割り振り会議
「おーし、じゃあ割り振り決めてくか!!えーっと、学生会スタッフは俺と結城先生、会長に早瀬女史、相川嬢に森川嬢、楠君に東浦君、ティアに佐藤君、柴本君に…イケメンは嫁ついてこないんだっけ?」
結城先生が学生部と懇談中だとかで、本日の学生会は一円玉はげの修復されたおっさんによる進行がなされている。たかだか3.14c㎡の地肌部分を相川先輩のアドバイスでアイライナーペンシルを使ってわざわざ塗りつぶすとか…なんというか、女々しいというか往生際が悪いというか……。そんなに気になるならいっそ頭を丸めたらどうなんだ。地味に腹立たしいんだけど。
「……由香は来ませんよ。残念ながらね。」
そう、今回由香は…不参加が決定しているのだ。なんでも幼馴染?が二年ぶりに帰ってくるとかで、微妙に忙しいみたいなんだよね。お願いすればたぶん来てくれる…とは、思う。けど、微妙に…僕の希望で由香をねじ込んで参加させるには、分が悪い状況があってだね。
……乗車席に余裕がないんだよ。バスの定員は最大60名。一年生の数は各学部およそ100人だから、全員出席した場合一台のバスに乗る学生は50人、そうするとスタッフは10人乗ることができる。だが、これは最大限に乗った場合であり、補助席も使わないといけなくなってしまうので、できる限り人数は少なめにしておきたい。バスレクの時に座席の間を移動する事になるので、助手席はあまり使用したくないんだよね。まあ去年の参加状況を見ると、恐らく各車45人くらいにはなると思うんだけど、余裕を持ちたいから1台に乗るスタッフは4人までって決まってしまって。
お手伝いの募集に応募してきた人たちが50人いたんだ。無理やり詰め込めば全員採用でもまあ…何とか行けそうだったんだけど、そこまでしなくてもいいかってことで、学生会メンバーが12人いるから、お手伝いの人も12人入れようって話になった。結果としてわりと競争率?倍率が高くなってしまったから由香を入れちゃうと…どこからクレームが入るかわからないってね……。なんていうか、募集しなくても行けたんじゃないか、募集したがために由香は参加できなくなってしまったじゃないか、そんな恨みのようなものが、正直拭えないというかさ……。
「石橋君ね、わかりやすくてウケるwwwユカユカロスの影響がマルバレだwwwまあ、そんなにイライラしなさんなwww」
むむ。僕の苛立ちはそんなに外に漏れ出しているというのかい。
「たった1日会えないと思うだけでこんなんなっちゃうんだ……なんか情熱的なんだね意外と。」
相川先輩にしみじみ言われるとなんかむず痒いな。意外とって何だ、微妙に悪口じゃないの、もしかして。
「いつも横にいる人がいないと不安になる、当たり前のことでしょう?」
「WAHOO!!」
「すごい、言い切ってる!」
「は、はわわ…!!!ゆ、由香ちゃん幸せ者っ!!!」
「ああー、あの嫁は良い嫁だよね、赤くなるとこめっちゃ可愛かったし!」
「…っ、っです!!!」
「へいへいwww」
「けっ!!つまんねえ独占欲だよ!余裕のないお子様はこれだから…その点俺は落ち着いた大人の男性として……。」
「落ち着いた大人の男性はランチでケーキ3つも食べないと思うよ……。」
「だからこういうところがモテないんだって言ってるのに……。」
なんだもう、騒がしいな。結城先生が来るまでにもうちょっと議題の内容をすすめたらどうなんだ。こんな調子だから小太りのおっさんは信用がならないんだよ。率先して会議をめちゃくちゃにしてどうするんだ。
「はい、もうこのお話は終了!バスの割り当て、しますよ!!はい、書記の森川さん紙用意!」
「りょーかいwww」
おかしな話題で貴重な昼休みを浪費してはならない。サクサクと作業を完了させていくべきだ。
会議テーブルの上に白い紙を広げ、鉛筆を握るのは、今年度書記に任命された森川さんだ。ちなみに、今年の役員は、会長が相川先輩、会計が東浦先輩、書記が森川さんで、僕が副会長、会計監査がティアと柴本さん。病弱で欠席しがちな佐藤さんと四年生である三上先輩、早瀬先輩、楠先輩は役職がなし。
「やっぱり学科は揃えて乗車するべきだよね。美学は河合先生と石橋君、さくらこちゃん、楠ちゃんで割り振って、人間はあたしとももちゃんとしばっちと麻衣さん、英米はティアとかいちょー…じゃない春奈ちゃんとシュガー佐藤ちゃんでいいんじゃない?」
「結城先生はどこに?」
「あの人英語ペラペラだし英米でいいんじゃないのwww」
「シュガーちゃんは体調どうなの、イケそう?」
「私去年入院してて行けなかったから今年は行きたいな…行けるといいんだけど……。」
「OH…Let's go in warm clothes……。」
「そうだね、今から体調管理しておこうね。」
「じゃあ、あとはお手伝いさんと各バスに二人づつ配置でいいんじゃない?」
「美、びぎゃくのお手伝いさんは二人しかいみゃせんよぅ…?」
「ええと、美学のお手伝いさんはね、車で行く人がほかに二人くらいいるんですよ。」
「……げんは、おおぃです。」
「まあ、お手伝いの人はコミュニケ図れなくてもいいんだし、適当でいいんじゃね?」
脱線しがちではあるものの、我が学生会は息の合った集団?だから、やる時はやるっていうか…うん、あっという間に人員配置は決まった。
美学A:僕、河合先生+人間のお手伝いさん一人と美学のお手伝いさん一人
美学B:楠先輩、森川さん+人間のお手伝いさん一人と美学のお手伝いさん一人
人間A:相川先輩、柴本さん+人間のお手伝いさん二人
人間B:東浦先輩、早瀬先輩+人間のお手伝いさん二人
英米A:三上先輩、結城先生+英米のお手伝いさん二人
英米B:ティア、佐藤さん+英米のお手伝いさん二人
若干英米のB、ティア佐藤さん組が心配でもないけど、もしもの際は結城先生が移動するってことでひとまずまとまった。佐藤さんの体調が思わしくなければ、結城先生が佐藤さんの位置に入ることになるんだけど……入らない方がむしろうまくいきそうなにおいがプンプンするんですけど。
「おいーっす!!割り振りきまったー?べふー!!!」
勢い良く学生会室のドアが開いて、…なんだあのおなかは!!!ものすごいはち切れんばかりのまんまるおなかのおっさんがいるんですけど!!!
「ちょwww何喰ったらそんなにでっけえ腹になるのwww」
「Hang on?!ちょー!食べすぎた!!!」
「何食べたの?!ずるい!あたしも食べたかった!!」
「うわ……。」
「違うんだって!!なんかさあ、羽矢君がおいしそうなバウムクーヘン持ってたから食べてやらないといかんと思ってさあ!ぐふっ!そしたら学生部の福田さんがピザ注文するっていうから!しかも藤沢先生が寿司取るとかいうもんだからこりゃあ食べとかなきゃと思って!うっぷ!」
「まさかと思いますけど、食べるだけ食べて何も話が進展しなかったとか言わないですよね。」
めちゃくちゃありそうだ!!
「むむ!!失敬だな!!プンプンべふー!!ちゃんと学生部から許可貰ったよ!今年はもうバス手配しちゃったから無理だけど、来年から希望者も参加できるようになるって!2月に希望を取って、行きたい人はみんな行けるよう言質とったべふ!わりとさあ、学生部乗り気だったよ、繰越金額がずいぶん余ってたみたいで!」
どがしゃっ!!!
食い過ぎたおっさんが折り畳み椅子に腰を下ろしたら…すごい音がしたぞ、地面も揺れたし。あのイスもう使えないんじゃないの……。
「今回のお手伝いさんの分ももちろんタダでいいんだよね?」
「うん、一応ね、新一年生全員分プラス学生会分、お手伝い14人分確保できたよ。」
「14?Hmm…お手伝いさん12人じゃなかった?」
「ああ、車で参加する人が二人いるんだよ、僕の推薦した写真係の子たちなんだけど。」
よかった、地味にあの遊園地は乗り放題付きの入場券高いからさ、ひやひやしていたんだよ。仕事を頼むのに入場券まで支払わせたら申し訳ないじゃないか。
「割り振りは決まったんだよねべぐっ!じゃあ後はバスレクの…んぐふ、ごめん、ちょっとジュース買ってくるわ!!!」
どがしゃっ!!!
食い過ぎたおっさんが折り畳み椅子から立ち上がったら…すごい音がしたぞ、地面も揺れたし。ああ、椅子の座面がおかしな方向にゆがんでいる!!
……あれ耐過体重80キロくらいだよね、完全にオーバーしているとしか思えない、今度羽矢先生が来たら特注の椅子を発注してもらわねばなるまい。東浦先輩の壊した分も合わせて今年に入って3つも椅子が破壊されていてだね!!これ以上学生会室の備品を破壊されては困る!!
「えーっと、じゃあ、バスレクのアイデアある人―!」
「去年の石橋君のでいいんじゃない?」
「いや、あれはタラシがないときついwww」
「ほわーい?たらしってなーに?」
「Lady-killer?」
「ぷっ…アハハ!!!石橋君…She's a player!!!」
「ねえ、なんか僕悪口言われてない?!」
……なんかものすごく居心地悪いんですけど!!!




