから目を背けてばかりで想いは届かない。
背中の肉が打たれるたびに、もう元には戻れないのではと思えるほどにほぐされてぐずぐずになっていくのが分かる。
「いつーつ!」
(助けて、父さま!助けて、母さま!助けて、兄さま!)
涙、洟、涎……そういったあらゆる水が鼻を詰まらせるものだがら、ひぃひぃと口で呼吸をしてみるが、どんなに息を吸っても吐いても楽になることはない。
「むっつー!」
「――――!」
(助けて、みんな……!誰でもいいから助けて……!)
「ななーつ!」
(助けて……くーちゃん……。助けてよ……もうだめ……死んじゃうよ……。)
泣けど叫べどわたしの想いが誰かに届くことはなく、ひゅ……ひゅ……とかすかに聞こえる呼吸の音だけがわたしの生存を教えるようになったころ、ようやくその日の刑罰は終了した。




