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アリとアリとキリギリス

作者: こ豆太郎


 働き者のアリは来るべき冬に備えて、よく働きました。

 花香る春も、日差し踊る夏も、山色ずく秋も、毎日休まず働きました。

 冬になれば食べ物もなくなり、凍えるような雪の中では生きていけないことを両親から教えられていたからです。

 働き者のアリは花の香りに目もくれず、輝く星空にも目を向けず、山の木の実香ばしさにも手を出さず、せっせと働き、食料と暖炉の薪を蓄えていったのです。


 年中せっせと働いたおかげで、働き者アリは寒い冬の中でも、温かい部屋のなかで、おいしいご飯を食べることができました。


 もう一匹のアリも働き者でした。

 来るべき冬に備えて春も、夏も、秋も働きました。

 春の甘い花にも目もくれず、夏の冷たい沢にも目もくれず、秋の虫の音色に耳を貸さず、せっせと働きました。

 けれど、せっせと働き過ぎたアリは、働くうちに足を折ってしまい、冬を前に死んでしまいました。しかしせっせと働いた蓄えは親族のアリたちに分配され、とてもありがたがられました。




キリギリスは歌を歌いました。


 春は野花の香りに酔いしれながら、夏は草原に吹く風と遊びながら、秋は月夜の明かりに照らされて。


 思うままに願うままに、誰の目も気にせず、誰の諫言にも耳をかさず、自分の歌を精一杯、友のため家族のため、何より自分の喜ぶままに歌を歌い続けました。


 そして迎えた冬。キリギリスは吹きすさぶ雪の下、飢えと寒さに震えながら死にました。


 働き者のアリは暖炉の火にあたりながら、深々と降り続く雪を窓越しに見ていました。



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