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TS版『おっぱいをつけられたイケメン』-6

『変身』


 変身とは、姿を変える事である。

 人間が別の生物に変わる事を指す。

 有名なのはフランツ・カフカの小説『変身』

 また、ヒーロー物の主人公が、アイテムを使って姿を変える事も『変身』という。

 語源は前述の小説から。


  tamia☆KARI書房刊『よくわかる国語辞典』より抜粋


『シルバーファングオペレーションシステム起動! フルメイル装備!!』

 七瀬銀河が銀色の光に包まれ、荒々しい銀の龍を模したパワードスーツを装着した、シルバーファングの姿へと変わる。


 これも変身。


『パープルフェニックスシステムスタンディング! 着装!!』

 星見紫鶴の周りに美しい光玉が出現し、それぞれが形を変え、彼女の体を覆ってゆく。そして美しき天空騎士、パープルフェニックスが登場する。


 これも変身。


『五人の音の力を我らに!! 擬音戦隊ドンレンジャー出撃完了!!』


 五人揃っての変身。変身、変身! 変身? 変身!!


 ……じゃあ、由良瀬理奈が魔法少女ロイヤルセレナになるのは……?


「変身って、わ、私が……じゃなくて、俺が!?」

 瀬里奈は自分の体を見下ろす。

 確かに、この体にされたときは魔法少女ロイヤルセレナの姿だった。


 ――その姿で天逆衆に操られていた入田鹿康を倒した――


 それが魔法少女ロイヤルセレナとしての初めての活躍だった――

 だから本物の瀬里奈は自分を――由良瀬里奈の肉体と魔法少女ロイヤルセレナを小鳥隆幸に押し付けた――


 もし今、隆幸の精神が入った瀬里奈はが魔法少女ロイヤルセレナに変身すことがあったら……隆幸自身がそれを受け入れたということになってしまわないだろうか?


「変身なんて……それは無理だ。第一、どうやれば変身できるかどうかわからない!!」

「これに聞いてみたらどう?」

 瑠璃が瀬里奈の目の前に一体のヌイグルミを突き出す。

「これって……? レオ!?」

 それは、ロイヤルセレナの使い魔である黒彪のヌイグルミ、レオだった。

「よう、ロイヤルセレナ……中身はまだ男のままみたいなぁ」

「……どうしたんだよこれ?」

「物陰からずっとこっちをのぞいていたよ? こいつが気づかれていないと思っていたぐらいから気付いていたけどね」

 何か恐ろしい事をこともなげに言う瑠璃。

「とりあえず瀬里奈ちゃんが戦えるようにロイヤルセレナへ変身させてあげて!」

「いや、私は魔法少女に変身なんて!!」

 一人称を訂正する余裕もなく瀬里奈は慌てる。

「まったく……、これからお前にはロイヤルセレナとして活躍してもらわきゃいけないんだ。これくらいの力自分で身につけておけよ!」

 レオが瀬里奈の額に手をつける。

「――!!」

 その時、瀬里奈の脳裏に魔法の知識が宿る。

 それは、瀬里奈本人がグレン・ナジャによって魔法の知識を授けられた時と同じだった――


「魔力解放・変身!! 『ロイヤルセレナオーロラデビュー』!!」


 バシューン!!


 光が瀬里奈の全身を包み込む――

「――!! うわあああああああああああああ!!」

 その光の中で瀬里奈は自分が一糸纏わぬ素っ裸であることに気付いてしまう。

 当たり前だ、媛崎中学校の制服から魔法衣装へと変わるとき、一回は裸になるのだろう。光に囲まれて周りからは見えていないが、自分本人であるがため、感覚でわかってしまうのだ。

 やがて光は形を変え、瀬里奈の体を包んでいき魔法衣装へと変わる。

 そして、瀬里奈もロイヤルセレナへと変身する――


「何か、物凄い経験を経験をした気がする……」

 生粋の女の子なら憧れる魔法少女への変身シーンも、中身が男なら拷問に近いのかもしれない。

「じゃあ、頑張ってね!」

「スクープ、期待してるよ!!」

 瑠璃と魅咲が無責任な声援を送る。

「おいらはロイヤルセレナが活躍してくれるなら中身はどちらでもいいんだけどね」

 こっそりと本音を漏らすレオ。

「あ、この場合勇ましいBGMが必要かな?」

 どこからともなく取り出したバイオリンを奏でようとする綾花。

「あ、俺はもういいか?」

 一連のコントの間、隆幸をおさえていた辰羅が身を引く。

「あら~~……魔法少女ロイヤルセレナだぁ……クスクス、これから大活躍してくれるんだよね、あなたは……」

 不気味な笑みを浮かべロイヤルセレナに近づく隆幸。

「そのためには、もっと『私らしさ』をあなたにそそがないと……」

「……これ以上、身も心もお前にされてたまるかよ!! あのゴミ製造機と同じようにその仮面を叩き落として正気に戻してやる――瀬里奈!!」

 本来のロイヤルセレナであれば絶対にできないに凛々しい顔つきで隆幸をにらむ!!

「あはは、いいなぁその表情。それは残さないといけないわね。じゃあそれを残すように『私らしさ』を注ぎ込んであげる!!」

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