〜プロローグ〜 ハジメテノデスカイ②
入学式…?
正義のヒーロー…?
私、学校に通ってるよ?
それに、至急って…?
学校だっていうのに先生もまだ来ない…
司令室だっけ?
そこに行けば、先生や他の生徒もいるのかな。
「他の生徒…か…」
私は部屋を出た。
部屋の上にかかっている物を見た。
ミーティングルーム。
机が大きかったのも納得がいく。
部屋をあちこち周り、司令室を目指す。
ヤマモト「ここが…司令室」
闇雲に探して、ようやく見つけた。
そして、扉を開けた。
新しい環境、新しいクラスメイト。
――そう感じてしまう自分がいた。
「また、誰か来ましたね〜」
「これで、何人目〜?」
「11人目だね」
部屋の扉を開けると、性別も年齢もバラバラな10人の男女がいた。
「俺らが入ってきてだいぶ時間たったからこれで最後だろ」
「11人目?私が?」
ガタイのいい男性が教えてくれた。
うわあ…
24時間筋トレやってそう…
???「そう、貴方で11人目」
今度は優しそうな男性が私に声をかける。
この人なら話になるかもしれない。
「あんたら、この状況でよくそんな呑気なこと言えるな」
「そちらこそ、どうしてそんな冷静なんですか〜?」
ガラの悪い男性と穏やかそうな男性が揉め始める。
すると、一部が疑心暗鬼になっているなか、ある人物が会話を切り出した。
「皆さん、自己紹介をしてみてはどうですか?」
それは、さっきの優しそうな男性だった。
やっぱり、できる大人は違うな。
「いんじゃね?」
それに便乗する高身長の女子高生。
年齢は…私と同じくらいかな?
「じゃあ、始めようか。順番はー、話せる人からどんどん話して欲しい」
優しそうな男の人は話せる人からどんどん話して欲しいと言った。
たしかに、この状況なら的確な判断だと思う。
「何話せばいいんだ?」
ガタイのいい男の人が優しそうな男の人に質問をする。
「取り敢えずは、名前と職業とかかな?で、誰から言う?」
「・・・」
「・・・」
その場の人たちは誰一人として反応しなかった。
そりゃ、誰も言いたくないよね。
「まあ、誰もいないよな。よし、じゃあ俺から言おう。俺は、元山裕貴久システムエンジニアをやっている」
最初に言いだしたのは、優しそうな男性。元山と名乗る人だった。
「へー、お兄さんシステムエンジニアなんだー、月の給料いくら?」
派手な服を着た女子高生っぽい子が失礼な質問をする。
その質問はまずいでしょ…
「ちょ!あんたねっ!」
それを止める制服姿の高身長の女子高生。
ん?
この二人は知り合い?
「いやいいよ、軽く1000万かな?」
「は?自慢かよ?」
自分で言っておいてなぜか自慢と言い出す派手な服を着た女子高生。
「自分で言っといて自慢はないだろ」
それを笑いながら返す元山さん。
こんな時でも笑っていられるなんてすごいな。
「ここに来るまでの記憶とかってありますか?」
私は積極的に質問をする。
何より、今は情報が欲しいし、この人なら何か知ってるかもしれない。
「そうだね〜…愛車のベンツにガソリンを入れて車に乗って帰ろうとしていたら車がボコボコされて何かと思ったら、今度は窓ガラスも割られて後ろから鉄パイプみたいなので殴られたんだ」
「うわあ…」
えっと、ベンツってあのお高い車のことだよね。
それをボコボコにされたのはきついだろうな。
「愛車のベンツの窓をぐちゃぐちゃにされたのは痛いですね〜」
穏やかそうな男の人が彼をメンタル的に支える。
どうぞ、支えてあげてください。
「はい、正直泣きたいです」
「男は泣きたい時は泣けばいいさ」
高身長の女子高生は名言っぽく何かを言った。
この子も少し、個性的な子だな…
「じゃあ次はそこのかわい子ちゃん、宜しくね」
元山さんは私と目を合わせた。
いや、可愛いって言葉に反応したわけじゃないけど。
「え、私ですか?」
目があったから多分私のことだろう。
「うん、私」
なんでだろう、私こういうの最後がいいのに…
「分かりました…」
私は渋々了承をした。
これでも、最後に言えなかったことが結構根に持ってます。