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TS版『おっぱいをつけられたイケメン』-5

 バアン!!


 屋上に上がる階段のドアが開けられる!!

「おい、本当にここに俺がいるんだよな!?」

 瀬里奈は勢い良く屋上に飛び出した。

「さあな? 瑠璃の占いは当てにならないからなぁ」

 銀河が続いて屋上に出る。

「占いは一種の道しるべ。その方向に行くかどうかはその人が決めることだよ」

 瑠璃が辰羅の手をとりながら屋上に出る。

「自分の体と感動の再開、か……スクープの予感がするね!」

 魅咲がデジカメ片手に出ていく。

 そして、

「……くう、高所恐怖症でさえなければ、俺も屋上に行けるのに……うお~~!!」

 晴夢は一人、階下で嘆いていた。


「俺は、どこに……?」

 瀬里奈はキョロキョロと、屋上を見渡す。

「あ!!」

 屋上の片隅に、一人の男子生徒が立っている。

「おいこら! 俺の体を返せ!!」

 それを自分だと確信した瀬里奈は、駆け寄り肩を掴む!

 ゆっくりと、隆幸は振り向いた。

「あ……!?」

 隆幸の顔には、見覚えのある仮面がつけられている――!!

「それは……天逆衆の!? なぜおまえがそれを!?」

 隆幸は驚愕する瀬里奈の顔を掴み、


 ブチュウ!!


「――!!」

 瀬里奈の唇に、隆幸が自分の唇を重ねる!!


「うわあ! キスしたよ!」

「自分同士とキス……なんか退廃的……!」

「ばっちり抑えたわ!!」

 姦しい三人娘が口々に言う。

「……」

 辰羅だけは無言で顔を覆う。


(なんだよコレ~~!!)

 瀬里奈は大混乱していた。仮面をつけた自分に、いきなりキスをされたのだ。

 自分の唇は、固くて少しカサカサしている――今の自分、瀬里奈のプルプルした唇とは全然違う。元の体に戻ったら、リップクリームでも買ってみるか――とか、そんなことを考えてしまう。

(――!?)

 突如、重なった唇から、


 トロリ……


 と、何かが流し込まれるような感覚がある。それと同時に、自分からも何かを相手に流し込んでるような……!!

「う、くっ!!」


 ドン!!


 瀬里奈は隆幸の体を突き飛ばし、強引に唇を離す!!

「な、なにするのよ!!」

 それは、瀬里奈の……隆幸の精神が入っている瀬里奈の口から出た言葉だった。

「――!!」

 自分の口から出た女言葉が信じられず、慌てて自分の口を押さえる瀬里奈――

「……今のは、いったい……!?」


「おや? これは、瀬里奈ちゃんの体に瀬里奈ちゃんの精神が戻ったってことかな?」

「キスしたら、元に戻る……漫画とかでよくある現象だね」

「じゃあ、またキスをしたら入れ替わるの?」

「いや、そういう雰囲気じゃないみたいだ」

 すっかり見物客となっているA組4人が口々にそういう。


「……駄目でしょう、自分の体を突き飛ばすなんて真似をしたら……」

 瀬里奈に突き飛ばされた隆幸がそう言う。


「まだ、小鳥君が女言葉を使ってるって事は、あの小鳥君の中の精神は瀬里奈ちゃんって、ことだね」

「いや、元々ああいうのがあいつの本性なのかもしれないな」

 辰羅はそう言う――が、本当は笑いをこらえている。


「お前……私に……、じゃなくて、俺に何をした!?」

 瀬里奈は隆幸に向かってそう言う。

「……あなたに、『私らしさ』を注ぎ込んであげたの。そのかわりあなたからは、『あなたらしさ』をもらってあげる……」

 仮面の奥の隆幸の瞳が怪しく輝いている――それは、自分のはずなのに瀬里奈はまるで全く知らない人間の様に感じてしまう――

「『私らしさ』? 『あなたらしさ』……」

「口調や癖、感じ方や行動パターン……過去の記憶などをあなたに、あげるの!」

「おい、そんな事をしたら……私は……じゃなくて俺は完全にお前になってしまうじゃないか!?」

「そうよ。瀬里奈の体に瀬里奈らしさ、隆幸の体に隆幸らしさ……それって自然なことでしょ? 大丈夫、魂までは改変しないから、隆幸の勇気は瀬里奈の体に残る――勇気を持った敵と戦える魔法少女ロイヤルセレナが誕生するのよ!!」

 そう言って再び瀬里奈の体をつかむ隆幸――

「さあ、今日が由良瀬里奈の新しい誕生日よ!!」

「う、うわあああ!!」

 瀬里奈は必死になって隆幸から逃れようとする!!

「抵抗しても、無駄だよ。瀬里奈と隆幸の身体能力の差は歴然としているからね!!」

 瀬里奈を捕まえ自分の顔に瀬里奈の顔を近づけようとする隆幸!!


「なんか、小鳥君が瀬里奈ちゃんを襲っているようにしか見えないね」

「写真を撮ったらまず間違いなく小鳥が加害者になるね」

 見学サイドはのんきに言っている。


「見てないで、助けてよ!」

 瀬里奈は逃げながらそう叫ぶ。

「そうだ、神城――和風戦隊ヤマトレンジャーに協力を要請してくれ!」

「……? そういわれてもねぇ……」

 綾花は周りを見る。実は和風戦隊ヤマトレンジャーのメンバーは既にここにいる。が、

「ヤマトレンジャーは文化破壊帝国との戦いが忙しいって!」

 瑠璃がそう言ってくる。

「それよりも、辰君っ!」

「……わかった」

 辰羅が素早く動き、瀬里奈と隆幸を引き離す。

「ハァ、ハァ……」

「ちょっと、邪魔しないでよ!!」


 ヴン!!


 隆幸の手に、黒い剣が出現し、辰羅に切りかかる!!


 スカッ!


 それをあっさりとかわす辰羅。

「あいつの動きじゃないな……ま、中身が違えば当然か」


「助かった、ありがとう」

 隆幸から離された瀬里奈が、息を切らしながらそう言う。

「ねえ瀬里奈ちゃん、自分で何とかしようとしないの?」

 綾花はそういう。

「ナントカって……?」

「決まってるじゃない!」

 瑠璃が言う。

「じゃあみんなで一斉に……」

 魅咲も、それに加わる。

「「「瀬里奈ちゃん、魔法少女ロイヤルセレナに変身よ」」」

「え……」

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