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AS版その2『魔法少女エース』-4

「どうやって、魔法少女になったんですか? そもそも、この学校の生徒なんですか?」

 陽子による魔法少女ロイヤルセレナに対する話は質問の形になってきた。

「そういえば、魅咲ちゃんから聞いたんだけど、あなたには決めポーズとか決め台詞とかないんだよね。ヒーローものとしてどうかと思うから、何か考えてあげようか?」

 瑠璃は陽子より冷静だが、ロイヤルセレナの助けになるようの事はないだろう。

 むろん、廊下に倒れふし、時々女子中学生に踏まれている全中学生一の変態入田鹿康には誰も何も期待していない。

「魔法少女にはお決まりの使い魔とかはいないんですか?」

「一応、レオっていうのがいるけど……」

 答えられる質問にはしどろもどろになりながらも答えてみるが、限界が近そうだ。

『小鳥君、なんとかなんないかな? この陽子ちゃんとは同じクラスなんでしょ?』

 心の中の隆幸に助けを求める。が、彼の役目は戦闘のみ。

『俺は元々女子とは親しくない。同じクラスだったというだけで夏樹の事をちゃんと知っているわけでない』

 と、助けにはならない。

「今、レオはいないし、どうしたらいいんだろう……?」

 隆幸の心を一部吸収することにより、敵と戦う勇気と隆幸の持っていた技術は手に入れることができた。だからといってこういう事態に対する方法を知ってるわけじゃない。


「――!!」

 にこやかに、ロイヤルセナと陽子を眺めていた瑠璃が表情を一変させる。

「ごめん、私、トイレに行く途中だったから……ちょっと失礼するね」

「え? あ、ごめん引き止めて」

 陽子は瑠璃をあっさり見送ると、再びロイヤルセレナに質問をしようとした。

「『スリーブ』!」


 ふわんっ!


「――!?」

 後ろから放たれた眠りの魔法が陽子を眠らせる。

「あ……」

 ロイヤルセレナは陽子の後ろに三毛猫のヌイグルミ、グレン・ナジャがいるのに気づいた。

「迷惑、だったかな?」

「あ、そんな事はないです。ありがとうございました」

 苦笑しながら倒れて眠ってしまった陽子の様子を見るロイヤルセレナ。

 グレン・ナジャは瑠璃と入れ違いになってしまったらしい。

「ロイヤルセレナ。そろそろあなたも魔法少女の先輩になるのですからもう少ししっかりしてもらわないといけませんよ」

「へ?」

 ロイヤルセレナはグレン・ナジャが何を言ってるのかわからないといった表情を向ける。

「いえいえ、こちらの話です。さて、この彼女ですが……」

「また、記憶を消すつもりなの?」

 以前、陽子が仮面をつけられたとき、その時の記憶を消した事を思い出すロイヤルセレナ。

「……記憶を消す魔法は、あまり完璧ではありません。彼女もおぼろげながらあなた達に助けられた事を覚えていました。表面的な事は忘れていても、やがて思い出すでしょう。ならば、彼女には協力者になってもらいます」

 グレン・ナジャは陽子の手に小さな指輪をはめる。

「これは、あなた達魔法少女との絆――やがて来るその日のために絆を深めていく事は大切なことです?」

 グレン・ナジャの言葉は全く意味が分からない。ロイヤルセレナは、

『小鳥君? わかる?』

 思わず、心の中の隆幸に助けを求めてしまう。

『わかるわけないだろ』

 まあ、当たり前の話だった。

「いきましょうロイヤルセレナ。この変態も、確かに『悪』ですけど、あなた戦うべき『悪』はまだまだたくさんいるはずです」

 そう言ってその場を後にするグレン・ナジャ。ロイヤルセレナもそれについていくしかなかった。


「ロイヤルセレナは先輩なる? それと、やがて来るその日か……? どういうことかなぁ?」

 トイレに行くと見せかけて、物陰からグレン・ナジャやロイヤルセレナの様子をうかがっていた瑠璃はグレン・ナジャの言葉の意味を考察する。

「見て見て瑠璃ちゃん! 三毛猫からこのうさぎをもらっちゃった!」

 そこへ、うさぎのヌイグルミを持った綾花が現れる。

「こ、こら! 魔法少女たるもの使い魔を見せびらかす物では無いぞ、エース!」

 うさぎのヌイグルミ――キャロはそう綾花に忠告するが、

「私は魔法少女でもなければエースでもないから聞けないよ!」

 にこやかにそう、否定される。

「へえ、超常自衛隊に持っていったら喜ばれそうだね」

 瑠璃もにこやかに言う。

「おい、お前達は何を考えている?」

 キャロは、慌てる。グレン・ナジャが使った魔法が綾花に効いていなかったのが彼にとって大誤算だった。

 魔法少女にならない人間にとって彼らワーボワールの者は未知の生命体に等しい。

 魔法少女の使い魔等をやっている異世界の生物が、普通の人間の手に渡ったらどうなるか――

「大抵のアニメとかじゃ、ギャグ回で終わっちゃうんだけど……そういうことにならないと思うから、覚悟しておいた方がいいよ、キャロ君」

 瑠璃は綾花の腕の中にいるうさぎのヌイグルミの頭に手を置いて言った。

「あれ、瑠璃ちゃん? このうさぎの名前、私はまだ言ってないよね」

「うん、綾花ちゃんをまだ言ってないよ――だけど、先に知ることぐらいはできるよ」

「そうだね、瑠璃ちゃんは占いや予知能力を持つ星占部の巫女だもんね」

「――! なんだって!?」

 キャロは驚きの声を上げる。彼は今、今回の任務に就いたことを激しく後悔しだしていた――

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