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当たり前だった日常生活の異世界化  作者: 結城楓
序章 新たなる時代
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第二話『日常の変化』

「さて、続いてのニュースは皆さんお待ちかねのMR最新情報コーナーの時間です。先月発売された革命的な端末のミクシリエイター。そしてインターネット先行予約版の一万本ものソフトがわずか十秒で売り切れ、しかもアクセス負荷によるサーバーダウンが三時間も続くほどの大人気の最新ゲーム、マジックヘブン・フロンティア!なんでも、国家プロジェクトらしく、これがまたすごくてこの世界に魔法が具現化するらしいですよ!これはもう革命ですね!今日の十八時から発売のソフト版九万本を手に入れようと店舗では一週間前から並んでいる人もいるとか・・・。先行予約版一万本、ソフト版九万本の計十万本が今回の第一期発売分で二期、三期と分割して発売されるらしいです。私、この時代に生まれてきてほんとによかったと思います。さて、それでは実際に体験版を・・・」


見ていたニュースを途中で止めると、電車から降りた悠樹は改札を出ていつも通り学校に向かった。


いつも通りの電車にいつも通りの通学路。そして、いつも通りの学校。高校二年になった秋、この当たり前で普通の生活が壊れようとしていた。


「魔法、かぁ。いつ聞いても実感わかないな。」


そう呟きながら靴を履きかえると悠樹は教室に向かった。

悠樹が教室に入ると一人の女の子が全速力でこっちに向かい飛びついてきた。


「おい風香、学校でくっつくなって・・・」


飛びついてきたのはクラスでトップレベルのゲーマーで悠樹の幼馴染でもある風香だった。


「今回は悠樹が悪いんだよ。悠樹学校来るの遅いんだもん!今日はいっぱい話したいことあったのにー・・・」


「ごめんごめんって、わかったからとりあえず離れくれません?というか俺はいつも通りだし、風香が来るの早いんだよ。」


「だって今日はアレの発売だよ?魔法だよ?魔法!歴史の大革命を前に落ち着いてなんていられないよ!」


「葉嶋さん暴走しすぎ(笑)」


クラスの人たちが止めに入ってくれたおかげでその場は一時収まったが、授業中ずっと落ち着かない様子だった風香は放課後になると溜めていた我慢が爆発したのか更に暴走していた。授業が終わってすぐ暴走した風香に連れ出された悠樹は風香に急がされ猛スピードでマジックヘブン・フロンティア発売記念特設会場に向かった。


ここでインターネット先行予約版の配布が行われ一万本もの引き渡しも一時間ほどで終わり、少ししてから放送がかかった。


「ようこそ、マジックヘブン・フロンティアへ!ただいまインターネット先行予約分の一万本の配布が終了しました。これより正式サービス記念チュートリアルを開始いたします。十八時より開催されますので、ミクシリエイターの装着などの準備をお願いします。これにて放送は以上となりますので、十八時までの間しばらくお待ちください。」


会場が一気に大歓声と熱気に包まれ会場全員が一斉にミクシリエイターを付けインストールを始めた。


「俺らも始めるかー。」


「うん!早くやろうよ!!」


そう言って悠樹と風香は準備を始めた。


準備にはまずミクシリエイターを付け視界内に表示される手順に沿ってマジックヘブン・フロンティアのインストールやキャラメイキングなどを行いゲームにログインする必要がある。


キャラメイキングは種族、服装、武器を選ぶと現実の自分にそっくりな容姿に仮想データを複合させたキャラクターができるというシステムが組まれている。そのため、現実の自分と仮想キャラクターの違いによる犯罪などの事件を防止する役割を担っている。


キャラメイキングも全員終わり全員の姿が少し変わったところで十八時になると、視界内にVRでオープニングムービーが流れ始めチュートリアルが始まった。


「オープニングムービーはいかがでしたでしょうか?ここからはゲーム内容の説明となります。まずは武器や攻撃についてですが、武器は杖、本、素手のみとなり物理攻撃はありません。地図やダンジョン、アイテム関連などの情報などについてはアイテムの中にある資料書をご覧ください。続きましては最後のチュートリアルとなります実戦トレーニングでございます。視界内に表示される手順に従って個人専用モンスターの討伐をお願いします。なお、この戦闘は絶対に勝てる敵ではないのでご注意ください。また、戦闘の勝敗により報酬も変化いたしますので勝利を目指して頑張ってください。それではまた後程お会いいたしましょう。」


そう言って放送が終わると視界内に(フロンティア・オープンと掛け声をかけると戦闘が開始します)というコマンドが表示され、一斉に戦闘が開始された。


「やるかー、フロンティア・オープン」


掛け声のすぐ後、目の前に黒いローブを羽織った影が現れ戦闘が始まった。戦闘が始まった瞬間に影の周りに魔法陣がいくつか発動し、結界が展開された。


悠樹は試しに初めから覚えている初期魔法のマジック・ボールを放ってみたが、先ほど作られた結界に阻まれて攻撃が通らない。


「くっそ、こんなのどうしろってんだよ・・・」


考えながら影の攻撃をよけ続け、残り時間もあとわずかになったとき、影の下に魔法陣があることに気付いた悠樹は魔法陣のある地面に向かって魔法を放つと結界が壊れ、もう一度魔法を放つと影が消えてクリア画面と報酬画面が出てきた。


「やっと終わったか、にしても強敵ってわけじゃなくギミック形式だったか。この報酬はなんだ?」


報酬画面に『巫女の証』と書かれており、概要欄に(これはこの世界におけるギルドマスターになるためのアイテム。巫女の証を所持している数に応じて所持者個人とギルドメンバーへの待遇が上がるというもの。


一人五つまで所持することが可能。また一つに付き一人サブマスターを任命することもできる)と書かれていた。


「ギルドか、面白そうだけど人集めるの大変そうだな・・・」


視界が元に戻り再び放送が始まった。


「みなさんいかがでしたでしょうか、記念モンスターは倒せましたか?このモンスターは一度きりのイベントモンスターです。今回のモンスターの討伐報酬は二度と手に入らないのでお取り扱いにはご注意ください。それでは以上をもって正式サービス記念チュートリアルを終了とさせていただきます。またこの放送終了後、各地でモンスターの出現が開始しますが、デスペナルティがあるのでHPにはご注意ください。それではまたイベントでお会いいたしましょう。今後もマジックヘブン・フロンティアをお楽しみください。」


放送と同時にモンスター討伐に向かう人、ログアウトする人、ギルドメンバーを募集する人などに分かれる中、悠樹と風香は巫女の証の所有権を移譲していた。


「なあ、風香。あれ倒せたか?」


「うん、もちろんだよ!でもこれいらないから悠樹にあげるよ。」


そう言って風香が渡してきたのは巫女の証だった。


「ほんとにこれいらないのか?もう手に入らないって、」


「大丈夫だよ。それにこういうのは私より悠樹の方が向いてるし。」


「まあ風香がそう言うならありがたくもらっておくよ。じゃあギルド作ったら学校に生徒登録でもしに行くかー。」


「それにしても学校とかで勉強しないと魔法が使えないなんて、ほんとにリアルにこだわってるよねー。」


二人は愚痴をこぼしながら総合センターに向かって歩き始めた。


マジックヘブン・フロンティアはレベルを上げると魔法を覚えるシステムではなく、勉強をして既存の基本魔法や応用魔法、また固有魔法を覚えることや、基礎身体能力もステータスに影響してくるので、運動やストレッチなど体を動かすこともレベルを上げる条件のため、ただ魔法を覚える事だけでは強くなれない完全なリアルステータスMMOとなっている。


「ギルド作るのはいいけど、名前なににすっかなー。」


「決まらないならゲームの名前にヘブンってあるし関係した名前にしてみたら?」


総合センターに着いた悠樹と風香はギルド『天空魔導団』を設立し、国立短期魔導師学校の生徒登録を済ませ、学校に向かうことにした。


「クラスはお互い一期っぽいなー。」


「一緒でよかったね!それにしてもまさか二つも学校に行くとは思わなかったよー。」


「そだなー、まあ単位制だから一緒に卒業できるかはわからないけどなー。」


「もー、またそうやってからかうんだから!」


学校に着くと学校説明書が配られ、教室まで案内され悠樹と風香の第二の学園生活が今始まろうとしていた。


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