2
「ばあちゃん、飯」
「あいよ できてるよ」
「うぃー」
いつもの日課を消化しつつランニングの際裏山の方へいく昨日の事は夢じゃないのか確かめるために
急斜面を上るとそこにはやはり神社があった。夢じゃなかったんだなー
改めて思う。
昼食の際ばあちゃんに道具を渡された。
刀?
刀より短く脇差より少し長い 刀なような物 刀より厚みがあり丈夫にできてるらしい
特殊繊維で編まれたつなぎ
かなりの防刃の機能があり軽い
ライト付きヘルメット
ライトはダンジョン内は視界がそれなりに確保できるからもしもの時用
ヘルメットは丈夫な仕様のようだ
胸当て
見た目野球のキャッチャー用の胸当てっぽいが衝撃等にかなり強いらしい
軍靴
丈夫 水虫になりそう
中級ポーション×5個
名前がまさに・・・服の上からでもかけると効果があるらしいケガが治る
これ着るのはいいけどどっかの作業員感が半端ないな
「本来なら父親の物を継がせたかったがまだお前の力では扱いきれないからね、今はこれを使いな」
ああおやじの遺品が残ってるのか・・・・
「ばあちゃん、刀 つなぎ 胸当て 靴はわかるけどポーションって・・・・」
「聞いただけじゃ信じられないだろうねぇ 私もそうだったよ」
「もしもの時用 つかわなきゃそれが一番いい もしもの時は騙されたと思ってつかってみな」
「そんだってばあちゃん これあれば医者なんて必要なくなっちゃうじゃん」
「そうだねぇ でもそれ一つうん百万するんだよ 孫の命には変えれないさね」
「・・・・・うん百万だと・・・・まじもんかよ」
「まぁ心の整理がついたらそれをもってダンジョンへいくんだね、遅かれ早かれ お前の場合は
お役目を渡された時期が遅いからねぇ」
それって俺のせいじゃなくね・・・あの鹿のせいじゃね・・・・あの鹿がお役目告げるの
忘れてただけじゃね?
「わかったよ 遅い分取り戻してやるよ・・・ばあちゃんついてきてくれるんだろ?」
「??なにいってるんだい 一人に決まってるじゃないか、だれかに教えれるものじゃない
自分でお役目を考えそして勤めるんだよ」
「ええええええええ!!俺死んだらどうするの?ばあちゃん一人になっちゃうよ?むしろ多分死ぬよ」
「絶対死ぬ、やばい、無理、ぐちぐちぐちぐちぐち・・・・・」
「そのためにお前を鍛えてきたし、そのポーションも渡してる、地下一階程度なら十分やっていけるはずだよ、ポーションはダンジョンでもでるし蔵に備蓄はあるから遠慮なく使いな」
「無茶しなきゃ死ぬような事はないご先祖様も地下一階で亡くなったなんて記録なんてない、それでもっていうなら私が殺してやろうかね?」
「逝ってきます!!!!」
流石のばあちゃんも後半怒気が漏れていた・・・・
でもご先祖様一階でもし亡くなってたら後世の恥になるから記録で残してないって可能性も・・・
飯おk、道具おk、遺書おk よしいくか
ばあちゃんから渡された道具もみにつけ、リュックを背負い裏山へ
扉を開けあの洞窟へたどりつく
胸がバクバクしながら地下一階への階段を降りていく
数百メートルいった先ですごい物を発見する
「こいつまだ刺さってたのか・・・・・・」
昨日死闘を繰り広げた場所にあの宿敵が刺さったままだったのだ
もう動く力もないのかぐったりしている
ちかくによっても反応を見せないが死んでる様子でもない
このまま苦痛があるなら宿敵であるこいつを介錯してやろうと思い刀を構える
初めて直に命を奪う事に抵抗をおぼえながら少し考える
今の生活自体ある意味家畜を殺して食べているのだからそんな変わらないんじゃね?
そんな軽い考えで迷いもなく刀を振り下ろす
首から一刀両断である その後なにか体の中に流れ込む感覚があったがこれが話にあった身体強化なのだろうか その場で素振りをするがなにか変わった実感はなかった。
死体はその後消滅しその場からなくなってしまった。
「え・・・きえんのか・・どういう理屈なん・・・・」
少しその場で考えたがどうにもならないので一階を探索する事にした
でてくるのはウサギ ウサギ ウサギ ウサギ
みんな単独で群れていないのが幸運であったが4羽すべて倒す事ができた
なれたのかどうかわからないがはじめの一羽よりみな弱く感じた
その後ウサギと何度も戦い一度角で突かれてしまったが胸当ての部分でかなり痛みがあった
が動く事ができないほどではなかった
念のため中級ポーションを一度使ってみたところ胸の痛みがみるみるなくなっていった。
「まじかよ・・・こんなこと本当にあるんだな・・・」
ちょっとファスナーを開け上半身を確認してみたが異常はなさげだった
その日中級ポーションを残り2個に減らしウサギをすべてで10羽倒し家路についた。
その日の夕食
「ばあちゃん、ウサギ10羽狩ってきたよ、中級ポーションも試しにつかってみたけどあれすごいな」
「初日にしては上々かね、中級ポーションは箱に入れて部屋に置いといたから好きにつかいな、なく
なりそうになったらいいなね またもってきてやるから」
「ばあちゃんポーションって高いんだろ?大丈夫なんか?その金とか色々と」
「大丈夫、そもそもうちにあるのは買ったものなんて一個もないよ、ぜーんぶダンジョンで手に
入れたものだよ」
「は?・・・何本ぐらいもってんの?」
「あれは中級だから200本ぐらいはある」
「ん!?!??!?!?!?!?!?!?!!」
この家がなんで金持ってるんだかわかった気がする・・・・遠くを見つめながらそう思った。
「そういえば刀って手入れしなくていいの?」
「倒したやつは消えたろ?本来なら油とかついてしまうから手入れしなきゃいけないんだけど、刀に
ついた汚れも一緒に消えちまうのさ」
「あとこれ渡しておくよ もし必要な物があれば買ってやるからいいな」
「なにこれ?URL??」
メモにはURL、会員ID、PASS、それとは別にUSB接続のトークンを渡された。
「お前の部屋にパソコンがあるだろ?それがあればダンジョン関連品の売買ができるよ、限られた物だら
なくすんじゃないよ」
「わかったよばあちゃん後でみてみる」
食事を終え自室にて渡されたものを使ってみる
そこにはダンジョンで発見されたであろうものが出品されていた
低級ポーションが数十万~スキルの巻物が億まであり 自分の場違いがすごかった。
ポーション、武器、防具、アクセサリー類、巻物、本種類は豊富にあった。
効果が書いてあるものもあるが中には効果が不明な物までありそんな物に数千万の金額がついてる事に驚愕する。
巻物にはスキル効果と書いてあり、一時的な身体強化向上、持続的微治癒等書いてあるものもある
「スキルってネトゲかよ・・・」
「え・・・・魔法??・・・・」
本の中には効果魔法と書いてあるものがあり自分の目を疑った
「ド〇クエかなにかかよ・・・ハッスルダンスとかあんのかな?・・・俺まだ夢みてんのかな・・・」
そんな言葉をつぶやいてしまう
いままでの生活で必要な分と周りの人達がもらうようなおこずかいしかもらってない俺にはとても手が出る物ではなかった
「ばあちゃん必要な物っていってたけど・・・・この金額の物買ってもらえないだろ・・」
そしてブラウザを閉じ、眠りにつく
------------------------------------------------------
「ばあちゃん、飯」
「あいよ できてるよ」
「うぃー」
今日も日課をこなす、が少し違和感があった筋トレの最大重量が少しだけ上がったのである
内心体調がいいのかな?とも思えたが、ウサギ狩りによる効果なんだろうとも思えた
まぁ今日もウサギを狩って明日試したらわかるかとその思いを明日へ繰り越した
昼食の時
「昨日のあのサイトってなんなの?桁違いな金額なものがずらりとあったけど」
「政府が管理しているサイトやね、ダンジョン関連、富裕層、同業なんかがアクセスするんさ」
「ダンジョンで手に入れた物をある程度国で売買含めて管理したいんだろう」
「ダンジョン品は一度鑑定しないと同じ物でも効果がわからないからね」
「一度そこに送って鑑定し所有者に売買か自分で引き取るか選択する、同時にその情報を把握するのさ」
「いままでに無い物がいまだに出る事があるからねぇ」
「所有権を持ってかれる事はいままでないから安心しな」
「うちはそもそも鑑定持ちがいないからね どっちにしろ一回送るしかないのさ」
「鑑定もちって?」
「あぁ スキルの事だね 貴重でなかなか見つからないんよ」
「サイトでも確かになかった気がする」
「じゃあ鑑定持ちがいれば送って鑑定してもらう必要はないんだ?」
「鑑定もちがいれば送らなくてもそのダンジョン品の効果がわかる、身内に鑑定持ちがいる場合も報告義務はあるんだけどねぇ、誤魔化しはきいてしまうねぇ」」
「ダンジョン品を裏で流してるような噂も聞くことはあるけどねぇ、専門部署もそこまで手はまわらないのさ」
そっかまぁ手間あるもんなぁ気持ちはわかるけど裏で流すとなると犯罪のにおいが・・・
でも大金が・・その大金でニート生活を・・・・・はっ!!
「これって他の国のダンジョン品も売買できるの?」
「いやこのサイトは基本日本だけのものだよ、一応は日本の資源みたいなもんだ、海外には流出させ
たくないのかもねぇ」
「まぁ他のお国も一緒さね、だいたいの所は国単位で管理してるんよ」
「さっきもいったように裏で流してる連中は海外に流してるかもしれんがね」
「ダンジョン関連以外の人ってなにに使うの?」
「スキルや魔法なんかは普通の生活でも有用だからね、金に困らない人間はほしがる奴もいるのさ」
「ふーん そういえば、魔法とかもあったけど あれはまじなの?」
「マジもマジおおマジさ、私も使えるしお前もそのうちなにか見つけるかもしれないねぇ」
な?妖怪の類だったろ?
「ただ魔法を使えるようになっても気をつけな、ダンジョン内では魔素があるこれを体内で構成して
魔法を使うことができる、ダンジョン内では濃いからある程度の時間で回復するけど、ダンジョンからでると魔素は薄いからね回復まで時間がかかるよ」
「まぁ使えるようになれば感覚でわかるようになる」
「後魔法の使い過ぎで限界を超えて気絶してそのまま魔物の餌になるとかね、自分で力量を把握できな
きゃ諸刃の剣さね」
「ああ・・うん」(使えないじゃなくて、気絶なのか・・・・怖)
「まぁ使えるようになれば少しはわかるかもねぇ」
「そういえばばあちゃんウサギ倒して身体強化ってするもん?筋トレの時前より力がでてる感じ
がするんだけど?」
「そうさね少しは変わってくるかもしんないね、そもそも身体強化ってのは本来の体の状態から
掛け算式に増えてくみたいだからね、あんたの父さんも車ぐらいなら片手で余裕で挙げられたからね」
突然の父の人外さに目が丸くなるがばあちゃんは続ける
「いまのうちから力加減をできるようになりな、間違えれば思ってもみない相手にケガさせるからね」
「わかったかい・・・?」
「はい・・・・・・」
--------------------------------------------------------------------------------
そして一ヵ月そんな生活がつづく
一ヵ月後
ダンジョンでの成果
ウサギ×650羽
低級ポーション×10
ナイフ(未鑑定)×1
宝石(未鑑定)×1
という物だった
はじめは苦労もしたがここ最近ではウサギ相手は余裕であった
同時に3羽相手にしても問題がなかった。それ以上の群れに遭遇してないのでその場合はわからないが
もし4羽でも自信はあった。
手に入れたアイテムはばあちゃんに相談したが、まとめて例のサイトのところに送るらしくその時まで
貯めておけとの事だった
「ばあちゃんとりあえずポーション以外はこの二つだけだよ」
「あいよ 送っとくよ、鑑定でき次第連絡がくるからそれで買い取りか自分で引き取るかきめればいいさ」
「あとこれをつかって血をここにつけとくれ」
「これなに?」
「これを指にさすと血がにじむからここにつけてくれればいいよ」
「わかったけど なんにつかうの?」
「これでお前のレベルがわかるんだよ・・・」
「レベルて・・・・」
まさかそこまでとは いや魔法を見た時からそんな気はしていたがまさか存在するとは・・・
ゲームだな・・・99でカンストかな??
「そっか・・・ばあちゃんレベルいくつなの?」
ばあちゃんは指を三本たててにっこり笑う
「レベル3なわけないか・・・・・30とか?」
「三桁ね」
レベルの概念はまだあまりわからないが尋常じゃないことはわかった
やっぱりもののけの類だったかこのばあちゃん・・・・そりゃ一本とれねーよ・・・・
「でもこれは目安であってレベルが高いからといって強いというわけじゃない」
「??え???」
「身体強化の話で掛け算式って話したろ?私がレベル100としても若い成人男性のレベル90にはかなわ
ないって事やね」
「本来の自力の違いさね」
「ああ・・・・そうゆうこと・・・・」
「スキルとか魔法とか技術とか抜きの力だけの場合のはなしやね」
「あ・・・・・(魔法もつかえんだっけか)」
「じゃあ送っとくからね」
「うん」
「それとよく我慢したね明日から地下2階にいってええよ」
「ほんとは我慢できずに地下二階へ行くと思ったけどよくいかんかった」
「この分なら心配なさそうやからいってええよ」
「え いきなりいって大丈夫なの?」
「今余裕なら初めての1階よりも楽かもしれんし、2階もウサギやからね」
「あ ウサギなのは変わらないんだ・・・」
「じゃあ明日からいってくるよ」
「無理はせんように」
ダンジョン一階部分はすでにマッピングは済んでいるそんなに広くもないが魔物のりぽっぷがそれなり
にあるみたいでウサギが尽きる事はなかった。
ウサギが外にでないのか心配だったが特殊な事情がない限り魔素の濃いところにいるという事を教わった
一階から階段への道のウサギを狩り二階への階段を降りる
降りて進むとすぐにモンスターの気配を感じる警戒しながら進むとそこには通常のウサギの二回りほども大きい、見るからにメタボなウサギがいた・・・
一階のような獰猛な顔つきではないが警戒を解くことはなかった
「も?」
ウサギはひと鳴きし首をかしげつつこちらを伺う・・・
俺はいつでも対応できるよう 正眼の構えで対峙する
ウサギの目つきがキリッっとし「もッ!!」のひと鳴きと共に突進してくる
「ちょっ!」その突進を避けきれず刀で角を受けた形になったが刀とともに吹き飛ばされる
「一階から二階でここまで変わるのかよ・・・・」内心油断すまいと思っていたが
自分の想像を超えた動きにつぶやいてしまう。
動きもだがメタボで体重が重いためか衝撃も一階の比ではなかった
「もッ・・・もッもっ」このメタボに感情があるのかどうかわからないが得意げな顔をこちらに向けて
いる様な気がした。
刀を手放さなくてよかった・・ばあちゃんとの稽古のおかげか・・・・
日頃の日課に感謝し また正眼に構える 次は避ける・・・・
「もッ!!」
ギリギリ回避できた・・・
「もッ!!」
ギリ回避
そんな事を数回続けてるうちに完全に回避する事に成功する
完全に回避された事に怒ったのであろうかメタボはプクーと膨れてその場ではねている
「も~~~~もッ!!!!!!」
いままでの突進とは違い壁天井を使い通路を縦横無尽に飛び回る
足だけでなく膨らませた体全体を使っているようであった
おいおいおいまさかここまでかよ・・・目を凝らしつつ動きをとらえようとするが目が何とか追いつく程度だった
直撃はないもののメタボの動きに翻弄され、回避、防御一辺倒になる、ダメージも少しずつだが受けていく
メタボも間合いをとる事があるのでその隙にポーションを飲み干す
動きに慣れてきてこちらも少しなら攻撃に手が回せそうになっていた。
メタボは縦横無尽の動きの中こちらの足めがけて突進してきた
今だ! 相手の進路上に刀を地に刺す、相手の勢いがあればこれでも攻撃が通るはず!
がメタボが刀直前で危機を感じたのか直角に上に回避する
後でわかるが刀手前でメタボの足跡で地にヒビがはいるほどであった
その結果天井に頭丸ごと突き刺さってしまうのであった
「えぇ・・・またぁ・・・・?」
が今回は即死だったらしくそのまま消滅してしまう。
自分の体に流れ込む感覚があった・・・あれでも倒したうちにはいるのか・・・
なんだかなぁ~と思っていると上から落ちてきた物があった
巻物
「~~~~~っ」
巻物それは高額アイテムの予感 そしてニートへの道の近道 金銭感覚が庶民の俺には一等当選宝くじ
にやにやした顔としつつ、手をすりすりしながら 巻物を拾う。
高額な巻物でありますようにそんな期待をこめ効果は見てもわからないだろうが
中身を確認してみる
「やっぱり読めないな・・・・高額なやつだといいなぁ・・・」にやにや
「ん??」
読めないと思った物がなぜか書いてあることがわかるような気がした
「『超躍』??跳躍じゃなくて???」
といった瞬間巻物が光り消えてしまう。
「は?え?はぁぁぁああああああああああああ!!???」
「嘘だろ・・俺の豪華ニート生活は・・あれもこれも買うはずだったのに・・・」
放心状態になりその場で口をパクパクさせたまま時が過ぎていった。
「今日は帰ろ・・・厄日だわ・・・」
テンションガタ落ちのまま帰路につく。
夕食の時間まで部屋にこもり、ベットの上でのたうちまわるのであった。
夕食時
「どうしたんだい、ずいぶんと元気がないようだけれど」
「ああ・・うん・・ちょっとね」
「ダンジョンでなにかあったのかい?」
「ああ・・うん・・ちょっとね」
「明日は晴れると思うかい?」
「ああ・・うん・・ちょっとね」
ばあちゃんはそれ以降なにも話してくる事はなかった