ビーポン二刀流
このおつまみには、絶対この酒。という相性は、酒飲みの各人がお持ちだと思います。
あまりこだわりのない、どちらかと言うと、なんでもあり派の私にも、やっぱりこれだね! と心の底から喜ぶ組み合わせというものがあります。
焼き鳥にはビール。おでんには日本酒の熱燗、もしくは、焼酎お湯割。刺身には辛口冷酒。島らっきょうの塩漬けにはやっぱり泡盛。私は古酒以外の泡盛は割りますが、炭酸割りが好きです。もちろん水割りは基本として。
変わり種として、ビターチョコにはコーヒー割り(ウォッカ、ジン、米焼酎なんでも可、そこらへんは緩く)が合う。アイスも良いが、寒い日には濃いめのホットコーヒーで口の中のチョコを溶かしながら飲むのも良い。後からバニラアイスを追加するという、甘味パーティーも、偶には良いです。タバコを吸っていた時は、ここでセブンスターかショッポを深く吸うと、
〝ライフ・イズ・ビューリフォー!〟
と人生の喜びに打ち震えるところですね。
ここで冷や水を浴びせるような問題提起をひとつ。
ーー鳥刺の美味い焼き鳥屋で、焼き鳥も頼んだ時はなにを飲むべきか?ーー
この天地を揺るがす大問題に、皆さんはどう対処しているのでしょうか?
私が40年かけて編み出した答えは、右手にビール、左手に冷酒、というビーポン二刀流! です。正に開眼っすね!!
この黄金の二刀流にかかれば、たとえ、
「刺身は痛み易いので、30分以内にお食べ下さい」
と言われた後に、頼んでいたぼんじりが来ても、冷静に対処できます。
これがビールのみだと〝あゝ、刺身には冷酒が欲しいのになぁ〟とか、逆に冷酒のみだと〝あゝぼんじりの脂をビールで流したいのになぁ〟と苦悩するはめになるのですが、ビーポン二刀流ならば、寄る刺身を冷酒で迎え討ち、ぼんじりの脂をビールで流し去る。正にパーフェクト・ディフェンスをしけるのです。
そこにやって来たのはレア肝焼き……はて、これはどちらで飲もうか? 生っぽいから、冷酒もいけるし、コクがある焼き物だから、ビールでもいける。
悩む、はっきり言って一晩悩み抜いても答えは出ないでしょう。
でもこれは苦悩ではないのです、なぜなら私の口角は、終始上がりっぱなしですから。