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【完結済/手直しするの止めました】神殺しの皇女  作者: 埼山一
第三章 神を狩る
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第17節 森を征く(後編)

 夜が更けた。

 眠っているところを起こされたわたしは、櫓代わりの木に登ると枝ぶりを確認して、そこに腰掛ける。

 視界が開け、眼下には葉を落とした森の影が広がっている。

 しばし周囲に目を配るが、黒々とした森の様子に変化は見られない。

 来ると思われていた雨は未だ来ていない。薄曇りの中、その匂いだけが雨が近いと予告していた。




 夜風が身に染みる。

 いくらか湿り気を感じる程度には乾いた(くつ)(はかま)に恨めしさを感じながら、羽織っていた毛皮を引き絞る。

 曇天に覆われた夜の森といっても、こうして高い場所に登り目が慣れれば意外なほどに辺りの景色が見えてくる。

 この旅の中で得られた新たな発見は、暗闇に怯みがちなわたしの心に勇気を与えてくれていた。


(夜の森かあ。)


 そういえば……くーちゃんと初めて会った時も川を渡って森に入って行ったな。

 そのあと、遊んでただけと言われた時の気まずさったらもう……。

 ふふ……と思い出し笑いなどしていると、森の様子が変わっていることに気が付く。

 それまでは黒々としているだけの森の木々に輪郭が見える。

 とある一点を中心にそうなっているようだ。

 月。とも思ったが違う。相変わらずの空模様で月は出ていない。雨の匂いは強まる一方だ。


(これは……!)


 と思い、ムジナを起こそうと枝から降りようとしたのだが、


「あれか?」


 気配を感じさせることなく、隣の枝に陣取っていたムジナに思わずひぇっと声を上げそうになり、慌てて幹にしがみつく。


「……はい。」


 毛皮を下に落としてしまってもなお寒さを感じないほどドキドキと脈打つ胸を押さえつけながら答える。

 わたしの答えを聞いたムジナは木から滑るように降りると、光の中心地に向かってゆく。


(本当にオオトリなの?でも……。)


 見逃す手はない。

 半信半疑。そんな気持ちのまま、わたしは遅れまいと彼の後を追った。


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