表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: 蓮華

一人だけの世界。


一人だけの空間。


この世界に満ちている酸素は私だけのもので。


私の吐いた二酸化炭素だけがこの世界を漂う。


私の全てがここにある。


体、心、命さえも。


この狭い世界に存在している。


欲しいものが揃っている約束された世界。


灰色で無機質で臭い、あの地獄とは違う。


ここは色鮮やかで、優しい匂いに包まれている。


私たちはいつから、汚れた広い世界だけで生きることを刷り込まれたのか。


世界は狭くていい。


世界は一つじゃなくていいはずなのに。


得体の知れないものに押し付けられる幸せよりも。


私たちそれぞれが作り上げた。


不完全で壊れそうな幸せでいい。


あの汚い世界は変わらない。


私たちでは何も変えることが出来ない。


ただ、そこに在って。


ただ、そこで死んで。


何の特徴もない。


欠けたところで、いくらでも代えが利く歯車のように生きて。


幸せを押し付けられるぐらいなら。


私は世界に背を向けて、何度でも。


この扉を開けて、私の世界に立てこもる。


それが私の。


私だけの幸せだ。


大衆の中に融けるより。


かけがえのない、たった一人として在りたい。


この扉の向こうから聞こえるのは。


餌のような幸せを疑いもせず受け入れる、家畜のような者たちの声。


彼らは顔も知らない主のために。


今日も家畜らしく生きている。


そうだ、この扉は。


人と家畜の境界線なのだ。


私が人として守り抜くことが出来る、最後の砦なのだ。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 自分の理想である内側の世界と外の世界、それぞれが交互に出てきて対比がわかりやすい。 [気になる点] 各々の世界は唯一無二として隔離されることはなく、あらゆる規模で、一部もしくは全体が重なっ…
2016/02/23 18:10 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ