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LC版『Joanna Balsamo Little Cagliostro』-1

 ~~Joanna Balsamo A Little Cagliostro~~


 パソコンの画面上に、何枚かの同じ人物が描かれた絵が表示される……


「これがその魔女を描いた肖像画だ。といっても、綾花は本人を見たことがあったよな? たしか、4年前に……」

「はい……でもこれ、何年前に描かれたものなんですか? 私達が見た魔女と全く同じ年代だと思うんですけど……」

 かなり青ざめた様子でパソコンの画面を見つめる綾花に対し、銀河はゆっくりと言う。

「確かこちらの絵は、1895年の作品だと聞いている。こちらは確か、1977年の作、そしてこれは……1952年に画家がなくなっているはずだから、すくなくともそれ以前だな」

「え――!?」

 その答えに、瑠璃も驚愕する。

「描かれた年代が全部バラバラ!? ありえない、どう見ても同じ人間を描いているんでしょう!?」

 続いて表示されたのは、真っ黒にすすけた絵だった。かろうじて、人が描かれていることがわかる。

「こっちのは1962年にフランスの農家から見つかった物だ。製作時期はわからない。描いた画家は、CGによるサインの再現で判明した。その画家の活躍時期と経年劣化の具合から、百数十年はたっていることがわかっている。それを、CG加工で再現したものが、これだ――」

 描かれていたのは、今までの絵と同じ魔女の姿だった。

「おそらくこれが一番古い絵と思われている。そして、これがつい最近――2008年ごろ、今では巨匠と呼ばれるある画家が、無名時代に描いたものだが……」

 あきらかに、同じ人間が描かれている。

「そう、これに描かれているもの同じ人物だ。この画家の描いた絵は、一枚数千万円するというが、これはどの美術オークションにも出されることはない。というか、こっちの古い年代の絵も、伝説的な画家の未発表作品――世間一般では表に出ることのない秘蔵名画だ」

 長々と銀河が説明をする。

「ありえない話しだろう。百年以上もの年代の差がある絵画に全く同じ人間が描かれている。それがこのジョアンナの恐ろしいところだ。魔女の中でも稀有な不老不死の能力を持っていると言われている……」

 瑠璃と綾花は、無言でパソコンの中の絵を見つめる。そこに描かれている魔女の笑顔は、とてつもなく恐ろしいものに感じられた……


 その時パソコンの中の絵が、別のものに切り替わる。

 それは先ほどまでの魔女の絵ではなく、中世ヨーロッパの貴族のようなくるくる巻きの髪型に上品な服を着た男性の絵だった。しかし、その顔は黒く塗り潰されている――

「銀河さん? この人は……?」

 魔女の絵では無い別の人間の絵に戸惑いを感じる瑠璃。

「ジョセフ・バルサモ。通称カリオストロ伯爵――フランス革命の時代に実在した魔法使いだ……彼が、ジョアンナの父親だと言われている……」

「フランス革命……って、確か……学校で習った世界史じゃ、何百年も前の出来事じゃ……?」

「ルイ16世やマリー・アントワネットの処刑が1793年。ナポレオンの政権掌握が1799年。一説には1830年の七月革命で続いていたともいわれている。何百年も前の話じゃない」

 瑠璃が言った間違った知識を銀河が修正する。

「それでも二百年近く前の話じゃ……そんな時代に活躍していた人の娘がまだ生きて存在いるなんて、信じられない……」

「信じられなかろうが、信じられようが、事実だ。僕は昔、彼女に直接関わったことがある。綾花、君だってそうなんだろう?」

「……」

 銀河の言葉に、綾花は答えなかった。

「……まあいいか、ここでこういう会話できるのは僕や綾花が、天覇の魔女ジョアンナに直接関わったことがあるからさ。魔女のフルネームや正確なる異名は、魔女を呼び出す召喚の効力あると言われている。が、直接関わったことの人間がその名を呼んでも、なぜか効力が薄まる……でももし、天覇の魔女が現れたら、僕が何とかしてやろう」

 銀河はそこでパソコンのスイッチを切った。

「それでは計画通りに進めてくれ。まあもし、辰羅君や魅咲ちゃんの不用意な言動で計画が狂ったとしても、そう大した計画修正は必要ないだろう。超常自衛隊特殊三佐、七瀬銀河の悪知恵、とくと見せてやるよ」




「その名を呼んではいけません!! あなたは魔女をこの地に呼び寄せるつもりつもりなのですか!?」

 グレン・ナジャが叫ぶ!!

 周りのみんな、ヌイグルミ、魔法少女、男子生徒はなんのこっちゃというような表情で三毛猫のヌイグルミとミコレンジャーを眺めている。

「何言ってるの?って魔女ジョアンナが現れることは、もう決定事項だよ」

 少しあきれたようにミコレンジャー、瑠璃はグレン・ナジャにいう。

「あなた本当に、預言者なの? それともやっぱり見えているのに目をそらしているだけなの?」

「な?」

 グレン・ナジャはうろたえる。

「現れる事は決定事項? どういうことですか……」

 言葉ではそういいつつも、グレン・ナジャは自身の予言の力をフルに使って感覚を未来に飛ばす――


 遠くない未来――場所は……この媛崎中学校のグランド?

 戦いが起こっている――7人の魔法少女が一人の魔女と対峙している――その周りにはいくつものヌイグルミが……自分たち同じヌイグルミもいれば、この場にはいないヌイグルミもいる。そして、魔法少女やヌイグルミ達と共に戦う和風戦隊の面々……

 魔法少女やヌイグルミ達が戦っている相手は、魔女ジョアンナ……かつて、ワーボワールを襲った魔女と寸分違わぬ姿をしている――


「――――――!!」

「どうやらやっと見えたようだね。これから起こる戦いが……」

 瑠璃はじっとグレン・ナジャを見つめる。

「すべての魔法少女とあなた達の仲間を全部この世界に呼んできて! 天覇の魔女との戦いが始まるの!!」

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