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新たなる洞窟が産声をあげた。
とある洞窟はほかと比べて人里近くに生まれてきてしまった。
あるおじいさんが毎日の日課である山菜取りをしていたところ、いつもないはずのものを見つけてしまった。
おじいさんは中を確認するため恐る恐る中に入っていくが、その後洞窟をでる事はなかった。
おじいさんの身内はおじいさんが帰ってこないので警察に通報、その後山狩りが行われ洞窟の存在をしることに・・・・
警察二人、中を捜索するが警察の人間も中に入った者はでてくる事はなかった。
この事件が大事となり話は政府の人間まで届く事に、すぐに事件現場は有害ガス発生のため立ち入り禁止となる。人里では様々な噂が囁かれるが、かなりの田舎である事と、政府の圧力により鎮静化することになる。
警官の死体も発見され、有害ガスを吸入しての事故として扱われた。死体は多少荒れていてしまったが回収が遅れたため野生の動物や虫等が原因として報告された。
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「また新しいダンジョンが発見されたらしい」
「またか・・・先月も発見されたばかりじゃないか・・・」
「このペースは異常としかいえないな」
「確かに中に入らなければ問題ないとはいえ」
「ちくわ大明神」
「今回は人里に近いらしい、流石にこれ以上都会に発生する事になると」
「揉み消しも容易ではなくなってくるな」
「誰だいまの?」
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「まぁ結局は今回も警戒監視のみか」
「さすがに人手が足りない、それに他の発見されたものもまだ調査がすすんでいない状態だしな」
「後は上の判断次第だな、私達はそれに従う他は・・・・」
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「ばあちゃん、飯」
「あいよ できてるよ」
「うぃー」
6時の早朝ばあちゃんと二人暮らしの俺は朝ご飯を食べる。
基本ばあちゃん時間に合わせて生活をしているので朝ご飯はいつもこの時間だ
名前:唐沢マキノ
ばあちゃん御年80だが見た目は50という顔面詐・・・・いや肉体も・・・詐欺だ
名前:唐沢玄一 職業:ニート 年齢:26 友達:ごく少数 趣味:ゲーム、読書 はたから見れば立派な
社会不適合者だが ご先祖様が名士だった事もあっていまでもかなり裕福らしい でなければニートを許されないだろう
そもそもニートの原因は幼いころに両親を二人失ったと理由がある、事になっている。
幼かった事もあり周りが高校生の頃には心の整理はとっくにできていた。
当時ゲームや読書などに夢中で学校へいきたくなかった、ド田舎のため通学に数時間かかるのも理由かもしれない
だが周りの人間はいまでも両親を失ったことを理由に思っているようであった。
ばあちゃんは見抜いているっぽいが・・・・
まぁ こうしてこの歳までニートを謳歌できていてるのだから文句はなかった。
デメリットといえば山の中腹にかなりの大きい家が実家になるのだが、そこから村に買い物にいった際に少しばかり可哀そうな目でみられるくらいだ。
朝ごはん後、日課のばあちゃんの運動に付き合うと言う名目の地獄をほぼ毎日みる。
実家の一室にある道場にてばあちゃんが薙刀(竹)、自分が竹刀をもち対峙する
10年以上続いている光景である。
そして今日も一本もとることなく、その時間はおわる。
はじめの1~2年はばあちゃんも歳だし、そのうち一本と思っていたがその兆候がまるでないため10年も前から山にある畑や川など様子見がてら山の中をランニング、筋トレ、自主練をしているがその差が埋まっている気がしない・・・・多分妖怪かなにかの類ではないかと勘繰ってしまう。きっと紫ばばあだ、髪は白髪なのに一部だけ紫に染められている きっと紫ばばあに違いない
今日もその日課のランニング中いつもと違う体験をする事となる。
「ハッ・・・ハッ・・八ッ・・・・ん?」
ランニングの足を止めてある場所を凝視する
「なんだあれ??」
「めっちゃでかい鹿おるやん・・・・」
そもそも鹿なのか体の大きさ、筋肉の付き方が普通の鹿とは一線を画していた。
鹿もこちらに気づいた様でお互い目が合う・・・・
すると鹿がこちらをうかがいつつ歩み始める。
少し歩きこちらを伺い、それを何度も繰り返す
「え・・・ついてこいってか?」
鹿がしゃべってるわけでもないがなんとなくそのような感じがした。
ついていくとだんだんと山の裏側あたりへ付く実家とは真裏あたりにさしかかったところで今度は急斜面を上りだす。
足腰を鍛えてあったから何とかなったがこの急斜面は四肢を駆使し、登るのが大変だ
ある程度登り切った開けた場所で急に鹿の姿が消えてしまった。
周りをきょろきょろ見渡してみると斜面際に建造物が目に入った。
鹿も探してみたがもうすでに近くにいるような気配はない。
もしかして狐か狸にでも化かされたか?と思ったが建造物の方が気になりとりあえず鹿の存在は置いておくことにした。
建造物に近づいていくとその建物が神社の様なものが見える・・・
幼いころから実家に住んでいるがここにこのような物がある事を聞いた事はなかった
近くでその建物をみると、とても立派な事がうかがえる。
その感じからきっとうちの人間が建てたものだろうと思った。
「ばあちゃんに聞けばなにかわかるかな・・」
なにが祭られているのか興味もあり扉をあけると中に洞窟?が祭られていた・・・
????普通こんなものなくね?????
そもそもそんなに神社仏閣に知識があるわけではないが
TV、ネットで見た常識の中にはないものだった。
まさか実家であやしい宗教が・・・・ばあちゃんは教祖だった・・・・??
とも思ったがそもそも実家に信者のような来客はないし、そんな極少な可能性を頭の中で握りつぶした。
色々思慮したが実家が祭ってるんだし害はないだろう、ご神体が中にあるならば一回ぐらい手を合わせようと思い中の様子を伺う。
あれ?中は意外にも明るい・・・なんだ・・・」
中で光っているものに近づいてみてみる 明るさの原因は苔のようなものであった。
「光苔?」
そんなものがあるかどうかはわからないが以前なんかのゲームであったような名前をつぶやいた
視界はそれなりに確保できているので中の方へ無警戒で進んでいく
何百メートルか進むと階段があった、そこから下りまた数百メートル進む
「どんだけ長いんだよ・・・明るいのはいいけど・・・」
すると道の真ん中に何かが佇んでいた。
目を凝らしながらソレをみるとウサギ・・・と思ったがなにか異常性を感じる・・・・
本来ウサギにはないような角、草食とは思えない獰猛な顔つき、本来のウサギのような可愛さはまったくない。
「あ・・やばく・・・ッ」
そんなつぶやきを途中でウサギが角の先からの突進で遮った。
「おいおい・・・・速いし、あの角刺さったら・・・・・・」
逃げなきゃ・・・・でも 先ほどのウサギの突進をかわしたがいいが避けたため帰り道側にウサギがいる・・・・
もう一度あれを躱すか・・・奥に逃げるか・・・・・選択は簡単だった。奥に行って似たようなやつがいたら挟まれたら終わり・・・ならリスクを負ってでももう一回躱そう・・
ばあちゃんとの日課で躱す自信が多少あったためかその決断をする。
そしてもう一度ウサギの突進
ウサギが方向転換できない飛び出したタイミングで自分自身は右へ避ける
「よし・・・あ、!!」
ウサギが着地した瞬間ひとけりでこちらへ方向転換、勢いは多少おちたものの当たればケガは免れない
それもなんとかギリギリ躱す・・・
「あぶねー・・・あそこで方向転換できんのかよ・・・」
そしてウサギは突進の対象に避けられ壁に角が刺さったまま身動きが取れなくなっている
体を動かしてはいるが抜ける気配はないようだ。
「なんか間抜けな感じになってるけど この隙ににげよう」
そして洞窟の外まで全速力で逃げ出した。
実家までにげていきばあちゃんに報告する
「ばあちゃん、裏山でやばい鹿と神社でやばい洞窟みつけたんだけど!!」
「ようやくかい・・・長かったねぇ・・・じゃあ話てやらないとね」
「え・・・・・お、おう」
ばあちゃん知ってたんかいとも思ったが隠すわけでもなく話すをいうので反応に困ってしまった。
「じゃあ裏山の事を話そうかい」
小難しい話が多かったが、内容的には
・洞窟はダンジョンと呼ばれている
・ダンジョンは代々管理してきているもの
・ダンジョンは世界の各地に点在している
・国はこの事をしっており管理を任され、国のダンジョン専属の部署がある
・中で魔物を倒すと身体強化される
・上層のモンスターは重火器で対応できるが中層以下では通用しない
・ダンジョンで使う武器、防具等 使い捨てではないものは成長する、重火器などはそのものは成長する
が玉事態は使い捨てなので成長しない結果上記の様な事が起きる
・定期的に中の魔物を間引きしなければならない
・鹿(山の主)に導かれるとお役目の時が来た事らしい
・ばあちゃんは6歳の時、父は中学生の時母は父と結婚した時にお役目を引き受けた
・いつまでたっても俺にお役目がこないことを悩んでいた
・ニート生活に口出ししなかったのもお役目が来ることがわかっていたから
・父母共このダンジョンの管理を行っていた
・基本魔物は外に出る事はないが時にダンジョンの魔物が外にあふれ出る場合がある
・裏山のダンジョンは一度あふれ出し、応援が間に合わずその結果両親が亡くなった
・現在はばあちゃんが管理をやっている
この世界はゲームの中の世界だったのか・・・この事もショックだったが・・
さらっと両親の死の真相を知ってしまった 事故っていう話を聞かされていたが嘘だったらしい、
こっちの方のショックが大きく前者のショックが比較的軽く思えた
「まぁお役目が来てこれで一安心だ・・・この話をされて戸惑う気持ちはわかる」
「今日はゆっくり考えなされ」
「ああ・・・・うん・・・そうする」
まともに返事をする事もできず部屋に戻る
「これで少しは私も楽になるかの」
予定していたゲームも読書も手につかず言われた事を考えていた。
「ダンジョン・・・お役目・・・・両親の死の真相・・・・」
「ニート生活ともおさらばか・・・・」
いままでこの生活が異常だったのだろう 来るときが来た そう思う事しかできなかった。
心あらずのまま昼食、夕食を食べ眠りにつく