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「ばあちゃん、飯」


「ばあちゃん、飯」


「・・・・・・・・」


朝食は準備してあったがばあちゃんの姿はなかった


昨日の話を思い出す 出かけるとはいっていたが現在朝6時である


「あー、でかけたのか・・・早ッ」


朝食を口に運ぶと温かさが残っていたため家をでてそんなにたっていないのだろう


朝食を終え、日課をこなし部屋でダンジョンへいく準備をしていると


ピンポーン!!    だれかきた 


通販でなにか頼んだかな?記憶を辿るが特に心当たりはなかった


「はいー どぞー」


「お邪魔します」


60、70代ぐらいの男性が玄関から入ってきた


男「マキノさんはいらっしゃいますか?」


玄「ばあちゃんなら朝出かけちゃいましたけど、なにか用事ですか?」


男「いえいえ、ちょうど旅行で草津にきましてその足で寄らせていただきました」


男「留守を確認すべきでしたなぁ~」


ばあちゃんの友達かな?とりあえず丁寧に対応したほうがよさそうだ


玄「ここじゃ あれなんで よかったら中でお茶でも」


男「そうですか、ではお言葉に甘えて」


客間に案内しお茶とお客用の茶菓子を出す


その後自己紹介をし、改めてばあちゃんの孫だという事を伝える


男性の名は上月、その昔、まだ幼い頃なにかの間違いでダンジョンに入ってしまい


ばあちゃんに助けてもらったらしい、その後、ダンジョンの事は口外せず 定期的にばあちゃんに会いに


唐沢家に訪れているらしい


だが詳しい話を聞くとただ昔話をしにきているわけではなかったようで・・・・


この上月さんは居合道の道場をやっているらしく、その稽古を含めてきているとの事


この人もあの地獄を味わったのかと思うと急に親近感が湧いた


この後会話が弾み、話の流れで 居合をみせてもらう事になり 我が家の道場へ案内する


流石に道場に本身の刀はなかったので 自分のを使うか確認するが


どうやら上月さん自身で持ってきていた様であった


持ち歩いて大丈夫なのか 確認するとちゃんと許可を得てるとの返答


「では・・・」一言発し


上月さんは道場の中央に正座で座り 少しの間 静寂な時間が過ぎる



シュッ  「やあぁぁぁぁ!!!!」



???は?   いつ刀抜いたんだよ・・・・・びっくりして目玉が飛び出しそうだった


抜刀の見えない一の太刀の後、緩やかな動きで二の太刀で声を上げた


ばあちゃんと日課の稽古やダンジョンで実力は少なからず上がっているのに 見る事すら敵わない事に衝撃をうけた


同時に今の自分に足りない物にも思えた


その後上月さんに 何度か居合をみせてもらったが どんなに凝視してもf目でとらえる事はできなかった


そして上月さんにフライング土下座をし 上月さんに教えを乞う


上月さんは苦笑いしながらも、夕方までならと条件付きで答えてくれた



ただ自分の場合は使用目的がダンジョン等なので 座った状態からではなく立ち姿からの物を教わる


その後夕方まで何百と抜刀をし続けるが、上月さんが見せたものにはほど遠かった・・・・


上月さんにどうしたらあんな完璧な居合ができるのかと聞くと


完璧?居合を始めて50年以上になるが、最近居合がようやくちょっとわかってきた と意味不明な事を言っていた


そして終わり際 流石マキノさんの孫だね、筋がいい・・・今度くる時の楽しみができたと笑っていた


玄関の外まで見送り、ばあちゃんによろしくとの事だった


そして次の日から日課に居合の練習が加わった


「あ・・・・今日ダンジョンいってねえ・・・・・ま・・・・いっか」


その夜 昼間の居合を見た衝撃からか、ゲームも読書も手につないため、一人道場で居合の練習に励んだ


------------------------------------------------------------


「ばあちゃん、飯」


「ばあちゃん、飯」


「・・・・・・・・」


そうだ いなかったんだ・・・・・


朝食を自分で作り 日課をこなす


昨日ダンジョンへ行けなかったので今日はいかないとなぁと思いつつ準備を進める


ダンジョンへ入ると


「叔父御!!」「叔父御!!」


通常種の兎達が待っていた


「早く早く!!」「こっちこっち!!」


畑の方へはやく来いと催促される


一階にある畑へつき  畑を見回す


「うん 収穫時だね!!」   


んなわけないだろ 植えたのおとといだぞ おかしいだろ 絶対やばいやつじゃん!! 心の中で叫んだ


するといつもの兎トリオも現れる


親「おう、兄弟!畑はどうだ?もういけそうだと思うんだが・・・」


フ「叔父御、儂もう我慢できねえですぜ・・・」ヨダレダラダラ


ア「シャクシャク・・・シャクシャク・・・」


アンゴなんかもう既に食ってるし・・・・


玄「いや・・アンゴなに食ってんの・・・」


親「ああ、人参以外のは食えそうだったのはみんなで少し食べた、結構いけたぞ」

 「人参には及ばないがな・・・」


玄「じゃあ ちょっと抜いてみるか・・」


人参を一本抜き具合を確かめてみる


市販の物よりも少し大きいかな?大丈夫そうだ・・・まぁ 俺が食うわけじゃないし いっか


玄「大丈夫そうだ、試しに食ってみろよ」


フ「儂が!!!!!!!」


そういい放ち、フレミーが俺の手にある人参にかぶりつく   人参で兎が釣れるんだな・・・・・


だが人参にかぶりついた フレミーがフリーズする


以前はすごいリアクションをしたのに、なにも反応がない   やっぱやばい奴だったか・・・・南無南無・・・


少し間を置きフレミーが呟く  


フ「この前の人参よりうまい・・です・・・・」 


そんなしゃべり方まで変わってる


親「みんな一羽一本まで食っていいぞ!!」


親分が集まった兎達に号令をかける


ワーワー!!ワーワー!!


一気に兎達が人参の畑を埋め尽くす


そしてどの兎も一口食べるとフリーズし、法悦な顔をしている


もう 魔物の魔の字も感じる事ができなくなっていた こいつらもうただの兎だろ・・・・・


正気にもどったアンゴに人参の種の取り出し方を確認し、食いつくさないように注意するよう伝えた


法悦に浸かった兎達をそのまま放置し、狼のいる7階まで降りる


昨日教わった居合の練習相手にはもってこいだった


数時間後 肩を落とし5階へ戻ってきた


やはり上月さんが見せたあの居合には遠く及ばなかった


玄「はぁ~・・・何十年か・・・・」


先の長さにため息交じりにつぶやく


まだ帰るのに時間があったので5階の広い中央フロアで居合の練習をしていた


練習をしていると親分が部屋に入ってきた


親「お 兄弟なにやってんだ?」


玄「親分か いやちょっと居合の練習を」


親「ほーん よくわからんけど、暇だからちょっとみてるかな」


玄「面白いもんじゃないと思うぞ」


そういい 抜刀の練習を続ける


玄「な?面白くないだろ?」


見てる親分に向かって言う


親「兄弟は それを早く抜く練習をしてるのか?」


玄「そうそう、本来な目にも止まらない感じでできるんだけどなぁ・・・」


親「ほーん だったらなんで『超躍』使わんの?前足でつかったらいいだろ それとも使わないでやってんのか?」


玄「???『超躍』って足じゃないとダメだろ?」


親「???だからその前足で握ってるから言ってるんだが?」


親、玄「?????」


親「ちょっと俺の前足見ててみ?」


そういうとフロアを『超躍』で縦横無尽に飛び回る


親「後ろ足じゃなくても前足でも使えてるだろ?なら兄弟もできるだろ?」


玄「!!!」


玄「親分、お前は世界一の兎だ!!!」


親「//////」


いつもは足に込める『超躍』の力を右手に意識し込める


そして抜刀し振りぬく!!!


すると右手に握っていた刀が消えてしまった・・・・


右手の先を見るとちょうど部屋に入ってきたフレミーの頭部のすぐ横に刀が刺さっていた


フ「お・・・・お・・・お・・・・・」おしっこジョバー


フレミーに謝罪し 再度試す


今度は刀を飛ばさないよういつも以上に刀を強く握った


だが 今回は先ほどまでの抜刀速度は出ず、途中でひっかかるような感じになってしまう


何度か繰り返し わかったことがあった


握りを意識しすぎると 抜刀に違和感がでる  だからといって抜刀に意識が行くと 速度が出すぎて 刀が手から離れて

しまう


バランスが難しかった 


親分のおかげで『超躍』をつかった居合は飛躍的によくはなったが まだまだ練習が必要であった



親「そういえば、種できたから今植えなおしてきたんだけど、畑足らないから ちょっと広げたわ」


玄「もう種できたのか・・・そっか・・・」


もう突っ込む事をあきらめた


親「帰りちょっとみてってくれや」


玄「はいはい・・・」



そして帰り一階の畑へ寄る・・


畑があった小さいフロアが ばかでかいフロアに変わっていた


というより現在も広がっている最中である


通常種の兎達が壁をガリガリ掘って広げていた  本来通路があったところでさえ、いまではフロアの一部と化していた


しかも水場から水路まで引かれていた


一階はもうすでにダンジョンとはいえず どちらかというと農園になりつつあった



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