AS版その4『魔法少女の帰還』-4
「お、お前は……和風戦隊ヤマトレンジャーの……ブシレンジャー!?」
「その呼び方はやめた方がいい。それは、瑠璃が適当に言っていただけのものだ」
ブシレンジャー……いや、辰羅はその姿のままヌイグルミ達に近寄っていく。
「お、おい! その姿に変身するって事は……お前も正義の味方なんだろ!?」
「それが何でワーボワールの子達をとらえようとするの!?」
隆幸とロイヤルセレナが辰羅の進行方向に回り込み、そういう。
「言ったはずだぞ、邪魔をするな!」
ブワァ!
辰羅の全身から妖気が立ち上る!!
「『妖魔障壁』!!」
ドン!!
辰羅の放った何かの力が、隆幸とロイヤルセレナを軽く押し返す!
「つう~~!」
「御陵……お前、まさかお前も……魔法使いなのか!?」
転がってしまうロイヤルセレナと、素早く起き上がり叫ぶ隆幸!
「俺は妖術師。魔法なんかは使わない」
「妖術……?」
「古来より、受け継がれし天逆衆の得意な能力だ」
「「「天逆衆!!?」」」
ロイヤルセレナ、ベル・ホワイト、そして隆幸が一斉に叫ぶ!
「ま、まさか……あなたが天逆衆というの!?」
「あの仮面をつけて生徒達を操っていた……!」
魔法少女二人が立ち上がる……
だが、魔法少女達の言葉に辰羅は顔を険しくし声に怒りを込める……!
「あんな偽物どもと一緒にするな!!」
大声で、魔法少女達を睨み付ける辰羅。
「いいか、天逆衆というのは古来より、天、すなわち為政者……権力者たちに逆らう者たちと思われているがそれは違う! 本来なら天上界の神々に逆らうし英雄たちのことを……」
辰羅による、長々しい話が始まろうとする、その時だった。
バン!!
辰羅の後ろで屋上へと出るドアが勢い良く開く!
「愛美!」
そこから勢い良く草薙苺飛び出してくる!
「「「――!」」」
その場にいた者達の注意がそちらに向く。
「愛美は、愛美……」
キョロキョロと周りを見渡しベル・ホワイトの姿を確認する苺。
「愛美!! いったいどういうことなの? 異世界に帰るなんて……あなたは本当に異世界人だというの!?」
「……あ、あの~、また俺の話が途中なんだけど……ええっと、苺先輩……」
そういう辰羅に苺が振り向く。
「……あなたが、異世界人!?」
辰羅の姿を見て、苺はそう確信した!!
「どういう事なの!? あなたが愛美を異世界に連れ帰ろうと言うの!?」
「違うよ、それはただのコスプレイヤー」
「――! 魅咲!」
苺の後ろから新浪魅咲が現れる。
「これはこれは、なかなか良い記事になりそうね」
どこに隠し持っていたのかデジカメで魔法少女とヌイグルミ達の写真を撮る魅咲。
「――魅咲、ちゃん……」
「新聞部が、どうしてここにでて来るの!?」
ベル・ホワイトも困惑した声を出す。
「……わかりません、ただ……草薙苺だけは我々が手紙で呼び出しましたが……」
グレン・ナジャがそう言う。
「訳のわからないおまけまでついてきてようですね……」
「え? 私の事?」
三毛猫のヌイグルミの目線に自分を指差して答える魅咲。
「辰羅、何がどういう風な状況なのか説明してくれる? なんであなたは化身なんてしてるの?」
「……お前も化身しろ、魅咲……ワーボワールを捕まえるんだ」
辰羅は魅咲に対してそう言う。
「……まさか、魅咲ちゃんも天逆衆なの!?」
二人の会話が聞こえたロイヤルセレナは驚いてそういう。が、
「天逆衆? 待ってよ、なんで私が天逆衆扱いされなきゃいけないの? 私は皇賀忍軍だよ!」
「――皇賀忍軍!?」
魅咲はいつもかけているグルグル眼鏡を取り外す。その下から鋭く尖った目が現れる。
「術式解除――化身『忍化生』!!」
バシュウ!!
激しいエフェクトを出すことなく、魅咲の姿が変わる!
「和風戦隊ヤマトレンジャーが一騎、ニンジャレンジャー・皇賀忍軍新浪魅咲! ――ここに推参!!」




