なんでも作ってあげるから
あらすじ
衝撃の自己紹介で瑠依はクラスメイトに囲まれる。
訳あって鞠奈は瑠依を引っ張って逃げ出す。
泣いてしまった鞠奈を瑠依が慰める。
改めて鞠奈は瑠依のことが好きだと気づく。
教室に戻った二人はクラスメイトからの質問攻めにあう。
そこで、誰かから「恋町くんはあなただけのものじゃないから。」と、耳打ちされる。
まだ太陽は昇っている。
初日だから授業はお昼までだったのだ。
カンカンカンという踏切の音が遠くから聞こえてくる。
帰り道は二人並んで歩く。
いつもこうしているのに今日はなんだかドキドキする。
私は二人で教室に戻ってきた時のことを思い出す。
あの時確信した。
この中にルイのことが好きな人がいると。
でも、私だってルイのことが好きなんだ。
誰かに先を越されてはいけない。
ここはあの戦法で勝負だ。
鞠奈「ねぇルイ、お昼ごはんどうする?」
自然な感じで話し始める。
瑠依「うーん、どうしよっか。」
ここで勇気を振り絞る。
のどに詰まった言葉を出す。
鞠奈「何ならさ、私が作ってあげよっか。」
いつも普通に作ってるのに、今はなんだか緊張する。
瑠依「うん、マリの作ってくれるほうがいいな。」
ドキッ。
いつものことなのに、なんで今日に限って「マリの」なんて言葉が付いてくるんだろう。
深呼吸。ここで慌てては元も子もない。
鞠奈「な、何がいいかな?」
瑠依「カレー。」
鞠奈「カレー!?」
瑠依「BOMBカレーがいいかな。作るの楽でしょ?」
BOMBカレーとは、とっても安いインスタントカレーのことなんだけど・・・
それなら誰でも作れるじゃない!
鞠奈「今日は元気あるから、任せといてよ!」
瑠依「そう?なら、焼きそばとかいい?」
鞠奈「いいよ?何焼きそばがいい?」
瑠依「塩。」
鞠奈「塩焼きそばね、分かった。」
結局いつも作ってる塩焼きそばになってしまった。
ああ・・・
瑠依「フフッ。」
鞠奈「ど、どうしたの・・・」
瑠依「いや、慌ててるマリが可愛くて、つい・・・」
カァァ。
顔が熱い。きっと赤くなってるんだろう。
鞠奈「き、急にへんなこと言わないでよ・・・」
ルイにそんな気がなくても、可愛いなんて言われたら、恥ずかしいに決まってるよ・・・
鞠奈「もう!先に帰ちゃうからね!」
瑠依「あ、待ってよ~。」
私は前だけ向いて歩く。
火照った顔を見られたくないから。
ちょっと大き目の恋町家。
鞄から鍵を取り出して、家に入る。
鞠奈「ただいま~。」
すると、リビングのほうから一人の女性が歩いてくる。
??「おかえりなさい。あら?ルイはどうしたの?」
その時、玄関のドアが開く。
瑠依「マリ~歩くの早いよ~。あ、母さん、ただいま。」
瑠依母「おかえりなさい。」
そう、この人はルイの母である、瑠美さんだ。
瑠美「どう?二人とも高校はどうだった?」
瑠依「なかなか賑やかだったね。」
鞠奈「私はちょっと馴染めなかったけどね・・・」
瑠美「まあこれからよ、頑張ってね。」
まあ、まだ始まったばっかりだし、焦る必要も無いよね。
3人でリビングのソファでくつろぐ。
瑠美「ねえ、ご飯はどうするの?」
鞠奈「私が作るわ。」
瑠美「気合入ってるわね。」
なんだか、瑠美さんには全部見透かされてる気がする・・・
瑠依「じゃあ僕も手伝うよ。」
鞠奈「いいよ、私一人で大丈夫だから。」
私が作らないと意味が無いのだ。
瑠美「でもその前に・・・」
私とルイの制服を掴まれる。
瑠美「折角の新品の制服、汚さないように着替えてきなさい。」
・・・はい。
正直このやる気があるうちに作ってしまいたいのだけど、瑠美さんには逆らえない。
鞠奈「じゃあ着替えてくるね。」
そう言って私は自分の部屋に向かった。
どうも緋吹 楓です。
読んでいただきありがとうございました。
BOMBカレーの元ネタが分かる人がどれくらいいるのでしょうか・・・・
まあ、そんなことはさておき、鞠奈と瑠依は家に帰ってきました。
恋町家なのに鞠奈の部屋がありますが・・・
次回もよろしくおねがいします。