愛すべきかんぴょう
栃木県出身の私としては、郷土の名物と言われればかんぴょうが真っ先に思い出されます。
ところが、県外に出てみると、案外ないんですね、かんぴょう。
たまに太巻きの中に入れられて、有っても無くても良いような扱いを受けていますが、どっこい中々味のある良い奴なんですよ。
と言っても、かんぴょう、地元に住んでいた時には、全く意識していませんでした。乾燥したかんぴょうに顔を描いたお土産物をみるだに、誰がこんな物を買うんだろう? と疑問に思ってましたし、紐のような乾物を甘辛く煮たものなんて、子供時代には良さが分かりませんよね。
寿司でも、巻物の主役は鉄火巻き、良くてカッパ巻き、大分落ちてお新香巻き、圏外かんぴょう巻き……という評価。
地元の子供にすら低評価な地味子ちゃんであるかんぴょう。しかし、これが酒のアテとなると、断然良い! のです。
煮物に良し、細巻きに良し、この二チッとした歯ごたえと、甘しょっぱい味が、冷酒なんかとピッタリくる。なんなら細巻きの中で、一番好きかも知れません。
今現在、幻想系おつまみシリーズにも、かんぴょうレシピはあります。それは甘辛く煮たかんぴょうの卵とじ。これなんか丼でもいけるんじゃないですかね? 揚げ物はどうだろうか? おでんの具には?……妄想は広がります。
地味ながら愛すべきかんぴょう。この魅力に真正面から向き合うことができて、栃木っ子としては、なんだか誇らしい気持ちがします。