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LC版『Joanna Balsamo Little Cagliostro』-4

『レディースアンドジェントルメン! そしてヌイグルミの皆さん! 媛崎中学校演劇部+1年A組による演劇大発表の場にようこそ!! 今夜は皆様に楽しんでいただくべく日頃の練習の成果を存分に発揮するものであります!!』

 スピーカーを使っているのだろう、聞こえてきた声は反響し、媛崎中学校の校庭全体に響き渡る――


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………


 その声と同時に、校庭の一角に巨大な舞台がせり出してくる!!


「「「―――!!?」」」


 パッ! パッ! カッ!


 ライトアップされる舞台。その上に立つマイクを持った一人の男子生徒……


「宍戸先輩……?」

 密かに憧れてた存在がそこにいることに目を見張るベル・ホワイト……

「……宍戸って……秀作?」

 サーヴィン・メプルが舞台の上に立つ男子生徒に注意を向ける。彼女もかつては彼とは同じクラスだった――


『今夜僕たちが演じます題目は、その名もズバリ”魔女vs魔法少女”!! 多くのヌイグルミを従えし魔法少女が、凶悪な魔女に戦いを挑むというお話でございます!!』

 舞台の上で一人高らかに宣言する宍戸秀作――周りでは一年A組の生徒達が舞台装置であるヌイグルミを設置していく。


「あれは、我々にているな……」

 タビノ・キングがぼそっと言う。

「だが、我はあのようなブサイクではない。しかしグレン・ナジャ、そなたのはよく似ておるな」

「……タビノ・キング様?」


『かつて、フランス革命のおり、魔法使いとして世を騒がせたジョセフ・バルサモ、カリオストロ伯爵――その血を受け継ぎし、魔女ジョアンナ――リトル・カリオストロの異名を持つ魔女が媛崎中学校に襲撃してきた――』

 ライトが、舞台の一段高くなっている部分を照らす――

 そこには、魔女の姿を似せた衣装を着込んだ女子生徒がたっている――


「あれは……だれ?」

「一年生の誰かだと思う…………少なくとも、私達が産まれた時にワーボワールを襲撃した魔女とは年代が違うわね」

 異世界に行く前から友人同士であるリザ・クルージュと、クインローズが言葉をかわす。


『それに対しますは、3年前から半年ごとに一人ずつ現れていたと言われている媛崎中学校の7人の魔法少女!!』

 ライトが舞台の上の一人に集中する。

『”神山桂花”こと”魔法少女エルドラーナ”!!』


「―――私?」

 エルドラーナが頬に手を当てる。


『”安西薫”こと”魔法少女リザ・クルージュ”!!』


「~~! 誰がやっているのかしら?」


『”道堀万由子”こと”魔法少女クインローズ”!!』


「結婚似た娘を探してきてくれたのね」


『”風祭かもめ”こと”魔法少女トゥインクル・アロア”!!』


「似てないよ~~!!」


『”南九条楓”こと”魔法少女サーヴィン・メプル”!!』


「どこから見たことがあるような……演劇部の子かしら……」


『”白鈴愛美”こと”魔法少女ベル・ホワイト”!!』


「私にまで……」


『”由良瀬里奈”こと”魔法少女ロイヤルセレナ”!!』


「あれって、もしかして……」

 ロイヤルセレナは舞台のそばまで駆け寄る!

「……あなた、綾花ちゃんでしょ! 何をやっているの!?」

「何って? 私も演劇部だから、演劇をしているんだけど?」

 舞台の上でロイヤルセレナと同じ衣装を着た綾花がこともなげに言った。

「はいはい、お客さんは舞台の上の役者に手を触れないで下さい」

 そう言ったのは、ベル・ホワイトと同じ衣装着た瑠璃だった。

「インタビューなら終わった後に私達新聞部がやりますからご心配なく!」

 クインローズと同じ衣装で、深々と帽子をかぶりいつもグルグル眼鏡の下に隠されていた鋭い瞳を隠している魅咲がそう言った。

 他の4人の魔法少女もそして、もう1人の登場人物、魔女ジョアンナも演劇部もしくは一年A組の生徒が演じているようだった。


「ちなみに、俺は黒子だよ」

「まぁ、司会以外に基本男の出番がない演劇だからね」

 ごめんね~と、辰羅に小さな声で謝る秀作。


『7人の魔法少女は魔女と激しい戦いを繰り広げます!!』

 司会である秀作の声に舞台の上で戦いを演じる女子生徒たち! 何人かの男子生徒が黒子の格好してヌイグルミを動かし魔法などの効果を演出していく。


 それは、はっきり言って中学生レベルの演劇だった。




「……これはいったい何なんだ?」

「私の見た予言は…予言は……」

 タビノ・キングと、他のワーボワールのヌイグルミ達からの視線に晒されるグレン・ナジャ。

「まさかと思うけど、これが予言の戦い――いや、まさか……」


「予知の能力者を騙すのに本来シックス・フェイクは必要ない――劇の1つもあれば充分なんだ」

 天逆衆の持つシックス・フェイクは第六感系の能力を騙すもの――それに加えてこの演劇を行うことで、完全にグレン・ナジャの予言を騙すことに成功したのだ――

 真に迫った演劇なら、シックス・フェイクの必要性すらないのである。

 予知能力というものは、そういった弱点がある能力――

「だから言ってるだろ、あてにならない、と……」


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