第一話 状況を整理
「ここはどこだ?確か俺は学校にいて…あっ」
そうだ、いきなり教室に魔法陣が出てきたんだった。
「それで俺は窓から飛び降りて…ん?」
まずは状況を整理しよう。俺は薄暗い部屋の中にいる。別にここは保健室とか病院とかいう訳ではなさそうで、辺りには本棚がいくつもある。
「なになに…どんな本があるんだ?」
それが場所のヒントになるかもしれない。そして俺は本棚を見る。
そこには『ロジーニ王国魔物図鑑』、『回復魔法基礎』、『ベイン流剣術』といった変わった本がある。何が変わってるって、見慣れない単語がある。それに魔物やら、魔術やら…
「って異世界に転移してんじゃねーかああああ!!!!」
30分後、俺は気持ちを切り替え情報収集を始める。まあ異世界転移とか少しは憧れていたから(結果逃げる選択をしてしまっていたが)、少しは他人より耐性はあったんだろう。そうでなければ30分で切り替えられないだろうしな。
しかし情報収集を始めてすぐ、深刻な問題を発見する。
「あれ、出口は?」
そう、出口がない。どうしよう。
「俺の異世界生活は、この六畳位の小さな部屋で終わるのか?」
本棚には魔法や冒険に関する書物がたくさんある。
「冥土の土産に一つくらい魔法を覚えていくか…」
とりあえず手頃に読めそうな『冒険者の手引き』を手に取り、ざっと目に通す。職業や魔法、武器、魔物について簡単にまとめられている。ちゃんと最初のページには目次がついてあって読みやすくなっている。気になるページから見ていく。職業に関するページから見てみるか。
職業には適性があり、それを判断するのがステータスだ。例えば攻撃の値が高ければ剣士や舞踏家、魔力が高ければ魔術師や治癒師といった感じである。
俺のステータスはどんな感じなんだろう。何が出来るようになるかシンプルに気になる。ステータス魔法とやらがあれば閲覧出来るらしい。ステータスを見ようと意識すればステータス魔法が発動するらしい。そして俺は意識を集中する。するとステータスが浮かび上がった。
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白河 大地 16歳
Lv.1
職業:
HP 30/30
MP 30/30
攻撃 10
防御 10
魔力 10
敏捷 10
スキル
翻訳Lv.1 ステータス魔法Lv.1 空間魔法Lv.1
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「おお、出来たぞ!」
これは嬉しい。どうやらステータス魔法を最初から持っていたようだ。他にも翻訳と空間魔法があるが、翻訳は先程から無意識のうちに発動していたのだろう。おかげで、この世界に来てからも文字が読めていた。空間魔法とやらも気になるが。とりあえず能力値についてだ。この値が高いのか低いのか気になる。
「おっ、Lv.1の平均的なステータスか。」
ちょうどいいページを見つけた。どうやらHPとHPは30、その他は10が一般的らしい。そしてスキルは最低でも一人3つは最初からあるらしい。
「全部平均じゃねか!しかもスキルは最低値かよ!?」






