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第1章 〜キミヲマモリボクハシヌ〜 ➖探索編1➖②

 元山さんと別れたあと、私は食堂に向かうことにしたのだが――


「ケータイのマップを見た限りだと、さっきいた部屋が私の部屋らしいけど…食堂はっと――うわっ!」


 いててっ!

 スマホに気を取られていたら床のタイルが少し浮いていて足を引っ掛けちゃった…


 なんのこれしき――

 いった!


 足に痛みが走る。

 この調子だと階段は上がれなさそう…


 困ったな…

 あ!

 エレベーターがある!


 偶然にも、エレベーターが近くにあった。


 こんなところのエレベーターを使うのは少し不安だけど、今はそんなこと言ってられないよね。


 私は一人、エレベーターの中に入った。


 少し不安だったけど勇気を出してエレベーターのボタンを押した。


 私は場所がわからないまま歩いていても仕方がないと思い、地図を確認した。


 1階

挿絵(By みてみん)


 2階

挿絵(By みてみん)


 3階

挿絵(By みてみん)


 えっと確か、食堂は3階だっけ?

 それにしても、なんかこのエレベーター狭いな。


 ん?


 私は注意書きのところに目がいった。


挿絵(By みてみん)


(注意!このエレベーターは、最大成人男性3人分までしか乗れません!それ以上乗るとブザーが鳴り自動で停止します[195kg])


 3人しか乗れないエレベーターって…あとこれはなんだ?

 7階まであるのに、3階までしか押せない。

 それに、7階は赤くなっててガラスのカバーがかかっている。

 まあみんなが外の探索をしてるから、エレベーターくらいは調べれてよかった。


 気になるところは色々あるけど、とりあえず3階を押そう。


 エレベーターが上がっていく音が聞こえる。


 静かに上がるんだ。


 音が止まった。

 そのあとは、壁を伝って歩いていって食堂の前まで来た。



 食堂の扉が自動で開く。

 食堂にはすでに、私以外の10人が揃っていた。


「あ!結衣さん!大丈夫?」


「あ、結衣ちゃーん」


 真っ先に駆けつけてくれたのは川山さんと花ちゃんだった。


「結衣さんだいぶ疲れていたみたいだったけど…」


「はい、この通り元気ですよ」


 川山さんが心配している。

 ここは、笑ってごまかしておこう。


「結衣ちゃん膝抑えてるけど、どうしたの?」


「うーん、まあ、ちょっとね」


 スマホ見ながら歩いててこけたなんて言えない!

 恥ずかしすぎる…


「大丈夫デスカ?私、治療モデキマスノデ治療シマショウカ?」


 ミソナさんが脚を抑えている私を見かけて、心配そうに駆け寄って来た。


「ありがとうございます。でも、大した怪我じゃないので、1日経てば治ります」


 とはいえ、膝は少し()りむいていた。

 私はそこを手で隠す。


「ソーデスカー、デモ、困ッタコトガアッタラ遠慮ナク言ッテクダサイネ」


 そういえばミソナさんって主婦だったっけ?

 治療も出来るなんて凄いなぁ。


「けっ、俺はおせーからてっきり殺されたのかと思ったぜ」


 橋田さんはこちらを(にら)んで言った。

 あの人、いつも(にら)んでるな。

 そういう目つきなのかな。


「橋田さん、あんたそれでも男ですか?男なら女性を守るのが義務ってもんだろうが!守るどころか空気も読めない物騒(ぶっそう)な話をしてどうするんですか?」


 畑山さんは辻褄(つじつま)が合うようで合わないことを言う。



「守るのは少し関係ないんじゃないんですか?」


「…」


 よくわからないけど、海ちゃんが不機嫌そうにしていた。


 海ちゃんと畑山さんってどういう関係なんだろう。

 そりゃ、生徒と教師なんだろうけど。

 海ちゃんの態度からして、畑山さんを何か思う気持ちはあるのかもしれない。


「だが、結局この中の誰かが殺しを考えてる奴がいるかもしれねーだろ?俺はそれを言ってるだけだ」


「橋田さん、あんたね!」


 橋田さんの一言で、あたりの空気がだんだん悪くなっていく。

 それもそうだ、昨日出会ったばかりの人と殺しあえって言われてるようなものだから。


 でも、この空気を作ったのは――


「ごめんなさい!私が遅れてきたせいでこんなことに…!」


 私はみんなの前で頭を下げて謝った。

 そうだ、私が遅れてきたから悪いんだ…


「それは違うよ」


 え?


 元山さんが私の方を向いて私の意見を否定した。


「確かに遅れてきたのは悪いことかもしれない。けど、この空気を作ったのは橋田さんだよ。だから君が悩む必要はないよ」


 モトヤマさん…

 元山さんは一度橋田さんの方を向いて、再び私の方を向いた。


「でも、体調が悪かったなら仕方ないと思う…」


 手前の席の方に座っていた彩里ちゃんもサポートをしてくれた。

 彩里ちゃんの一言で、気がだいぶ楽になった。


「けっ」


 橋田さんは目をそらし、不機嫌そうにして床に息を吐き捨てた。


 やっぱり、この人少し苦手だな…


「橋田さん、そんな態度はあり得ないと思いますよ?違いますか?」


 と思ったけど、畑山さんもしつこく橋田さんに注意をする。


 別に、私はそんなに気にしてないんだけどな…


「畑山先生も悪いと思う…」


 意外なことに、海ちゃんが畑山さんに注意をした。


 まあ、一理ある。


「なんだと海!?俺がいつ悪いことを――あ、すんませーん」


 あたりの空気を察したのか、畑山先生はみんなに笑顔で謝った。


 ここ、笑うところとは思えないけど…


 でも、そういうところが畑山さんの取り柄なのかもしれない。


「で?もうそこの女も来たことだし、意見交換だかなんだかをするんじゃないの?」


 話が進まない中、上村さんが本題に入ろうとした。


 そうだ!

 私たちは意見交換をするためにここに来たんだ!


「そうですね〜。じゃあ、しましょうね〜」


「どうやって言うのー?」


 花ちゃんは不思議そうに元山さんに聞く。


「じゃあ、グループに別れて言おうか」


 グループ?

 グループごとに別れて探索したのかな。

 私、エレベーターしか調べてないけど、会話に入れるかな?


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