元気な鞠奈と可愛い瑠依
メモのとおりに。
桜が咲き誇る季節。
今年から始まる新生活。
私は期待と緊張を胸に、新たな学校へと足を進めるのであった。
??「ちょっと待ってよ、マリ~。」
後ろから声がする。
鞠奈「どうしたのよ、ルイ。」
制服のスカートをひらひらさせながら瑠依が駆け寄ってくる。
瑠依「この革靴、ちょっと小さくて歩きにくいんだよ~。」
制服に合わせて買ったピカピカの靴だ。
鞠奈「新品だからでしょ。その内慣れるわよ。」
瑠依「そうかなぁ。」
鞠奈「そうよ。さあ、初日から遅刻なんてしたら駄目でしょ!」
瑠依「あ、うん!」
私達は校舎へ向かって走り出す。
私達が教室に着いた頃には新入生でにぎわっていた。
それは何故か。
席順が張り出されていたからだ。
出席番号順には変わりないが。
瑠依「席どこだろ・・・」
そう、運がいい事に、私と瑠依は同じクラスになったのだ。
鞠奈「私は・・・」
6番だから一番後ろか。
席に座る。
瑠依「今年もよろしくね。」
隣に瑠依が座る。
もしかして・・・
鞠奈「隣の席がルイだったりする?」
瑠依「12番だから隣だね。」
新学期早々から本当に運がいい。
新学期初めてのホームルームが始まった。
赤い眼鏡を掛けた女性の先生が教卓に立つ。
担任「今回、1年C組の担任になった多田だ。担当は古文な。」
若干ザワつく。
担任「じゃあ、順番に自己紹介していけ~」
ザワつきが大きくなる。
自己紹介があるのは分かってたけど、いざとなると緊張する。
瑠依「マリはもう考えてるの?」
私はポケットからメモ帳を取り出す。
鞠奈「当たり前よ。昨日の夜にどれだけ悩んだか・・・」
担任「静かに。」
教室が静まる。
担任「出席番号1番から順番でどうぞ。」
一番前の人がぎこちなく立ち上がって自己紹介していく。
ああ、もう次か・・・
前の5人の自己紹介を緊張で聞き流しつつ、心の中で復唱する。
担任「はい、次、6番。自己紹介どうぞ。」
ドキッとしつつも、椅子を引いて立ち上がる。
クラス中の視線が飛んで来る。
ここで舌を噛んだりでもしたら、1年間クラスの笑いものだ。
深呼吸。
鞠奈「江崎鞠奈です。得意科目は英語です。趣味は読書です。」
ただただ普通の自己紹介。
ただこれだけでも緊張する。
担任「はい、江崎さん、よろしく。」
それを聞いて席に座ると、ルイが耳打ちしてくる。
瑠依「面白みが無さ過ぎない?」
そんな事私が一番分かってるわよ!
叫びたい気持ちを抑え、他の人の自己紹介を聞く。
こうなったらルイの自己紹介を弄り倒してあげる!
担任「はい、次、12番、自己紹介どうぞ。」
ルイが立ち上がる。
クラス中の視線が集中する。
釘付けになっているのは決して瑠依が可愛いからではないと思う。
瑠依「恋町瑠依です。名前は適当に読んでください。」
ルイも普通じゃないの!
担任「はい、恋町くん、よろしく。」
その時、教室中が固まる。
誰かが「くん?さんじゃなくて?」と、質問を投げかける。
瑠依「うん、合ってるよ。」
教室が凍りつく。
そう、ルイは。
正真正銘の男の娘なのだ!
どうも緋吹 楓です。
読んでいただきありがとうございました。
ガールズラブ?いいえ、男の娘です。
なんと瑠依、小さい頃から女装していたり。
全5話程度で完結させる予定です。
次回もよろしくおねがいします。