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AS版その2『魔法少女エース』-2

「私は一番になるために日々、努力しています! あなたも努力の人なんですよねロイヤルセレナ!?」

 ロイヤルセレナに対し満面の笑で自分を売り込もうとする陽子。

「ちょっと、その子困ってるんじゃないかな? 魔法少女は本来秘密の存在なんだから、あんまり騒ぐと迷惑になるよ」

 瑠璃が陽子とロイヤルセレナのそばまでやってくる。


 ブギュウ!


 その時、日本一変態な中学生を踏んづけてはいるがだれも何も気にしなかった。

「翡翠、あなたはヒーローマニアなのでしょう? 目の前に実在のヒーローガール、魔法少女がいると言うのに興奮しないのですか?」

「あ~~、私は一応このロイヤルセレナとは前々から知り合いだから、特に騒ぐ必要はないんだよ。そうだよね、ロイヤルセレナ!」

「え、う、うん……」

 笑顔の瑠璃にあいまいな表情を向けるロイヤルセレナ。

『ええっと、前の時にいたA組の人の一人だよね……誰だっけ?』

 心の中で瀬里奈が隆幸に問い掛ける。

『……翡翠瑠璃、俺のライバル御陵辰羅の彼女だよ。あの時騒がしくやっていた三人娘の内の一人だな』

 隆幸自体もその程度の認識でしか無い人間だった。

 その翡翠瑠璃が、和風戦隊ヤマトレンジャーのミコレンジャーだとか、星占部の末裔だとか、そういう事は知る必要のないことだ。

「……一年の中で成績が一番いいのは無視できない事情だけどね」

 陽子はそのせいで瑠璃をライバル視している。それで彼女のことを調べ上げ、ヒーローマニアの事とかを知っていた。

「だけど、魔法少女と友達なんて事は知らなかった。魔法少女がいるって事は知っていたけどそれと翡翠を結びつけるものがわからなかった。もしかして……変身前の正体を知っているとか……?」

「うん、知っているよ」


 ギクッ!


 陽子に答えた瑠璃の言葉を聞いた瞬間、ロイヤルセレナは固まってしまう。

『小鳥君……』

『あの時、俺はあの子たちの前で変身しちゃってるからなぁ。ロイヤルセレナ=由良瀬里奈であることは、もうばれてるよ』

『嘘……そういう場合って、やっぱり何かしらのペナルティーがあるのかなぁ……?』

『俺が知るか。そういう説明をあの三毛猫、グレン・ナジャやレオから聞いているのはお前の方だろ』

 ロイヤルセレナの心の中では瀬里奈と隆幸がそう話し込んでいる。

『心配だったら、後でベル・ホワイトにでも聞いてみたらいいじゃないか』

『そうよね、そうする。それよりもまず、この場をどうやって切り抜けよう……?』

 その答えを隆幸が持っているわけがなかった。




「……あなたは、前の怪物騒ぎの時にいた三毛猫、でいいんだよね……? もしかして別猫かもしれないけど、見分けなんてつくはずがないもの」

 綾花は、自分の前に現れた三毛猫のヌイグルミに似たワーボワールの預言者・グレン・ナジャにそのような質問を投げかけていた。

「ええ、間違いないですよ。エース……」

 グレン・ナジャはそう言う。声は笑っているようではあるが、表情の変化が分からないのでどういう感情でしゃべってるのかわからない。

「あの時はちゃんとした自己紹介もできなかったね。和風戦隊ヤマトレンジャーの追加戦士枠ナデシコレンジャー(予定)の神城綾花だよ。よろしく!」

 綾花は右手を差し出し握手を求めるが、グレン・ナジャは手を出さなかった。ただ単にそういう習性がないらしい。

「グレン・ナジャと申します。早速ですが、あなたは自分が異世界の人間だということを、知っていますか?」

 グレン・ナジャは、瞳に怪しい光を宿らせながら、綾花を見る。

「……そんな訳、ないよ。私、前に一度、口の中にガラスの棒を突っ込んでDNA鑑定したことがあるもの。お父さんやお母さん、お兄ちゃんとの血縁は、科学的に証明されてるよ」

 何の気なしに言った綾花の言葉が、グレン・ナジャの言葉の流れを止める。

「DNA鑑定……この世界の技術、でしたね。でも……本当にそれをやったのですか?」

 グレン・ナジャの瞳に再び怪しい光が灯る――

「うん、した……ていうか、あの時はしなければ親子関係を実証することすらむずかしかった。天覇の魔女ジョアンナが引き起こした災厄に、巻き込まれたんだから――」

「――!」

 グレン・ナジャが固まる。

「……そういえば、あなた達の世界ワーボワールもジョアンナに襲われたって言ってたね。それって何年前なの?」

「――――そうですね、あなたが生まれた時、くらいでしょうか? エース……」

「? さっきも言ってたけど……それ、語尾?」

「は?」

 わけがわからないよ――なんて言う表情をするグレン・ナジャ。

「ほら、魔法少女物とかに出てくる使い魔や妖精ってなんかいつも変な語尾をつけた喋り方をするでしょう? 『アムー』とか『パヨ』とか『ロオオ』とか……あなたの場合、『エース』ってのがその語尾なのかなって、思って」

「……違います。エースというのはあなたの事です。あなたは、この世界の人間ではありません。私たち同じ異世界ワーボワールで産まれた魔法少女。エース! それが本来のあなたです!!」

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