SS版『魔法少女え~す・ショートショート』-2
☆演劇部部長☆
「あいつがこなくなって、どれくらいたつのか……?」
宍戸秀作は、演劇部の副部長の席を眺める。
「授業が終わったら、さっさと帰りやがって……あいつの演劇に対する愛はそんなものだったのか?」
秀作は勢い良く立ち上がる!
「中学を出たら、演劇の高校へ進学して、やがてテレビや映画で活躍する俳優になろう……そう誓っていたお前は何処へいった!?」
秀作の表情が、怒りから笑いへと変わる――
「そう思っていた……でも、僕は誤解していた――君は、演劇の愛を捨てた訳じゃなかったんだね。なあ、浅科星羽――いや、スターフェザー!!」
「いや、オレはそういう意味でこの格好になったわけじゃない――」
☆ドッチボール‐1☆
「なして中学校に入ったらドッチボールがなくなるね! 俺っちは全中学校一のドッチボールプレーヤーになったろ思とったのに!!」
加藤治郎はテニス部が壁当てに使う壁の前にドッチボールの玉を持って仁王立ちなる。
「うおおおおお!!」
ドゴ! ドゴ! ドゴゴゴゴゴ!! ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
治郎がドッチボールの玉を壁に向かって何度も投げつける。跳弾の玉を受け取り、何度も、何度も!!
「暑苦しいわね~~……」
背後で、黒づくめの女がそう言っていても気付いていない……
「ま、その欲望をこのカゲホウシの糧にしてくれるのならば、何も言うことはないけどね」
☆嫉妬☆
「辰君、今度の休みどこに行きたい? 私はね、ヒーローショーに行きたいな!」
「瑠璃、お前って相変わらずのヒーローマニアだな」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
「ねぇ、千景。今度あの店の買い物に付き合ってね」
「ああ、わかったよ空奈」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
「俺から奪った心を、返してくれ由良……」
「ごめんね小鳥君、あなたの心は私に必要なものなの……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
「どいつもこいつも、いちゃいちゃしやがって!! この京極疾風には彼女一人っても出来ないってのに……!!」
嫉妬の炎がゆらゆら燃える……血の涙を流しながら、京極疾風は今日も吠えていた。
「って、俺と由良とのはなんか違うぞ!?」
いや、傍目には他と変わんないって。




