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AS版その2『魔法少女エース』-1

「悲鳴!?」

 瀬里奈は、立ち上がり、

「『サーチ』……」

 探査の魔法を使う。最近は、変身をしていなくてもこれくらいの魔法は使えるようになってきた。

「トイレの方向ね……いくよ!」

 瀬里奈はそう言って立ち上がり、そして心の中に呼びかける。

『小鳥君!!』

『……わかったよ。お前の中に閉じ込められているとは言えそれが困ってる人を助けない理由にはならない……』

 瀬里奈の心の中にいる隆幸がそう言う。

 瀬里奈はクラスメイト達から離れ一人になれる場所を探すと変身の呪文を唱える。

「『魔力解放・変身』ロイヤルセレナオーロラデビュー!!」


 シュワアアアアン!!


 瀬里奈は魔法少女ロイヤルセレナに変身する!!

「いくよ! 『ウイング』!!」

 ステッキを空飛ぶ箒に変え、廊下を飛ぶ!




「ゲヘラゲラ~~!! この格好をすれば我は無敵!!」

 仮面をつけていようがいまいが、鹿康の行動は変わらない。

「何あの変態!?」

「この学校で一番の変態よ!」

「そんな一番私はいらない!」

 なぜか追いかけてくる鹿康から逃げる瑠璃、綾香、陽子の三人。

「こっちへ!」

 瑠璃が、階段の上へ、二人を誘導する!

「ゲヘラ? どこだぁ!?」

 三人を見失った鹿康は、階段を気にせず直進する。

「……いっちゃった……」

「自分が階段を使わないから、他人も階段を使わないと思っているのね」

「まごうことなき変態だったわね」

 三人は一息つく。

「誰か携帯電話を持っていない? 先生に連絡をしよう」

「あ、私のならあるよ」

 綾花が携帯電話を取り出す。

「ちょっと待って! 何がくる!」



 ビュン!!


 風を切る音がして、鹿康の前に魔法少女ロイヤルセレナが現れる。

「……うえ…」

「ゲヘラゲヘラ! お前は、あの時の魔法少女!!」

 ヒラヒラとした衣服………それは自分と同じような魔法少女の服装に似ていた。それを容姿的にはお世辞にも良いとは言えない入田鹿康が着ている――それはもう、吐き気を催してもおかしくないものだった。

「見よ! 姿を!! 我もまたこの服装を!! 我が前に負けたのは、その服装のせいだ!!」

 訳のわからない事を言いまくる鹿康!

「戦いたくない、こんな変態と……」

 瀬里奈は頭が痛くなるを感じていた。

『変われ! ロイヤルセレナ!!』

 心の中で隆幸が叫ぶ!

『わかった……』

 瀬里奈は心の中で一歩身を引き、隆幸を前面に押し出す……


 ――キッ――


 ロイヤルセレナの目つきが鋭くなる。

「ゲヘラゲヘラ! リベンジ、リベンジだ!!」


「『ロッド・ロング』――!」

 ロイヤルセレナのステッキが長い棒に変化し、そのまま――


 ドゴ!!


 長い棒に変化したステッキが鹿康の顎にブチあたる!!

「悪かった。隙だらけだし、何より俺もお前の姿長く見ていたくない!!」

 ロイヤルセレナは棒で鹿康を何回も叩き、沈黙させた――

 鹿康は自分から着た魔法衣装のまま、気絶した――

 この瞬間、入田鹿康は崎中学校一番の変態から全日本の中学生の中で一番の変態と成り果てた。


「すごい……すごいよ!!」

「あ――!」

 陽子が、階段の上から降りてくる。

「この間私がおかしくなった時に助けてくれた魔法少女はあなたですね!」

「え、あ……あいつは……」

『知ってるの? 小鳥君?』

 ロイヤルセレナの心の中で瀬里奈が隆幸に尋ねる。

『同じクラスの夏樹陽子だ……とりあえず、俺は戦闘だけだから下がるぞ!』

 心の中で隆幸が下がり、瀬里奈がロイヤルセレナの前面に出てくる。


「前々から、あなたにきちんとお礼を言わないといけないと思っていました! あの時は大変迷惑かけて申し訳有りませんでした。そして、ありがとうございます!」

 陽子は自分が一番だと思っている笑顔でロイヤルセレナに感謝の言葉を投げかける。


「う~ん、前とは変わっているね、ロイヤルセレナ」

「あんな風に戦うって、まるで小鳥君みたいね」

 瑠璃と綾花が階段の上からロイヤルセレナと陽子の様子を見ている。


「あ、あの……あの時私は全然活躍できなかったんだけど……」

 陽子が天逆衆の仮面に操られた時、それを救ったのは小鳥隆幸とベル・ホワイトだった。だから、自分がそのお礼をもらうわけにはいかない、そう思った――


「そういえば、あの時もらったこのお守り、大切にしています! あなたと私の絆ですから! あの、私からも贈り物あるんで受けとって欲しいんですけど、今この場になくて……どうやったらあなたに会えますか?」

 陽子はハイテンションでロイヤルセレナとの会話を続けようとしている。

「そうなの?」

 ロイヤルセレナはどうしていいかわからず、うろたえる。

『小鳥君……どうしたらいいんだろう?』

『俺が知るか……』


「……ちょっと、助け船を出してあげた方が良さそうね……」

 うろたえるロイヤルセレナと陽子の様子を見た瑠璃は階段を降りようとする。

「あ、じゃあ私も」

 綾花も瑠璃と一緒に階段を降りようとするが、

「あ、綾花ちゃんはここに残ってて!」

 瑠璃がいきなりそう言う。

「え?」

 瑠璃は1枚のカードを綾花に渡す。

「……? ヒーローカードじゃない。これは……悪役の『ナンカイ大魔王』? 確かこれって、タンジュンキッドの悪役でブラックシンプルを裏で操っていた黒幕――?」

 綾花はそのカードを渡した瑠璃の真意を測りかねていた。

「やっと、あなた一人っきりになってくれましたね……」

 その時、彼女の後ろで声が聞こえた。


 ――三毛猫のヌイグルミが、そこにいた――

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