S版その4-7
「「フレー! フレー! ヤミゴロモサマ!!」」
「「ガンバレ! ガンバレ! ガゲホウシサマ!!」」
「「ソレイケ! ソレイケ! クロマントサマ!!」」
女子生徒たちの身を包んでいる黒い茨が、チアガール風に変化し、天逆衆を応援し始める。その胸元についた男子生徒や男子教師の瞳を閉じた顔は、何を思っているのだろうか……?
「魔法少女!! 小鳥君!! そして先輩方!! 頑張って!! 私が一番応援するから!!」
陽子が何かを祈るように手を組みながらそう叫ぶ。黒衣のチアガール軍団が応援する敵方と違って、こちらの応援はあった一人だけだ。
「『ライトニング』!!」
リン!! リン!!
ベル・ホワイトがステッキから光弾を打ち出す!!
「そんな単調な攻撃、当たらないわよ!!」
カゲホウシが笑いながら光弾をかわし、ベル・ホワイトに急接近する!!
「――――『ロングランス』――!!」
ステッキが長い槍に変わり、カゲホウシを突く――!
「きゃっ!!」
突かれた状態で、後ろに倒れこむカゲホウシ――!!
「『ロック・ゲート』!!」
リリン!!
相手をどこか一カ所に縫いつける魔法を使い、カゲホウシを地面に封じようとする、しかし――!!
「『クエイク・ホール』!!」
ズン!!
「!?」
地面を揺らし、穴をあける魔法を使われ、封印の魔法がかわされる!!
「『ウイング』!!」
そのまま、カゲホウシは飛翔の魔法を使い、上昇してしまう!
「なかなかやりますわね。さすがはこの学校で長く魔法少女をやってるだけのことはあります。――今回の戦いで、一番の障害はやはりあなたのようですね」
そう言いながら新たな魔法の呪文を唱えだすカゲホウシ……!
「だりゃ!!」
レオから受け取った魔法の剣で、クロマントに襲いかかる隆幸!
「はっ!」
隆幸の攻撃の隙を、秀作がうまくフォローし、クロマントに魔法を使わせる隙を与えない!!
「まったく、僕の相手は魔法少女なんだよ……! 君たちの相手はしてられないんだ!」
そう言いながらも、防戦一方のクロマント。口調に焦りが見え始めている!
「――やりますね、宍戸先輩――!!」
「ま、御陵君が来るまで演劇部の殺陣は僕が、コーディネートしていたからね……」
そう言いながらも、攻撃の手をゆるめない隆幸と秀作――!!
「……かっこいいことを言いながら、カメラ係に収まってる私って一体……」
戦おうと決意していたが、戦闘のレベルについていけず、結局苺は陽子の横でデジカメに戦いの様子を記録することしかできなかった――
「『ソード』!!」
ステッキを剣に変化させ、
「『スピード』『パワー』『シールド』!!」
速度上昇、攻撃力上昇、防御力上昇の魔法で自身の体を強化する――!!
「だりゃ!!」
クロマントと戦う隆幸と同じ叫びをあげてロイヤルセレナはヤミゴロモに切りかかっていった!!
「『ファイヤ・バリア』!!」
ゴオオオオオオ!!
「――!?」
ヤミゴロモの前に炎の結界が現れ、近づくことができなくなる――!!
「『アーチェリー』!!」
戦術を変えて弓矢による中距離攻撃をしようとするロイヤルセレナ!!
フッ……
瞬間、炎の結界が消えてしまう!
「な……!?」
矢を放つ寸前、目の前に現れるヤミゴロモ!!
「『スリープ』!」
「――うっ……」
かけられた魔法で、ロイヤルセレナの意識は眠ってしまう――
『小鳥君!?』
眠ったのは、ロイヤルセレナの中にある2つの心の内、隆幸の心だけだったようだ――
「仕方ない、よね!」
ロイヤルセレナの中にある瀬里奈の心の方が、眠ってしまった隆幸の心を奥に引っ込め表に出て行く――!!
「ククク……くらえ『コロナリング・スピキュール』!!」
ダンッ!!
ヤミゴロモの体の周りに、再び炎の輪が出現する――!! そして、そのまま急上昇!!
「またあれっ!? バ、バリアを……!」
そう言って、先ほど見たヤミゴロモの技の効果範囲に、自分以外の仲間もいることに気付いてしまう!
「あ、ちょっと! またコロナリング・スピキュールをするつもり!?」
クロマントが、ヤミゴロモの様子に気付いて距離を取ろうとする。
飛翔魔法で上昇中だったカゲホウシは、魔法を中断し、空中停止する。
「――レオ、小鳥君達を守って!!」
「――お前は、だいじょぶなのか!?」
レオの問いに、答えを返さず隆幸と秀作の入る方向へレオを投げるロイヤルセレナ!
「……パク、あなたはあっち!!」
それを見ていたベル・ホワイトは、苺と陽子のいる方向へ自分の使い魔、パクを投げる、そして!!
「「「「『バリア』!!」」」」
ズウウウウウウウン!!
2人の魔法少女と、2匹の使い魔が同時に防具の魔法を使う――その時、巻き起こるヤミゴロモの爆発魔法―――
戦いはまだ始まったばかりだ!!




