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【完結済/手直しするの止めました】神殺しの皇女  作者: 埼山一
第四章 囚われの地で
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第26節 おひい様

 しばし後、落ち着きを取り戻し、食事を終えたわたしは彼女と語り合った。

 彼女はこのクニの大王(おおきみ)、あのトラひげの娘だという。つまりおひいさま、わたしと同じだ。

 実際にはトラひげの姉の子なのだが、トラひげに子がなかったため、アイツの養女となったらしい。

 ほかにこのクニのこと、彼女の務めなどを語ってくれた後、最後にこう言った。


「わたくしがその場にいればこんな仕打ちはさせませんでした。どうか許してくださいまし。」


 優しい人。これまでのわたしに施してくれた行いからもそう思わずにはいられない。

 はじめ、わたしはわたしのすべてを詳らかにすることは憚られたが、


「言いにくいことは言わなくて結構ですからね。」


 という彼女の言葉が返ってこの人に隠し事はしない方がいいと思わせた。




「まあ、それは……大変な苦労、と言ってよろしいのでしょうか。大変な思いをされたのですね。」


 クニのこと、くーちゃんのこと、オオトリのこと、辛いこともすべて話して気落ちしたわたし、彼女はねぎらいの言葉をかけて目元ををぬぐった。


「あなたの苦労にどのように報いればよいかわかりませんが、しばらくの間はここでゆっくりと体を休めるとよろしいでしょう。」


 体を休めろと言われても、いくら牢を出たところでわたしが虜囚の身であることに変わりはない。

 彼女に庇護されたと言ってもこれからどんな扱いを受けるのか分からない。


「それも心配いりませんよ。わたくしの手の届く限りの非道な行いはさせませんから。」


 なるほど大王の義娘(むすめ)が特にと目を配るのであれば、それもできないことではないかもしれない。


「それに、今はつらいこともございましょうが、いつかクニに帰して差し上げますからね。」


 クニに帰れる。虜囚という立場では切り出しにくかったことを彼女の口から聞いたことで、視界がわずかにぼやけてくる。

 本当にそんなことが叶うのかと目を向けた彼女の表情は自信に満ちている。本当にやってくれる気のようだ。

 不意のことで言葉が詰まって出てこない。

 わたしは頑張って言葉を絞り出そうとしたがどうにもならず、せめて頭を下げることで謝意を示した。


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