A版その5-5
「よし、解決策がわかったなら行くしかないのだろうな!」
星羽は時計塔の上で立ち上がる。
「Star Feather System Lady Go!!」
ザン!!
星羽が来ているパワードスーツ『スターフェザー』が完全起動し、星羽もろとも宙に舞い上がる――!
「ちょっと、待ってよ!!」
一気に戦場へと行こうとしたスターフェザーの足を遼子がつかんで止めてしまう!
「お、おい! 危ないだろ!! オレは急に止まるはできないんだ!!」
手足をばたつかせて空中舞踊もどきを披露するスターフェザー――。彼の着ているパワードスーツは超常自衛隊の異世界技術によって作られた反重力装置とウィルコネクトによる飛行なので、小型ジェットやプロペラなどはついていない――そういった意味では安全で遼子も怪我などはしなかった。
「だからと言ってえ、落ちたら怪我するのはお前なんだぞ!!」
とりあえず、地上に降りるスターフェザーと遼子。
そんな二人の様子を、地面に開いた穴に避難していた生徒達がちらちらと見ている。
「さっきまで、そんなカッコイイコスプレ装備しているのに、さっきまで全然動かなかったのが急に動くなんて――何かの情報が入ったの!? たとえば……どこからか救援が来ることになったとか!?」
スターフェザーは遼子の様子を見る――その瞳は真剣そのものだ。
「警察!? それとも噂に聞く超常自衛隊!? それと連絡がついて助けに来てくれる事になったの!?」
「……いや、奴らの仲間を捕らえていたオレの仲間から、ブラック・モノボルに操られた生徒達を元に戻す方法がわかったから実行しに行くだけのことだ!」
「――!!」
遼子が、息をのむ。
「……私も、行く――!」
「……危険だ!」
「私の友人や、吹奏楽部の仲間たちが犠牲になっているの。それを助けなきゃいけないの! ……私が、なんで無様に逃げたと思う? 救援を、呼びに行くためよ!! 助けられるのなら、みんなを助ける! だから、連れて行って!!」
『わかったよ! そのかわり自分の身は自分で守れよ!!』
「……なんか、ラブコメみたいなことをやってる……」
いまだ通話状態の携帯電話から聞こえる向こうの状況に、辰羅は少し呆れる。
「こいつの種に体を乗っ取られた生徒達を見殺すわけにはいかないだろう。俺達も、行くぞ!」
辰羅の声に、A組の男子生徒が声を上げて賛同する!
「熱くなっちゃって……でも……とらわれの女の子達を助けたら俺のハーレム・エンドが近づくな……」
遠藤晴夢もちゃっかりと後に続く――
『ククク……イイヨクボウダ。ヤハリヨクボウツヨキモノコソワレガメデルモノデアルナ』
「相変わらず、訳のわからない趣味をしてるな、お前達ブラック・モノボルは……」
魅咲の手によってがんじがらめに縛られていたマジュ・リッツがうめく。
(だが、ここでこいつらの大半が消えてくれるのは好都合だ。はやく逃げてあの二人と合流し――グレン・ナジャの予言通りに第3の魔法少女を使って……)
ここでふと、マジュ・リッツは思い出す――今回のことは、自分たち指導者、グレン・ナジャの予言に従っておこなったことだ。
(かの者の、吸収・封印能力は有能なものと思われます――まだロイヤルセレナを覚醒させてから時はあまり経っていませんが、有能な人材はすべからく手に入れておくべきです。我らが偉大なるワーボワールの王、タビノ・キング様も、それを望んでおられますからね)
そう預言者であるグレン・ナジャの意見もあり、彼女の予言に従って今回の出来事を起こしたはずだ……
(確か、魔法少女エースには、軍人あがりのキャロをつけたとか言っていたはず……)
ブラック・モノボルの魔力を吸収し、目覚めさせた能力を持った少女を目で探す――
「……エース――」
神城綾花をどうにか見つけ出し、そう呼びかける。が、返事がない。
「おい、魔法少女エース!」
何度かそう呼びかけるが、綾花は反応を示さない――
「……綾花ちゃん、犬のヌイグルミが、何か呼んでるみたいだよ」
やっと、綾花の隣にいた魅咲が気づき、綾花にそういう。
「……もう、私は魔法少女じゃないって!」
少し怒りながら綾花がマジュ・リッツに向き直る。
「お前……あのウサギの使い魔……キャロは、どうした?」
「キャロ? ああ、あのヌイグルミ? あれなら、超常自衛隊の七瀬さんに渡したよ。前々から、何か手がかりを手に入れたら渡すように言われたから」
「――!?」
マジュ・リッツは驚愕する。そのような事、グレン・ナジャの予言にはなかったからだ。
グレン・ナジャは魔法少女となるものにある程度の洗脳の魔法をかけているはずである。そして、使い魔として渡されたワーボワールの者が、少しずつそれを完全なものにしていく――相手が、眠ってるときなどに……! しかし、それが可能になるのは魔法少女となる女の子が、使い魔たるワーボワールの者を家に連れ帰り、寝食を共にしている時などだ。
この世界に来た時に見た魔法少女アニメや美少女戦士物アニメの主人公たちは、パートナーの使い魔やお伴の動物たちをそういう風に扱っていた。だから、自分たちもそう扱われるものと、思っていた――
「あ、私の家、ペンペンシー3世……猫がいるから、あんな物持って帰ることなんてできなかったよ」
綾花はあっさりとそう言った―――――




