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S版その4-5

「天逆衆……!!」

 ロイヤルセレナ、ベル・ホワイト、そして小鳥隆幸が戦闘態勢をとる。

「今回のこれは、あなた達の仕業なのね!」

「その通りだ」

 ベル・ホワイトの問いに答えるヤミゴロモ。

「こいつら……」

『小鳥君、変わって!』

 ロイヤルセレナの中身が瀬里奈に変わる――

「こんな事して、なにになるっていうの!?」

 彼女も、多くの学校の仲間たちを巻き込んだ天逆衆に怒りを感じているようだ――


「それはこういうことよ……」

 カゲホウシがバサッと言いつけた黒い衣服を翻す……

「我らが兵よ! 今ここへ、集え!!」


「「「―――!!」」」


 その場にいた人間たち全員が驚く。


 ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ………


 校舎から何人もの人間が歩いて出てくる。

 男も女も黒い服を着て胸元に瞳を閉じた自分とは違う仮面をつけ、目を細く口は三日月のように笑っている――


 仮面の意識に体を乗っ取られた生徒や先生たちだった。


「さぁみんな! 僕らの欲望は何か言ってごらん!」

 クロマントが整列した生徒達に向かって叫ぶ!


「「「ワレワレノヨクボウハ、コノセカイヲシハイスルコト! ワレラハソノセンペイ!!」」」


 生徒達は声を揃えて叫ぶ!! もちろんそれは媛崎中学校に通っている人間たちの欲望では無い――皆の体を乗っ取った仮面が持っていた欲望だ。

 本体の意識を別の肉体に移し、本来の肉体にでないため、自由にならない人間の意識を支配下に置くことで人間の肉体を自由に動かすことができるようになったのだ!!


「フフフ、皆、私達の忠実の兵士になったというわけですわ。もっともっとこういう人間たちを増やして、やがて世界を我ら天逆衆のものにしてみせるわ!」

 天逆衆三人組は、邪悪な笑いを上げる――


「なんてことを……」

「ひどい……」

「何を考えてるの!? あなた達は!?」


 魔法少女の後ろで、無事だった女生徒達がそう言う。彼女たちも恐怖に怯えているようだ。


「ここまでは順調だ。今のところ俺達の計画通り――残る障害は……」


 ヤミゴロモが、魔法少女に視線を向ける―――


「お前たち魔法少女が、最後の障害だ――取り除かさせてもらうぞ!!」


 ドン!!


 ヤミゴロモが大地を蹴り、駆け出す!!


「くっ! 『シールド』!!」

 ベル・ホワイトはバリアを張って、後の仲間たちを守ろうとする!!

「食らいやがれ!! 『コロナリング・スピキュール』!!」


 ダンッ!!



 ヤミゴロモの体の周りにいくつもの炎のリングが出現する!!

 その炎リングをまとったまま再び大地を蹴り、上昇するヤミゴロモ――そして、炎のリングをまとったまま急降下!!


 ズウウウウウウウン!!


 学校の校庭に、拳を突き立てると、炎のリングが大きく広がり、ヤミゴロモを中心に炎の波状攻撃を繰り出す!!


「「きゃあああああ!!」」


 ベル・ホワイトのバリアを揺らす衝撃が、その攻撃が尋常ではないことを物語っている。


「―――!!」


 ヤミゴロモの攻撃はヤミゴロモを中心にして円形に、かなりの広範囲に効果があることがわかる。さすがに、味方を巻き込むわけにはいかないのかカゲホシやクロマント、そして仮面に支配された生徒たちのところまでは届いてはいないが―――


「皆、バリアをといたら一目散に逃げて!! あなた達を守って戦うなんてとてもできそうにない!!」

 ベル・ホワイトが悲痛な声で叫ぶ!!


「ふざけるな、俺達も戦う!!」

 隆幸が叫ぶ!!

「クラスメイトを、先生を、学校の仲間を見捨てられるか!!」

「そうよ、愛美!! 一緒に戦いましょう!!」

 苺もそういう。

「マイスイートストロベリー、苺ちゃんが戦うなら、僕も引けないな!」

 宍戸秀作も一歩前に出る。

 戦う意志があるのはこの三人くらいで、あとの人間たちは逃げ腰だ。

「まだ彼女もいないのに、死にたくないよ……」

 情けない声を出している疾風……

「おい、黒猫! なんか武器は無いのか!?」

 疾風を無視して隆幸がロイヤルセレナの使い魔、レオに詰め寄る。

「とりあえずこの剣を使ってみれば?」

 レオは魔法で1本の剣を取り出す。

「よし、借りるぞ!!」

 すぐさまその剣を奪い取る隆幸!

「小鳥君……」

「奴らを倒せば、皆元に戻るんだろ! いや絶対に、元に戻る!! 俺が戦う理由はそれだけで充分だ!!」

 そう言って、剣をかまえる隆幸。

「小鳥君、戦う理由ってまだあるよ}

「?」

 ロイヤルセレナは何かを決意したかのように鋭く隆幸を見つめ返す!

「あなたのライバル、御陵辰羅君―――ここにいないって事は、あの天逆衆の兵士達の1人にされちゃったんだろうけど……助けられたさ、あなたと勝負するように言ってあげるよ――助けてくれた魔法少女に頼まれたら、いやとは言わないでしょう」

「……」

 隆幸はロイヤルセレナを見る。隆幸のなかの瀬里奈も、

『あれ、これって、私なの……?』

 と言っている――


「何をゴチャゴチャ言っているのかしら!? 『ブラストーム』!!」


 ビュウウウウウウン!!


 カゲホウシが風の攻撃魔法を使い、バリアを再び揺らす!

「……ねぇ小鳥君……これで最後になるかもしれないから、ちょっとわがままを聞いてくれる?」

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