学生会新メンバー加入
「ちっす!!美学の小田原織江っス!!ここからすぐ近くの南芥川に住んでるっす!!」
「美学、原西こずえです。学生寮に入ってます、よろしくお願いします。」
「人間関係学科一年、大下花です。あの…私実は二十歳越えてるんですけど、一年生で…よろしくお願いします!!」
「英米の、志田潤子で~す!」
「はい、皆さんようこそ学生会へ!!!私はー!今日彼氏をゲットしたてのラブラブ会長、相川由宇でーす♡よろしくっ!!」
「ええと…じゃあ、自己紹介していこうか、私は英米四年の三上春奈、去年まで会長やってて、今年は10月の学園祭までいます、よろしくね!」
「私は人間関係学科四年、早瀬麻衣です。去年は会計をやっていました。同じく10月までいます。」
「わ、わらひは、び、じゅびつのよん年、楠瑞希ちょ申し上げる!!は、はひー、しゅみましぇむ!!!」
「私は人間三年、東浦桃花です!今年の会計やってまーす!」
「わた…人間の二…柴本ここ…す。会計監査……。」
「Hi!!宮森ティアラ要二年生のエイベイ!!!カイケーカンサー!」
「英米二年、佐藤珠美です。」
「ういっすwww美学二年、書記の森川桜子ですwwwよろよろwww」
「副会長の石橋彼方です、美学の二年です…よろしくね?」
「おっす!おら図書館のユーキ先生!本借りに来てね!!」
「お疲れ!俺は麗しの歌声を持つ男として名高い東洋美術史の助教授、河合先生だ!!一曲歌う?」
「いえ、けっこうです。では自己紹介も終わったところで、今回の反省会をします。森川さん、この紙…記入お願い。」
「へいよwww」
無二球ダイランドから無事大学に戻ってきて、学生会室にて恒例のイベント後の反省会をするべく、会議机の前に役員が集まっているわけだけれども。やけにテンションの高いおっさんが一人いて、心がささくれ立っていたりしないでもないが、それはさておき。
結城先生の隣から、ずらりと並んでいるのは…フレッシュな一年生!今年のバスレクはどの号車もずいぶん盛り上がったようで、何人かが学生会という組織に興味を持ってくれたらしい。ありがたいことだ!
小田原さんはぼくのバスに乗っていた、一見するとやんちゃな少年みたいな人…元気いいなあ、アンケート用紙を勢いよく持ち上げて…あー、全部床に落としたぞ。ずいぶんこう…ガサツなイメージが…。
原西さんは森川さんと楠先輩のバスに乗っていた人だ、小田原さんとは違った意味で小学生みたいだ、身長、早季先生と変わらないんじゃない?アンケート用紙をきっちり重ねて次の人に渡しているぞ、几帳面だな。
大下さんは年上?なのか、そういわれてみれば落ち着きのある佇まいをしているな、何かメモを張り付けている…気になるところを共有するためか、真面目だな…。
志田さんは見た目のインパクトが…こういうのゴシックロリータって言うんだよね、すごいなあ、めちゃめちゃゴージャスなレースだ…手作り?楠先輩がやけに見つめているぞ、興味あるんだろうか。
学生会に入ってくれた一年生の様子をちらちらと確認しつつ、アンケートに目を通してめぼしい意見を確認していく。
今年の親睦旅行は多少の問題はあったものの、おおむね大成功で無事終了した。相川先輩が帰りのバスの前でいつまでもいちゃいちゃしていて実に見るに堪えなかったというタレコミが某声の小さい人からあったり、バスの中で切ないラブロマンスが展開されてて鼻血を吹いてしまったという報告を聞いたりはしたけどさ。まあ、参加者の皆さんからはずいぶん喜びの声をいただくことが…うん、できてるな。アンケートの五段階評価がほとんど大満足だ!!いろいろ計画をしてよかったなあ、一生懸命やれば何事もちゃんと返ってくるのだ、来年もこの調子でいきたいところだな……。
みんなでアンケート用紙を見ながら、ああだこうだと意見を交わし合い、より良いイベント開催への道を探る…相変わらずの騒がしさだ、話の流れの分かっていない一年生を巻き込んで実にまとまりのない感じでサクサクと反省会が進んでいくぞ。
うちのバスは帰りのワンマンライブが大盛り上がりだったと鼻高々におっさんが声高らかに語り、美学Bは楠先輩の完璧なMCぶりがすごくて台本の存在の大きさを知ったらしい、来年からはマニュアルを作った方がよさそうだ。
人間Aは柴本さんがマイクを使ってキッチリと進行をしたらしい。相川先輩は帰りのバスの中はず――――っとおニューの彼氏とラインをしていたみたいなんだよ、頑張ったなあ…。声が小さいとはいえ引っ込み思案なわけでは決してないんだよね、どちらかというとあちこちに顔を突っ込んでいつの間にか騒ぎの中にいるタイプだし、そうだなあ、今後は文明の利器を用いてもっと前に出てもらった方がいいかもしれない。
人間Bは動画実況もやっている東浦先輩が実にうまい事盛り上げたようだ。しっかり者の早瀬先輩が完全に裏方に回ったのでMCはそちらに集中することができたんだな。ずっとおすそ分けおやつ袋がバス内を巡って、子供会のお楽しみ旅行みたいで楽しかったらしい。盛り上げ役とバス内の細かい作業をする人、きっちりと分けた方が機能性が高そうだ。
英米Aはわきあいあいとした雰囲気だったらしい。三上先輩の流暢な英語でのMCからの流れでなんでも大人気の児童書の翻訳について熱い談議が始まり、英文の解釈について討論会とまではいかないもののかなり白熱したようだ。結城先生はおやつを食べる暇もないくらいツッコミを入れたり小話を挟んだりしたそうで…そうか、このおっさんの食欲を止めるには、脂肪と共に貯め込んだ知識を放出させればいいんだな。
英米Bはかなりアメリカンな盛り上がりだったようだ。ティアの無邪気なMCが車内を盛り上げ、フレンドリーな英会話が飛び交い、完全に人同士の垣根が消失しまるで子供部屋みたいだったのだそう。騒がしくてとてもバス酔いや体調を悪くするヒマがなかったと佐藤さんが笑っている…明日から入院とかしないよね…。
各バスとも、お手伝いさんがいて助かったけれども、いなくてもなんとかなりそうだという意見でまとまった。うちのバスはお手伝いさんがいないと正直きつかったから、少々不安を覚えないでもないぞ……。というか、バスの相方ガチャが大外れだった感が否めない。来年は絶対に由香に手伝ってもらおう!!!
写真係は大成功だったけど、来年はどうなるかな。お手伝い制度はおそらくなくなってるはずなので、学生会メンバーで頑張るしかないけど…今年のクオリティを保てるかといえば不安だ。来年も大崎さんと川村さんにお願いしてもいいけど、それでは学生会としてのスキルが向上しない。東浦先輩と柴本さんも頑張っていたけど枚数は少し少ない…いや、お手伝いの数が多すぎるのかもしれないぞ。ちょっとした課題だな、今年のバス写真の掲示をしてからまた問題出しなどする方がよさそうだ。
「おーし!今年はこんなもんか!じゃ、イケメンこれ提出頼むわ!はい、今日は…かいさーん!」
「はいお疲れ。」
「お疲れ様。」
「あーん♡けい君からまたライン来たー♡えへへ、お疲れさまっ!」
「おつかれー!あーおなかすいた!」
「おつおつwww」
「え、また僕が持って行くの?!」
「ひゃ、わ、わらしもおちゅきあいしまちゅ!!」
「しーゆー!!」
「お疲れさまでした。」
「おつ…で…た。」
「お疲れっしたー!あっしもついてくっス!!」
「私もお付き合いします!」
「私も伺いますね。」
「あたしも行きたいで~す!」
「おっし!じゃあカギ閉めるぞー!忘れもんしないようにね!!おーし、俺ももう帰ろ!新鮮なソーセージの風味が落ちちゃう!」
「落ちるかよwww」
「落ちるかな?」
「落ちるのかもしれないねえ。」
「おちるかもでひゅっ。」
「私は恋に落ちたけどっ♡」
「ああー、落ちる落ちる!」
「…ち、ま……。」
「Lose taste?落ちる味―!」
「落ちる?」
「落ちるんスか?!」
「落ちる部分もあるかと思います。」
「落ちると思えば落ちるものですね。」
「落ちるんだ~なるほど~。」
「おーちた落ちた♪」
何なんだ、この…結束した感じの緩さというか、流れは……。
僕は少々呆れつつ、森川さんと楠先輩、新人役員の皆さんを引き連れて学生部へと向かったのであった。




