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…窓際には、君が  作者: たかさば


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驚き

「「「お誕生日おめでとう!!」」」

「どもどもwwwまあ、上がりたまえwww」


 木曜、僕と由香、布施さんは…森川さんのアパートにお邪魔して、ものすごい光景を目にした。


 …人って、こんなにも手際よく同時進行で調理ができるものなのかってね?!

 ケーキを焼きながら唐揚げを仕込み、サラダを準備しながらスープを温め、サンドイッチをてきぱきとカットしながらオムレツを焼き、テーブルに映え感たっぷりのフルーツサイダーをかわいく配置するとか…すごいぞ、もしかして森川さんは、料理研究家の先生なのかもしれない。


「モーリー、これチーズ削っておいてもいいのかな?何に入れるの?」

「お好みでオムレツかスープに入れると良きwww」

「あたしスープにいれよう!!あ、ボウルここにあるよ!!」


 はじめは僕も一緒に調理の手伝いをしてたんだけどさ、なんていうか…邪魔になりそうで、テーブルやカトラリーの準備をしてたら居場所を失ってしまって。続々と完成してくるご馳走を目の前に、テーブルで待っているとか…なんだい、このだめ亭主っぽさは。……ちょっと声をかけておかねばなるまい。


「僕は何をしたらいいかな?ごめんね、一人優雅に見学してしまって。」


「石橋君は労い係なのでwwwさあ、今すぐ耳触りの良き言葉をwww」

「あ、バックミュージック担当でもいいよ!!!カナキュンの歌声、聞きたい!!」


 むむ、これは…はしゃいでいるな。森川さんと布施さんの表情がやけにニヤニヤとしてるじゃないか。これは期待に応えねばなるまい、さてどんな言葉を口に出そうか……。


「彼方!よかったら写真撮ってよ、みんなで楽しんでるところ、写して?!ほら、私たち今手が粉だらけだったりで…お願い!!」


 僕の微妙な表情をいち早く感じ取った由香が、すかさずフォローを入れている。この気の利き方はどうなんだ、将来秘書とかやったら、あっと言う間に中小企業が株式上場しそうだ。


「はは…すごいね、チーズってこんなにふわふわになれるんだ、固形物として生まれて、こんなに乙女心をくすぐる見目になれるなんて…幸せ者だよね。はい、みんな、ボウルを囲んで、はい、チーズ。」


「ちょwwwしゃれかよwww」

「チーズまでタラスとかカナキュンすごすぎる!!!」

「あ、今から唐揚げ持って行くよ、こっちも撮ってー!!」


 みんなめちゃめちゃはしゃいでいるな…。

 いいなあ、こういう…女子っぽい会合…。僕、女子大入ってホント良かったよ…。



 テーブルの上にずらりと並んだ、森川さん自慢の料理の数々。どれもこれも盛り付けまで完璧に仕上がっていて、どこかのレストランみたいだ。これはぜひプリントアウトして食欲のわかない時に薬代わりにして拝みたい!


 しょうゆの香ばしいかおりが実に食欲をそそる、大きすぎず小さすぎないパリッとした唐揚げはサンチュの上で葉が萎れる前に食べなさいと訴えかけている。


 焦げ目のない、エッグイエローのオムレツはこれぞ正に芸術品という形でお皿の上ですましている。


 程よく熟した緑のアボカドと、少し黄色味の強い品種のジャガイモ、可愛らしく花の形に整えられたニンジン、ぷりぷりのゆでたてコーン、サイコロ状にカットされたお手製鳥ハム、それらがまさかの手作りマヨネーズで和えられて一体化という奇跡のサラダが自信満々で中央を陣取っている。


 おしゃれなガラスのボウルには、パチパチと爆ぜる音を響かせながらカットフルーツ達がサイダーの海の中でくすぐったそうに気泡を纏い、グラスにいれられたまんまるアイスボールが、今か今かとフルーツカクテルソーダを待ち構えている。


 丁寧に具材を挟み込んだサンドイッチたちはオシャレなピックを誇らしげに掲げて、共にパーティーを楽しみましょうと語りかけている。


 赤色のかわいいホーロー鍋ではとろとろのポタージュスープがふわふわのチーズと混ざることを待ちかねて、湯気の手を伸ばしている。


 そして森川さんの前には、苺の輪切りがブランド品みたいに並んだ、かわいいのに洗練されたセンスの光るケーキが置かれている。細くて長いロウソクに…布施さんが火を、つけた。オレンジ色の光が部屋の中を照らして…なんか一気に幻想的なオーラになったぞ!!!


「由香、こっち向いて?あ、布施さんはもうちょっとケーキ寄りで。森川さん、もっと顔上げてくれないとかわいい瞳が見えないよ、うん、そうそう!!」


 あまりの映えっぷりに、正直写真を撮る手が止まらない。


「カナキュン写真撮り過ぎ!!」

「あとで共有してね!ふふ!!」


「撮った?じゃあ冷めないうちに食べようwww」


「あ、ちょっと待って!!はい、♪ハッピバースデー♡トゥーユー♪」

「ハッピバースデー♪トゥーユー♪」


 あ、そっか、みんなでハッピーバースデーの歌を歌ってから食べないといけないよねって話になってたんだった。


「♯ハッピーバースデー♭ディーア…」


「「「さくらこちゃん☆」」」


「「「♪♪♭ハーッピバースデー☆トゥーユー!!¡」」」


 ふ――――っ!!!


 パチパチパチ……!!!


「「モーリー、二十一歳のお誕生日、おめでとー!!!」」

「うへへwwwありがとー!!!」


 頭に手をやりながら照れている森川さん…めちゃめちゃかわいいけど、……ちょっと待って、なんか、今、違和感が。


「……二十、一歳……?」

「うんwwwそうだよwww」


「え?二十歳じゃないの?」

「「……えっ!!!」」


 なんだ?布施さんと由香が、フリーズしているぞ……。


「あれ、石橋君って…あたしが一つ上ってこと知らなかったっけwww」


 そうなの?!

 ちょっと待って、聞いた事ないぞ?!


「初耳だ……。」


 仲良くしてたのに僕だけ知らなかったって事かい……。地味に凹むぞ……。


「カナキュンは人の話あんま聞いてないっていうか、興味無しっぽいとこあるから…私は去年の親睦旅行の時に聞いたよ!モグ、もぐ…唐揚げがうますぎて神!!」

「私は…免許取る時に聞いたかな?…わあ!このオムレツ見て?!トロッとろ!!!」


「あたしは高校、定時制出てんのwwwまあ、つまり実は君より一つ上なのさwwwまあ、気にすんなwww」


「気にするよ…。」


 少々落ち込みつつ、サラダに手を伸ばして一口…、うわ!これは…ウマイ!


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