第1章 〜キミヲマモリボクハシヌ〜 ➖探索編1➖⑤
「川山先生、畑山先生に話すこと話したんですね!それにしても長かったんですね!」
「ふーん♡あなたにこのデスゲームを止められるっていうの?♡」
殺戮ちゃんは笑みを浮かべて川山さんに尋ねた。
「いいえ、私1人じゃ無理だわ。だから、みんなの協力が必要なの。お願い……みんな、私に協力して」
川山さんがそう言うと、彼女は頭を下げ始めた。
川山さんは必死だった。
「俺からも頼む!」
「……」
畑山さんも川山さんに続いて頭を下げ始めた。二人は大人として責任を感じているのかもしれない。だったら、私たちも期待に応えないと。
元山さんは私たちから目を背け始めた。
「もちろんです!」
「先生、私たちがいますよ!」
「当たり前ですよ!この花の可愛さに誓いますよ!」
私たち3人は川山さんたちに向かって頷いた。
「協力シテコソノ、仲間デス!」
「ですね〜」
この場の半数以上がそう言ってくれてる。これは、川山さん一人の問題ではない。みんなで支え合っていく。それこそが、仲間なんだ。
ありがとう、みんな。
「あーあ、つまんないのー♡協力とか言っちゃって♡でも、あなたたちは、絶対にデス会を開くことになる♡私の可愛さに誓ってね♡」
殺戮ちゃんはウインクをする。デス会なんて開かせない!わたしたちは殺戮ちゃんになんかに惑わされたりなんかしない!
「あー、花の真似したー!」
「誰がぶりっ子の真似なんかするかっつーの♡これは私の持ちネタだしー♡さて、用も済んだし、私はもう帰るねー!♡今度こそ、ほんじゃ〜ね〜♡」
それだけ言うと、殺戮ちゃんはいつのまにかいなくなってしまった。
「……」
あたりは静寂に包まれたかのように静かになる。だけど、最初に口を開いたのは元山さんだった。
「みんな、ごめん。為替のことになると、ついテンションが上がってしまって……」
「全くよ!あんたらが一番殺人を犯しそうだから今後警戒しないとね」
「けっ」
「上村先生、昨日から思ってましたけど、あなたも先生でしょう?なら、言って良いことと悪いことの区別がついて当然なはずです!」
畑山さんの言うこともわからんでもない。上村さんの発言もちょくちょく気になることが多い。ここには私を含めた子供もいるのだから、もう少ししっかりとして欲しい。
「そうだ!こんなケータイなんかがあるからいけないんだ!こんなもの……!」
畑山さんがケータイを地面に叩き付けようとしたそのとき――
ピコンッ
「あ?」
畑山さんは手を止め、私たちはケータイの中を見た。
17.生存者のケータイの破壊を禁止します。
ケータイに新たな束縛が追加される。生存者のケータイの破壊を禁止?そんなものまで束縛に入れるのか。
「うおーーーー!やりたい放題じゃないか!」
畑山さんがそう言った直後――
ピロリンッ
メール?ケータイにメールが届く。そんな機能があるんだ。まあ、ケータイだからあるか。
《ケータイ壊しちゃダメだよ〜♡だけど、ここで壊したら壊したで、束縛6のスローテッドロケット内の器物損壊をしちゃダメってのがある限り、無理なんだけどね♡{11:37}》
殺戮ちゃんからのメールだった。いや、分かってはいたけど……要は、壊さなければいいのか。
「畑山先生、だそうで――」
「うおーーーー!好き勝手やりやがって!」
畑山さんは踏ん張ってるかのように腕に力を入れて、すごい顔をしていた。
「怒りのボルテージがマウンテンになっちゃっていますね〜」
「ねえねえ。そんなことはいいからさ、早く続きしようよ〜」
花ちゃんが話題を変えるかのように切り出した。
「続きって?」
「意見交換だよ!あの女が来たせいで、グダグダになっちゃったじゃん……」
「それもそうね」
意見交換か。確かに、まだ終わっていなかった。次は誰が言うんだろうか。