表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/32

立飲み屋について

 サッと寄れて、パッと飲める。立飲み屋はオヤジの心のオアシスです。

 渡り鳥が枝に止まって一息つくように、仕事に疲れたお父さんが、家に帰る前に少しの憂さを晴らす。家庭に不和を持ち込まない、社会の潤滑油としても、程よい働きをする……そんな尊き場所、その名は立飲み。


 立飲み屋に行きたいけど、何となく行き辛い方もいらっしゃると思います。かくいう私も、三十を超えるまでは、何となく行き辛かったですね。


 でもサッと飲みたい時ってないですか? 暑〜い日中、これといって用事はない。かといってどこかで腰を据えて飲む気もしない、そんな時。キンキンに冷えたビールとつまみをサッと出してくれる。そんな優れものが、街にはあるのです。それが立飲み屋ですね。


 さて、駅前のそこそこ流行ってる立飲み屋に入り、カウンターのお兄さんに、


「生一つ」


 と頼んで、何かつまむもの……と、ここで迷う方もいらっしゃるでしょうか? そんな方には〝どてやき〟をお勧めしたいです。


 これは完全に私の好みですが、牛すじの味噌煮込みが嫌いな方は、そうそう居ないと思うのです……でもないか?


 まあそこは頼んでもらうとして、もう一つ頼んで貰いたいものが有ります。それはコロッケ。無かったら、フライ系の揚げ物一品。これは是非どてやきと一緒に頼んでいただきたい。


 まずどてやきはすぐにやってくると思います。常に煮込んでますからね。それをつまみつつ、ビールを軽く一杯はいけるでしょうか? そしてお代わりを頼む頃には、どてやきが食べきってしまうと思います。だから二本は頼んで貰いたい。


 そうして食べつ飲みつするわけですが、コロッケというのは、案外調理時間が長いものです。

 下手をすると、どてやきを食べきってしまいそうですが、そこをまたグッとこらえて、一欠片だけは残しておいていただきたい。そうしないと食べきった皿は片付けられてしまいますからね。


 そうして死守したどてやきの味噌を、やってきた揚げたてアツアツのコロッケに絡めて食べて貰えば……もう言うことは無いですね。美味いに決まってますね。


 ええ、こうなってはビールでも、レモンハイでも、なんでもござれですよ。


 そんなこんなのめくるめく立飲み屋アワーを過ごしても、たったの十分そこら。

 合間に何をするかって? 私は何もしません。忙しく立ち回る店員さんの手技をニヤニヤと見守るか、隣で話し込むおっさん達の会話を聞くとはなしに聞くか、テレビなんてあった日には、それをボーッとみてますね。


 そうして事件なんかがあって、犯人でも捕まろうものなら、


「やっぱりね、こいつが犯人だと思ったよ」


 なんて適当な事を言って、隣のおっさんと談笑するも良し、芸能スキャンダルをつまみに、


「こんなん見て喜ぶやつの気が知れねぇなあ」


 なんて言いつつ、ガン見するも良し。近くのおっさんは、ほんの少しの事でも喜んで話題にのってくれるでしょう。なにせここはおっさん達の心のオアシスですからね。

 オープンマインド、しかめっ面の親父も、案外乗りは軽いものです。


 もしあなたが女性ならば、モテる事請け合い。なんならビールの一杯もおごってもらえるかも知れません。


 そんな時は気持ちよくおごられて下さいませ。お返しは笑顔くらいで充分です。なにせオープンマインドのオアシスですからね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ