それぞれが思うとん平焼き
今晩何にしよう? という世間の主婦の方達が昼過ぎに抱える問題第一位(推測)の命題は、当然我が家にも降りかかります。
ところが呑気な亭主は夕方早くに帰ってくるなり、ビールの缶をプシュッと開けて、
「つまみねぇかなぁ〜?」
と冷蔵庫をあさり出す……たまったものじゃないでしょうね、そこは今度ゆっくり反省するとして、簡単なつまみを作ってちょこちょこ食べて飲んでる内に、それが晩飯にーーという流れも多いです、特に夏場は。
そんなある日のこと、食べつ飲みつしていると、
「そんで結局何食べる?」
となり、
「イカ焼き食べたい!」
となったんです。イカの丸焼きではなくて、粉もんのイカ焼き(小麦粉とイカと卵でできた例のアレ)ですね。
でも急に思い立ってもイカなんかございません。豚バラならあるよ、となって、とん平焼きにしようか、と方向転換した訳ですが、どうにも最初に思い描いたイカ焼きの残像が脳裏にチラつく。
そこで私が、
「豚を使ったイカ焼き作ってよ」
とリクエストすると、
「そんなもん無い」
まあ当然の返事が返ってきますわな、でも私の頭にはすでにそれで飲むプランが出来上がっている。
「じゃあ俺が作る」
となった訳ですね。そして奥さんも続いて自身の思うとん平焼きを作って、どっちが美味いか勝負! という料理バトル漫画のような展開になりました。
私のやつは単純明解、豚バラを焼いて、そこに水で溶いたお好み焼き粉と細ねぎを5センチくらいの長さに切ったものを流し入れ、良く焼いたら皿に取り出し、油を拭き取ったフライパンに新しい油をひいて、卵を割りいれる。すこし黄身を潰したところに、先ほどの生地をのせ、すこし焼いたら出来上がり。
皿に盛り直して、ソース、マヨネーズをかけ、真ん中にケチャップを少し乗せれば完成です。
脳内のイカ焼きならぬ豚焼きはそこそこの感じで再現できました。後は味だけ……そして実食! 結果は大成功! まあ失敗する要素のない料理といえばそうなんですが。お好み焼き粉に含まれる出汁や山芋が良い味と食感を演出し、卵とケチャップの相性が全体を甘くフォローするという、飯うま、酒うまメニューが完成しました。
まあビールの進む事。ホクホク顔で喉を潤す私に、
「これを超える自信が無い」
という妻に半笑いで、
「そんなこと無いから、頼むよ」
などといやらしい低姿勢を示し、キッチンに追いやると、奥さんの思うとん平焼きを待ちました。
キャベツを使いたいところが、無いため白菜を使用。かなり水分を絞ってました。豚肉を細切りにしてから炒め、白菜を投入、塩胡椒で炒めたものを皿に取り出し、溶き卵三個を溶いて薄く焼いたところに投入、クルクルと巻いたものに、ソースとマヨネーズをかけて完成したものが食卓へ。
まあこれも間違いない美味さ、
「結局豚バラ最強やな」
という事で、このバトルはドロー、そして泥々になるまで酔い(量はそんなにいってないのですよ? 単に労働の疲れと、帰りに寄ったバッティングセンターでの汗が眠りに導いただけで)
深夜入って無かった風呂に浸かりながら、これを書いている始末でございます。
 




