S版その5-2
「あなたは、魔法少女?」
「はあ? 何言ってんだ?」
男子生徒は、そう言ってきた変な女を睨み付ける。
この、媛崎中学校の制服では無い。どっか別の高校の制服を着た女だ。
――その顔は、仮面に覆われていてわからない――
「げ、なんだ? その仮面は!?」
先日起こった黒い茨の事件で自分が仮面にされたため、仮面にはトラウマのある媛崎中学校の生徒達――
だからこそ、仮面をつけた女に必要以上警戒してしまう――!
「あなたは魔法少女ですね!」
女――凛華――は、手から不可思議な力を発揮する!!
「うわぁ!」
しゅるるるん!!
男子生徒の制服が凛華の力により発光する――そして、
「げぇ!?」
男子生徒は驚愕した。いつの間にか、フリフリの魔法少女のような衣装を着せられていることに――!!
「俺は変態じゃない!!」
思わず叫ぶ魔法少女の衣装を着せられた男子生徒――!!
「やっぱりあなた、魔法少女じゃない――!!」
凛華が、男子生徒に詰め寄る――!!
「弟を、いじめた魔法少女にお仕置きを!!」
スパコーン!!
凛華が手に持っていたハリセンで、男子生徒をぶっ叩く!!
「うぎゅう……」
男子生徒は魔法少女の衣装を着せられまま気絶する――
「弟をいじめていた、魔法少女はコイツだけじゃないよね……もっと、魔法少女にお仕置きしなきゃ……弟が、二度といじめられないように――」
仮面の奥で、凛華の瞳は醜く濁っていた……
「なかなか、おもしろい素材だね」
仮面をかぶせられた凛華の行動を、物陰から眺めていたメガネザル――トルオ・ニュウ――が言う。
「ええ、あれの目的は魔法少女――いずれ、ロイヤルセレナかベル・ホワイトとぶつかるでしょう。魔法少女にはいい経験になると思いますよ」
トルオ・ニュウに答えたは魔法少女に敵対する天逆衆の一人、カゲホウシだった。
「それでは、レオとパクにあれの情報を伝えますか」
「待ちなさい」
念話の魔法を使おうとしたカゲホウシを、三毛猫が制止する。
「グレン・ナジャ様!?」
「伝えるのは、レオだけでいいです」
三毛猫――グレン・ナジャは、そう言って微笑む。
「最近、予言が外れることが多々ありましたが……今回の予言は当たりそうです――ベル・ホワイトには、あの者の件は伝える必要ありません――」
「……?」
トルオ・ニュウが、怪訝な表情をする
「ベル・ホワイトを活躍させない、ということでしょうか?」
「ええ、そろそろタビノ・キング様に力を使ってもらおうと思います――」
「「――!!」」
カゲホウシとトルオ・ニュウが息をのむ。
「タビノ・キング様に……」
「ということは、近々……」
「ええ、そろそろ、時空ゲートを開くときです――」
グレン・ナジャは、にこやかにそういった。
「交代要員、くるんですよね? 僕、そろそろ故郷の味を堪能したいんですけど……」
トルオ・ニュウが、口からよだれを垂らしていう。
「久々に、友人と会える!! ――タビノ・キング様とも、再び会えるのね!」
カゲホウシの声も震えている……
「それでは、魔法少女達をしっかりと育てましょうか。タビノ・キング様のご期待にきちんと答えるために――!」
「はい」
「了解しました!」
トルオ・ニュウ、そしてカゲホウシが力強く答える――
「……ところで、ヤミゴロモ……マジュ・リッツはどうしたのですか? あれ以来見ていないのですが……?」
「……それは、予言に出てこないのです……まあ、予言はかなり後まで見えていますから問題ないはずですが……」
「魔法少女にお仕置きをしてあげます!!」
そう言って不思議な力を放ちまくる凛華――
その力を浴びて、男子生徒の女子生徒も皆魔法少女のようにフリフリな衣装に変えられていく……
バゴ、ボゴ、ドゴ!!
凛華はハリセンで、魔法少女の衣装を着た生徒達を叩き回っていた!




