LC版『Joanna Balsamo Little Cagliostro』-2
「おいおい、瑠璃、お前は何を言っているんだ?」
瑠璃の言葉に対し最初に反応したのは辰羅だった。
「魔法少女を加えただけであの天覇の魔女に対抗できるわけがないだろう! ここはこのヌイグルミ達を全部ひっとらえて、魔女に引き渡す! これしかないだろう!!」
「御陵、君……?」
辰羅が発した言葉を信じられないという目で見るロイヤルセナ。
「あなたは何を言っているの!? そんな事、許されるわけがないでしょう!?」
「はぁ? お前こそ、何を言ってるんだ魔法少女! お前は魔女というものがどういうものか知っているのか?」
「え……?」
ロイヤルセレナは黙ってしまう。
「魔法少女とそう変わりはないのじゃないか?」
隆幸が、近寄り口を挟む。
「それは、魔女というものを知らないからそう言える。日本には7人いると言われている世界公認魔女の一人、天逆の黒兎・黒斗リクはうちの……天逆衆の一員だからね。俺も、会ったことがあるんだよ」
「あ、私もリクちゃんには会ったことあるよ! 私の師匠が天逆衆から強奪しようとしていた」
魅咲も会話に加わる。
「最近の皇賀忍軍ってのは、ロリ強奪に命かけてるの?」
綾花が呆れたように言う。
「ま、桃香姉様はそういう人だから」
「魅咲ちゃんって、そういう人から忍術を学んでいたの?」
瑠璃も若干呆れながら言う。
「すいません、身内にしか分からない会話はやめてください」
グレン・ナジャが突っ込む。
「あ、桃香姉様、安土桃香っていうのは、私の師匠ね。今は医師免許の習得のために勉強中で、忍術訓練からは一歩引いているけれど」
「魅咲ちゃん、誰もそんな事に興味はないと思うけど……」
苺はついていけないと言うふうに言う。
「で、どうなさるつもりですか? グレン・ナジャ様。このまま逃げ帰るというのはいささか気が引けますが」
マジュ・リッツが、グレン・ナジャに近づいて言う。
「そんな事になる前に、こちらでお前達をとらえさせてもらう――魔女が現れた時に引き渡さなきゃなんないからな」
辰羅が三毛猫とオオカミのヌイグルミの側に立つ。
「いっとくが、天覇の魔女の恐ろしさを俺は甘く見ていない。この世界で最も最低と呼ばれている下劣魔女イルダとかならともかく、天覇の魔女は別格だ。いや、イルダ以外の下級魔女でも俺達は同じような行動を取るだろう。俺達の仲間には、以前天覇の魔女にひどい目にあわされた人間もいる――」
視線を、綾花に向ける――
「……魔法少女エース……」
「違うわ、多分それは、私が4年前に天覇の魔女に遭遇してるから、間違えたんだと思う。魔女にひどい目にあわされたっていう、共通の過去があるからね」
綾花は手を振りながら、ヌイグルミ達に近づく。振る手からは、アークが出現する。
「……一応、私達は戦うつもりだよ。天覇の魔女と……あなた達は、どうするの……?」
「ね、ねえ……大人の人にさ、協力してもらうって事はできないの?」
「根拠が、予知能力を持ってる女の子の言葉だけだもん、動いてくれる人はいないよ」
苺が魅咲と話す。
「向こうだって、預言者がいるからこういう話になるけど、もしグレン・ナジャがいなかったら誰も信じなかったでしょう? 瑠璃の予知能力は辰羅だってあてにならないと言ってるほどだからね」




