〜プロローグ〜 ハジメテノデスカイ⑥
「ええっと、次は…」
元山さんが困った顔で周りを見渡す。
あと残ってるのは3人か。
「深沢海。七岡中卒業生」
小型モニターの近くにいた冷静そうな制服姿の高校生がそう言った。
「ねえ、そんなんだからパッとしない女って言われるんだよ。分かる?」
花ちゃんは挑発するように言った。
「うるさい…」
それをうるさいの一言で返す海ちゃん。
まあ、的確な対応だね。
「深沢サンハ、岩下サンヤ山村サント仲ガ良イデスカー?」
「はい、仲が良いんですよー!だって、BL好きっていう共通の趣味があるからね!」
花ちゃん、BL好きなんだ。
というより、よくこんなことを先生たちの前で言えてることに驚きを隠せない私である。
「仲が良いのはみとめるけど、BLは嫌いって言ったでしょ」
「仲が良いのは認めるんだな!それは、良いことだー!」
畑山さんが歯を見せながら笑う。
畑山さん、BLのことには突っ込まないんですね。
これも、畑山さんなりの気遣いなのかな。
「…」
みんなの仲が深まっていく。
監禁されたことがもし本当だとしても、このメンバーならきっと乗り越えられ――
「あんたら、良い加減にしなさいよ!」
え?
怖そうな女性が大声をあげて言った。
「誘拐?監禁?バカなこと言ってるんじゃないよ!どうせ、サプライズかなんかでしょ?それに、この中の誰かがサプライズ側にいるっていうベタな展開なんでしょ」
サプライズ。
確かに、誰かが驚かすためにやってるって話はよく聞くけど、わざわざ接点のない人まで混ぜてやることかな。
「だと良いですね〜。貴方は僕好みの女性ですね〜。よければ、この紳士にお名前をお聞かせ願いたい」
大黒さんはよくわからないことを言い出した。
七岡中の人って変わった人が多いな。
「で?貴方、キモいんですけど。まあ良い、名前くらいなら教えてあげるわ。私の名前は、上村絵里子よ。超エリートな小学校教師をやってるわ」
上村さんは自己紹介をした。
確かに、気持ち悪いのは少し同情できるかも。
「でも、もう貴方達とは関わらないけどね。ということで私は帰らせてもらうわ」
「さっき扉が固くて開かなかったって言ったよね?」
花ちゃんが不思議そうに上村さんに言った。
「で?あんたらみたいな、ふざけた連中は信用ならないのよ。ということで、私は帰るから。じゃあね、おバカさん達」
上村さんは私たちを小馬鹿にした。
「バカタレはあんただー!それでも、あんたは教師か!」
畑山さんの声も届かず、司令室から上村さんは去っていった。
「おい、お前ら。さっきのやつに俺も賛成だ。サプライズってのは、納得いかないが、さっきから馴れ合ってて良いのか?」
突然、1人の男もそう言った。
自己紹介をしていない最後の1人…
ガラの悪い男性だ。